熱硬化性樹脂
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9 巻, 1 号
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  • 向山 吉之, 清水 尚登, 坂田 淘一
    1988 年 9 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1988/03/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    耐熱性樹脂の分子量分布測定法の確立を目的に, テトラヒドロフラン (THF) 可溶ポリアミドイミド (PAI) とポリアミド酸 (PAA) を合成し, これらの樹脂を用いて充てん剤と溶離液の種類をそれぞれ変えた場合のサイズ排除クロマトグラフィ (SEC) の溶出挙動について調べた。
    THFに可溶な耐熱性樹脂として, 2, 2-ビス [4- (4-アミノフェノキシ) フェニル] プロパン (BAP) と無水トリメリット酸クロライド (TAC) 又はBAPとピロメリット酸二無水物 (PMA) とからPAI-B及びPAA-Bを合成し, 実験用試料とした。スチレン・ジビニルベンゼン共重合体ゲル (Sカラム) を用いたSECにおいて, ジメチルホルムアミド (DMF) とTHFの混合 (D/T) 溶離液中に, 解離抑制や充てん剤への吸着防止作用をもつ臭化リチウムとりん酸を添加剤として加えると, PAI-BとPAA-Bは再現性の良いSECクロマトグラムを示した。この系において, 溶離液をD/TからTHFに変更すると添加剤なしで正常なSECクロマトグラムの得られることが分かった。さらに, Sカラムを親水性アクリル酸エステル系ゲルカラム (Aカラム) に交換し, 溶離液としてD/Tを使用することによっても添加剤なしで再現性の良いSECクロマトグラムの得られることが分かった。
    これらの結果から, 耐熱性樹脂であるPAIとPAAのSECにおける溶出挙動は, 試料・充てん剤・溶離液間の三者の相互作用の影響を受け, 特に試料と充てん剤との相互作用に大きく左右されることが確認できた。
  • 平本 叔
    1988 年 9 巻 1 号 p. 8-18
    発行日: 1988/03/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    感光性ポリイミドが電子デバイスの層間絶縁膜, 保護膜として広く使用されはじめている。フォトリソグラフィにより簡単にパターンが形成できるとともに, ポリイミドのすぐれた性能を有しているからである。
    感光性ポリイミドは, ポリイミドまたはポリイミド前駆体に感光性を付与したもので, パターン形成後の熱処理によりポリイミドに転換される。通常は, 二重結合やアジドのような感光成分を有する基を共有結合や塩結合でポリマー骨格に導入して感光性を付与している。特殊な構造のポリイミドが感光性を有することも見出されている。
    半導体素子, LSI実装基板やラインセンサーなどの電子デバイスの層間絶縁膜や保護膜として広く実用に供せられている。
    本稿では, 感光性ポリイミドの開発動向, 物性, パターン形成およびその用途について紹介する。
  • 鏡 好晴, 長田 義仁
    1988 年 9 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 1988/03/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    プラズマ重合法とはプラズマ中の活性種を利用して有機分子の解離, 結合を繰り返して高密度に橋架けした高分子薄膜を得る方法である。プラズマ重合膜は, ピンホールフリーかつ機械的に強固な薄膜なので幅広い分野で注目され, 応用されている。本稿では, プラズマ重合膜の生成機構と, IR, 固体高分解能NMR, ESCAなどの手法による薄膜の構造解析の現状について解説する。また, 最近活発に研究が行われるようになった金属含有プラズマ重合膜の構造やモルホロジーについても紹介する。
  • 鶴田 四郎
    1988 年 9 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1988/03/10
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    尿素樹脂の化学として, まずScheibler, Trostler, Scholz (1928), Bois de Chesne (1932), 次でFahrenhorst (1955) らの論文を紹介し, 尿素とホルムアルデヒドの反応が酢酸, 水, ブタノールと著者ごとに異なる溶剤中で行われている特異点を指摘した。Fahrenhorstがジメチロール尿素のアルカリ水溶液中における特殊な安定性につき報告しているのに端を発し, Martin (1952) の論文を分析すると共にジメチロール尿素とフェノール類の反応をDiesbach (1931), Euler (1941), Zigeuner (1955) らの論文について検討した。最後にこれらとアンモニア・レゾール生成反応に於ける庄野 (1929), 井本 (英) (1949) らの業績との類似性を指摘する。
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