熱硬化性樹脂
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11 巻, 4 号
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  • 久保内 昌敏, 津田 健, 谷口 裕一, 北條 英光
    1990 年 11 巻 4 号 p. 201-209
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    著者らは既にエポキシ樹脂の熱衝撃試験とその評価方法について提案しているが, 粒子充てんエポキシ樹脂について, 提案した試験及び評価方法の検討を行った。
    アルミナ粒子充てん樹脂の場合には, 充てん量および粒子直径の影響について検討したところ, 粒子径についてはある程度大きい方が高い耐熱衝撃性が得られた。また, 充てん量の効果は少量では耐熱衝撃性が低下するが, 100phr以上の充てんではほとんど変化しない。シリカ充てん樹脂の場合には, 充てん量の増大と共に耐熱衝撃性は大きくなり充てんの効果が認められた。
    アルミナ及びシリカ充てん材の耐熱衝撃性に及ぼす差は, 破面観察から, 粒子とマトリックスの接着によるところが大きい。アルミナ粒子を高充てんした場合には理論解析との差が大きくなり, 物性値からの理論解析の限界が認められた。これは熱応力のような内部応力に対して粒子マトリックス界面の応力場が大きく関わっているためと考えられる。
    CTBNを充てんした場合にはアルミナ, シリカを充てんした場合に比べて大きく耐熱衝撃性を向上させることができる。これは切欠き先端に微小なクレイズを生ずるためであるが, 本評価法の理論解析ではこのクレイズは評価されない。
  • 押久保 寿夫, 八矢 利幸, 田沼 恒夫, 深沢 正人
    1990 年 11 巻 4 号 p. 210-218
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    最近, 塗料業界では焼付け乾燥炉の省エネルギー化のために短時間焼付けあるいは低温焼付けのできる塗料樹脂の開発が望まれている。
    本報では, 短時間焼付け可能な塗料を設計するため, アミノアルキド樹脂系塗料について硬化剤成分として使用されるメラミン樹脂の反応性を知る目的で, 大容量GPCクロマトグラフを用いて分子量別に分取し, 各分取品の官能基量を測定した。次に, アルキド樹脂と組合せたときの熱硬化反応過程で発生する揮発物から硬化反応の進みかたの手がかりを得ると共に, 硬化塗膜物性から短時間硬化の可能性を明らかにした。
    その結果, メラミン樹脂の高分子量体が短時間硬化に適していることがわかった。
  • 進藤 洋一, 杉村 徳子
    1990 年 11 巻 4 号 p. 219-227
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸メチル側鎖に桂皮酸エチルメタクリラート (CEMA) を導入したポリマーのTHF溶液を30℃で光照射し, 三次元網目形成過程での分子内及び分子間橋かけ反応の寄与を光散乱測定による分子量, ポリマー鎖の広がり, そして第2ビリアル係数の変化を含めて検討した。CEMA密度や一次ポリマー鎖長の増加或いは溶液濃度が薄くなるほど分子間橋かけ反応と競合する分子内橋かけ反応の影響を強くうけて, 分子内架橋点の多い不均一性ミクロゲルを生成し易く, 逆にCEMA密度が少なくなると見かけ上均一なマクロゲルを生成し, 特にCEMA10mol%前後では, ミクロゲルを経てマクロゲルへと変化する様相が明らかとなった。分子内橋かけによるポリマー鎖の収縮は, 反応初期に顕著であり, 三次元網目形成点では, 同一分子量の線状ポリマーの体積の1/10~1/350までも変化し, 第2ビリアル係数もほぼ零となった。溶液系の光橋かけ反応では, 分子内橋かけ反応の進行とともに分子間相互侵入が抑制され, 分子間架橋点の少ない, 分子内高密度の三次元網目ポリマーを生成することを明らかにした。
  • 加藤 仁一郎, 冨野 伸子, 今西 太一, 中村 克之
    1990 年 11 巻 4 号 p. 228-234
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    N, N′-ジアルキル-3, 3′, 4, 4′-ビス (ジフェニルジアセチレンイミド) の熱反応挙動を調べた。これらのイミド化合物は, 融解とともに熱反応を起こした。アリル基を有するイミド化合物 (A1I) は, ジアセチレン基と二重結合が反応して橋かけ構造が発達するために, 他のイミド化合物よりも高い熱分解温度を示した。一方、フェニル基を有するイミド化合物 (PhI) では剛直な構造のために, ジアセチレン基は300℃以上の温度を与えないと反応しなかった。そのために, ジアセチレン基の反応とともに, 熱分解反応が起こることがわかった。
    300℃において作成したA1Iの熱反応物は7.3GPaの弾性率を示した。しかし, この反応物はこれ以上の温度で反応させると, 分解が生じることが判明した。
  • 秋本 耕司
    1990 年 11 巻 4 号 p. 235-247
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂の柔軟化法について論じた。特にエポキシ樹脂の反応性を利用し, エポキシ樹脂骨格中に各種弾性オリゴマー成分を反応させ組み込んだものは, 耐水性, 耐薬品性, 密着性を低下することなく, 柔軟性を付与することができる。
    弾性オリゴマーとしては, 各種ウレタンポリマー, ブタジエン-アクリロニトリルオリゴマー, ポリサルファイド樹脂等が利用できる。
    エポキシ樹脂と弾性オリゴマーを反応させるときの反応条件及び特性, 更に使用時の注意項目について述べた。
  • 山西 信夫
    1990 年 11 巻 4 号 p. 248-261
    発行日: 1990/12/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    フェノール樹脂は, FRP用として優れたプリプレグ特性を有するため, 特に耐熱性や難燃性を要求される特殊用途に用いられてきた。
    しかしながら, FRP用マトリックス樹脂としての代表である不飽和ポリエステル樹脂のように多様な成形法を採用できなかったのが, 最近になって第2世代のフェノール樹脂として, 不飽和ポリエステル樹脂と同様にハンドレイアップ成形法を始め, 各種成形法に使える低粘度で高不揮発分の水溶性レゾールと硬化触媒が開発されて, フェノールFRPのメリットが再確認されてきた。
    軽量, 加工性等でプラスチック化の進む車両や建築分野を中心に安全性の高い素材としてヨーロッパを始めわが国でもフェノールFRPが注目されている。
    フェノールFRP用の樹脂, 硬化触媒及び成形法, フェノールFRPの特性及び用途についての現状を概説する。
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