動物分類学会誌
Online ISSN : 2189-728X
Print ISSN : 0287-0223
12 巻
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 原稿種別: 目次
    1976 年 12 巻 p. Toc1-
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー
  • 星野 孝治
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 1-4
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    高知沖の深海(水深約4350m)から採集された尋常海綿2個体について固定の結果Axinella profunda RlDLEY et DENDYとした。本種は南北両太平洋の深海域から報告されていたものである。本邦よりは,谷田(1961)が来島海峡で得た海綿を本種の変種Axinella profunda var. kurushima TANITAとして報告している。本種は樹波状になった体の中央に針状体よりなる密な軸をもち,さらにその軸から針状体がまわりに射出している。骨片は針状体のみで大きさは615-1660×8-28μ。針状体は頭部に小さな棘を有する。この棘は小さい骨片では顕著であるが,大きい骨片には少ないし無いこともある。
  • 鈴木 実
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 5-12c
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    昭和50年7月21日〜7月23日,9月18日〜9月20日,11月17日〜11月19日,12月19日〜21日と昭和51年2月16日〜2月19日の5回にわたり山口県笠戸島周辺に生息する海浜動物物の分類学的・生態学的な調査を行なった。その結果,見出された殼アメーバ類,太陽生類,腹毛生類,ナマコ類などはすべて日本未記録種であり,このほかヒドロ虫類,輪毛虫類,棘皮虫類などにも若干の日本未記録種が見出された。
  • 関口 晃一, 中村 光一郎, シェン , 杉田 博昭
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 13-20
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    著者らがインド国西ベンガル州・ディガで採集したミナミカブトガニ(新作)Tachypleus gigasは,タイ国バンセンで得られたものと,一見別種のような印象を受けるほど大きさ,形態などにちがいが認められた。しかし両者のヘモシアニンの電気泳動パターンには差がみられず,カブトガニT. tridentatusやマルオカブトガニCarcinoscorpius rotundicaudaのそれと比べると著るしいちがいがあった(Fig. 7)。そこで両者を同一種とみなじそれらにさらにマレーシァ国ペナン産の標本を加えて,それぞれの雌雄のいくつかの特徴的な部分(Fig. 2)を測定し,比較した(Table 1,2)。その結果わかった主な点は次のとおりである。1)体長は雌雄ともバンセン産かディガ産に比べて大きく,とくに雌では前者が後者の1.4倍であった。ペナン産はバンセン産次に近い値を示した。2)頭胸部の幅についても 1)とほぼ同様なことががいえ,とくに雌はディガ産と上バンセン産の差が著るしかった。3)尾剣削の長さについても1)2)と同様なことがいえるが,長さと幅の比をみると,ディガ産のものが最小,バンセン産が最大,ペナン産が中間値を示した。4)第I棘から第IV棘までの腹部縁棘の長さは,雄では三者の間に著るしい相違は認められなかったが,雌ではディガ産では第I〜第IIIが略同長で長く,第IV〜第VIも短いながら前者に似た細長い角状を示すのに対し,ペナン産およびバンセン産は第IV〜第VIが極めて短かい退化型を示した。5)またバンセン産の雌は第III縁棘に先端の曲った短縮化が見られたのに対し,ペナン産では前から第III縁棘では先の尖った直線状dであり,この点でもディガ産とバンセン産の中間型を示した。第IV縁棘以後の短縮化はカブトガニ T. tridentatusと酷似しており,産卵習性と密接な関連があると思われるが,ディガ産の雌の比較的長い棘の存在はこの習性と関連して考えると極めて興味深い問題であり,今後の調査を要する。
  • 今村 泰二
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 21-23
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    1975年に香港新界地区から採集したミズダニ類2種について記した。Atractides(s. str.) nodipalpis nodipalpis(THOR)とEncentridophorus(s. str.) hongkongensis n. sp.である。前者はヨーロッパ,アフリカの一部,および日本各地の流水から報告されているもので,ヨーロッパと極東との生物地理学上のつながりを示じている。後者は池沼生の種類で,新種としての記載がなされた。上記両側ともに中国大陸からは最初の報告である。
  • 蛭田 真一
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 24-33
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    忍路産介形類,Cytherois属2新種の報告。1. Cytherois sargassicola n. sp. 体長0.7mm位。殼は薄く,亜三角形。黄位地に黒色の帯が殼中央を占る。第2触角内肢第3節前縁に1本刺毛あり。第1歩脚第2節末端の刺毛は雄の方が雌よりも長い。SCHORNIKOV, 1974報告のC. violaceaと形態が酷似する肌体長,体色,交接器の構造等の相違で区別できる。本種は春(4月〜6月)にホンダワラ上に多数出現する。2. Cytherois ezoensis n. sp. 体長0.44mm位。穀は薄く,長卵形。淡黄色地に黒褐色の斑が,中央から中央背部にかけて大きなものが一つ,背後部,腹前部,腹後部にそれぞれ小さなものが一つずつある。雌雄により,第2触角内肢末端2節の大きさが異なる。SCHORNIKOV,1975報告のC. zosteraeに外形よく似るが,交接器を含む付属肢の形態に異なる所かが見られ,識別し得る。本種は,秋〜冬にホンダワラ等の海藻から得られた。
