著者らは既にエポキシ樹脂の熱衝撃試験とその評価方法について提案しているが, 粒子充てんエポキシ樹脂について, 提案した試験及び評価方法の検討を行った。
アルミナ粒子充てん樹脂の場合には, 充てん量および粒子直径の影響について検討したところ, 粒子径についてはある程度大きい方が高い耐熱衝撃性が得られた。また, 充てん量の効果は少量では耐熱衝撃性が低下するが, 100phr以上の充てんではほとんど変化しない。シリカ充てん樹脂の場合には, 充てん量の増大と共に耐熱衝撃性は大きくなり充てんの効果が認められた。
アルミナ及びシリカ充てん材の耐熱衝撃性に及ぼす差は, 破面観察から, 粒子とマトリックスの接着によるところが大きい。アルミナ粒子を高充てんした場合には理論解析との差が大きくなり, 物性値からの理論解析の限界が認められた。これは熱応力のような内部応力に対して粒子マトリックス界面の応力場が大きく関わっているためと考えられる。
CTBNを充てんした場合にはアルミナ, シリカを充てんした場合に比べて大きく耐熱衝撃性を向上させることができる。これは切欠き先端に微小なクレイズを生ずるためであるが, 本評価法の理論解析ではこのクレイズは評価されない。
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