  • 大久保 一郎
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 34-38a
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    瀬戸内海産カイミジンコの1新種,アウリラ イナバイを報告する。殻長0.6〜0.7mm,高さその2/3。殻面には多数の小孔があり,腹縁の長さの1/2の腹稜と4放射稜が目立つ。左殼はアーモンド形,右殻は4角状じん臓形,雄の殻片は雌のより少し低い。殻縁部は広く,中央の膨れた多数の放射毛細管がある。第1触角は5節,4爪がある。第2触角は4節,末節に3爪あり,紡績突起は3節で著しい性的2形を示す。歩脚は各4節でほぼ同形,各第1節の先端に複雑な骨格があり,剛毛式は(2,2,1),(1+1,1,1), (1,1,1)。広島県向島臨海実験所前の岩礁の潮間帯に,夏多数出現する。
  • 蒲生 重男
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 39-45
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    1971年の6月末より7月初句に,青森県水産増殖センターが行った陸奥湾の浅海漁場開発調査で,湾東北部の水深20mの海底より採集された甲殻綱等脚目の標本中にミズムシ亜目のムンナ科(Munnidae)と思われる1種類があった。この標本は体長約2.28mmの雌1匹で,胸部腹面の育房内に7匹の幼生をもっている。研究の結果Munna,Peurosignum Coulmannia属に近い種類であることがわかった。しかし,この種では体側に粒状の突起があり,大顎の鬚は痕跡的で,その値段に1小剛毛を生じ,大顎の白状突起の末端は細まることなく,広く白状をしている。また,眼は細長い眼柄の末端にある,などの特徴をもっている。上述の3属および他の既知の属には,これ等の諸特徴を完全に満足させるものがなく,ここに新属・新種Heterosignum mutsuensisとして記載する。(第11回動物分類学今大会にて講演)
  • 林 健一, 古池 規行
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 46-51
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    During the course of our research on the Japanese pandalid shrimps, we found a great izumiae OMORI. As mentioned by OMORI (1971), P. izumiae is rather easily distinguished from P. binoculus by having 1) small size, less than 50mm in total length and 8mm in carapace length, 2) no postrostral crest, 3) long dactyli of the last three pereiopods, about half as long as the propodi and 4) "faintly reddish orange" color in the carapace and abdomen. P. binoculus is more than 100 mm in total length and 21 mm in carapace length and bears a prominent postrostral crest and relatively short dactyli of the last three pereiopods. An oval red circle on either side of the third abdominal somite is most remarkable in P. binoculus. Neverthless almost all previous records were done under the name P. binoculus (URITA, 1921; YOKOYA, 1933; MlYAKE, SAKAI & NlSHIKAWA, 1962; FUJINO & MlYAKE, 1970 and ZARENKOV, 1971, etc.) or Plesionika sp. (YASUDA, 1955; KUBO & ASADA, 1957; UTINOMI & HARADA, 1958, etc.). Fortunately we could reexamine a part of the material of them or examine some specimens from the same localities or near the localities, from which the above-mentioned authors collected their P. binoculus or P. sp. We conclude from these examinations that these P. binoculus or P. sp. in literature do not belong to the true P. binoculus but to P. izumiae. P. binoculus is very rare and usually collected solitarily from rather deep water. The present specimens, which are the first record of this species from Japan, were collected from Tosa Bay, Kochi Prefecture. P. izumiae is distributed all over Japan, except for Hokkaido and the Pacific coast of the Tohoku District. In the Pacific coast of southern Japan it is much abundant in depths varying from 40 to 80 m.
  • 安藤 裕, 田中 正弘
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 52-55
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    鱗翅目単門亜目のコウモリガEndocclyta exerescensのgerm rudimentと胚膜の形成を観察したところ,同目の二門亜目で今日まで一般に知られているような形式,すなわち胚盤葉の胚域が卵黄中に沈み始めると,胚外域が胚域の上面を覆いながら伸長し,ついには接着して,漿膜となり,germ rudimentの周縁から分化した膜がgerm rudimentの腹側を覆い羊膜となる形式と根本的に異なることを知った。コウモリガの卵では,胚盤葉に小さな胚盤が分化した後,その中央から陥入が生じ,発生の進行につれ深くなる。そのため,今までの胚盤は袋状のgerm rudimentになる。陥入口の閉鎖と共に,球型のgerm rudimentは漿膜から離れて卵黄中に沈む。羊膜はgerm rudimentの卵表に面した部分から,胚帯は残余の部分から分化する。このようなgerm rudimentと胚膜の形成は,毛翅目完鬚亜目のヒゲナガカワトビケラSenopsyche griseipennisで観察されたもの(MIYAKAWA, 1973)に最も類似している。毛翅目と鱗翅目が系統土近い位置を占めることは周知のことであるが,このような発生学上の事実は,今日まで知られていない。
  • 岡田 豊日
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 56-57
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    Recent introduction in Japan mainland of two drosophilid species, Drosophila siinulans STURTEVANT and Chymomyza procnemis (WlLLISTON), is reported.
  • 小黒 千足
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 58-64
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    Scoliodotella uchidaiは雌雄異体で,生殖は10月下旬〜11月中旬の数日間,午前5〜9時に行なわれる。卵は多黄で直径400μ,淡黄褐色不透明である。雄の放精開始後雌による産卵が行なわれ,卵は直ちに受精する。卵割は全等割で放射型,受精の5時間後に第1分裂がおこり,皺胞胚期を経て70時間後に陥入を開始する。その発生の全過程は卵膜内で進み,受精の16日後ペンタクチュラは卵膜を破って孵化する。孵化直後のペンタクチュラは指が未分化の5本の触手をそなえ,全長約500μである。孵化の3ヵ月役触手の指はやや分化し,消化管の部分分化・ポーリのうが認められ,全長700μに達する。
  • 小野寺 隆, 本間 義治
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 65-77
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    Morphological and morphometrical studies were performed to elucidate the speciation and racial differentiation of the fish belonging to the genus Leuciscus (=Tribolodon), in addition to the revisional examination of the cephalic lateral-line system as an ideal character for the classification of this group of fish proposed by NAKAMURA (1963, 1969). The materials were collected from various rivers, streams and lakes, ranging from the southern part of Hokkaido to the north of Nagano Prefecture. The present investigation confirmed roughly the results of NAKAMURA (1963, 1969), and the Japanese dace were classified tentatively as follows: Leuciscus brandti (=L. jusanensis, very probably), superspecies, sea-run form. L. hakonensis, sea-run form and freshwater form. L. ezoe, freshwater form. L. taczanowskii ?, sea-run form, found probably in the Pacific side. L. sp. (Nom. Jap.: Ukekuchi-ugui. Uke-kuchi means the feature of the mouth part, showing the protruded lower jaw) freshwater form, found exclusively in the River Agano. It is of interest to know that the individuals with larger number of scales on the lateral line, such as L. jusanensis and L. sp., posses also the larger number of scales before dorsal fin. As stated previously (NAKAMURA, 1963, 1969), by the features of cephalic lateral-line system, the fish were classified into two major groups, such as the A and B types. In the A (L. jusanensis and L. taczanowskii) with larger number of scales on the lateral line, there is found a junction between the postocular commissure (POC) and preoperculomandibular canal (POM), while in the B (L. hakonensis, L. ezoe and L. sp.) no junction is detected between the POM and POC. When the pores of POM were counted, the number in L. hakonensis and L. ezoe is concentrated in 13, while that of the rest three races is in 20. In the case of the pores of supratemporal canal (ST), the number in L. hakonensis and L. ezoe is fewer than that of the rest (more than 9). However, there is a variation of the number of ST in some populations of the sea run form of L. hakonensis, 6 to 8. The secondary sexual characters, such as the features of nuptial coloration and pearl organ, differ among different races. Therefore, it is considered that these characters are intrinsic for each race and useful for classification of mature adult dace. L. sp. (Ukekuchiugui) found exclusively in the Agano River system is a peculiar race in having the mixture of morphometric characters of different races. Further studies including comparative endocrinology are now in progress to clarify the adaptability and evolution of the Japanese dace.
  • 樋口 広芳
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 78-86
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    伊豆諸島の三宅島から八丈島にかけて分布するヤマガラの一亜種,オーストンヤマガラの体の大形化と秋冬季におけるシイの実食との開運を探るため,本土の小形亜種との比較において,体の大きさに関する諸特徴と飼育下におけるスダジイの実の摂食効率とを調べた。得られた結果は次のとおり。1. 調査した翼長・足長・嘴峰長・嘴高・嘴幅・〓蹠長・第2趾長・体重のいずれにおいても,島のヤマガラの方が大きく,またその差は採食に関係する嘴や脚などの測定値において著しかった(Table 2)。2. 後者の点は体各部のプロポーションの比較においてさらによく認められ,それらにり,島のヤマガラの方が本土のヤマガラよりも体の大きさの1指標である翼長の割りに嘴や脚が長くて大きく,また翼長の割に太っていることがわかった(Table 3,Fig. 1)。3. 飼育下におけるスダジイの実の摂食効率は,島のヤマガラの方がはるかにまさっていた。またその違いは,明らかに嘴や脚の大きさ,および体重の違いと結びついていた(Fig. 2〜Fie. 5)。4. 以上のことから,島のヤマガラの外部形態は,その秋冬季におけるシイの実食によく適応したものであり,現在ではこの鳥の冬の生存にとって重要な役割を果しているものと考えられる。(第12回動物分類学会大会にて講演)
  • 沢田 勇
    原稿種別: 本文
    1976 年 12 巻 p. 87-91
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー
    1)本州の北端に位置する青森,秋田,岩手の各県下の洞穴に生息するキクガシラコウモリおよびコキクガシラコウモリに寄生する条虫の種を明らかにし,それらの条虫相から三県下におけるコウモリの分布を検討した。(2)キクガシラコウモリの条虫相はH. rashomonensisのような3県下にわたって寄生していたものもあったが,V. ogensisのように秋田,青森両県下では共通種であったが,岩手県下では発見できず,岩手県下のキクガシラコウモリには別種のO. brevihamatusが寄生していた。こうしたことから東北地方北部のキクガシラコウモリの中にはかなり広範囲にわたって相互交流をおこなったものもある反面,相互交流があまりおこなわれないで狭いローカル的な分布のみにおわっているグループもあることが判明した。(3)コキクガシラコウモリを採集できなかった秋田県を除いて,青森県下のコキクガシラコウモリにはH. rashomonensisが寄生していたのに,岩手県下のコキクガシラコウモリにはH. rashomonensisの寄生は皆無であった。さらに岩泉地方ではV. isensisとV. iwatensisを宿したコキクガシラコウモリが接近している3ヵ所の洞穴に別々のグループを形成して生息していた。こうしたことから青森および岩手両県下に分布するコキクガシラコウモリのグループ間では広範囲にわたる交流がおこなわれないで,固有のローカル的な分布のみに終ってしまっていることがうかがわれる。
  • 原稿種別: 表紙
    1976 年 12 巻 p. Cover3-
    発行日: 1976/12/20
    公開日: 2018/04/02
    ジャーナル フリー
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