リハビリテーションと応用行動分析学
Online ISSN : 2759-2588
Print ISSN : 1884-2658
3 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 山本 淳一
    2012 年 3 巻 p. 1-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
  • -動作を引き出す刺激-
    打田 小春, 千葉 直之, 釣 洋介, 二丹田 裕介, 遠藤 有紗, 遠藤 晃祥
    2012 年 3 巻 p. 5-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,認知機能面が低下している対象者に対して,行動分析学の技法を用いたアプローチで車椅子操作練習を行い,その学習効果とHDS-Rとの関係を検討した.対象者は,身体機能面に問題のない当院入院中の認知機能が低下した患者様11名であった.HDS-Rの平均点は,11.2±5.5点と中等度から重度の認知症を呈していた.車椅子操作は,『①右のブレーキをかける』,『②左のブレーキをかける』,『③右のフットレストを上げる』,『④左のフットレストを上げる』の4項目に細分化した.動作を生起させるプロンプトは,『L1.身体的ガイド+口頭指示』,『L2.タッピング+口頭指示』,『L3.口頭指示のみ』の3段階に分け,標的行動が必ず生起されるようにフェイディングしていった.その結果,対象者のHDS-Rの点数とは関係なく,11名中10名が車椅子操作を獲得し,翌日であっても継続して車椅子操作が可能であった.このことから,HDS-Rの点数に関わらず,行動分析学の技法を用いたアプローチによる無誤学習の環境設定をすることで,動作学習が可能であるという事が示唆された.
  • 上村 賢, 桂下 直也, 谷永 章子, 槻木澤 咲恵, 永井 美帆, 豊田 厚美, 遠藤 晃祥
    2012 年 3 巻 p. 9-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では起き上がり動作を7区分に細分化し,行動項目とプロンプト手順を記載したチェックシートを作成し,これを利用してプロンプトを提示する手順やタイミングについて指導を行った.そして,標的行動を引き出す時のセラピストの行動について,チェックシート指導期の訓練と通常の訓練を比較検討した.対象セラピストは臨床経験5年で,対象患者は90歳女性の両片麻痺患者であった.ベースライン期では,通常の起き上がり動作訓練を行った.チェックシート指導期では,セラピストに対しプロンプトを提示するタイミングと手順についてチェックシートを利用して指導した.結果,ベースライン期では,『プロンプトを提示せずに身体介助をする』,『すぐにプロンプトを提示する』というセラピストの行動が見られた.これに対し,チェックシート指導期では,『階層的にプロンプトを提示する』,『5秒待ってから次のプロンプトを提示する』という行動が生じた.また,このセラピストの行動変化に伴い,患者の自立度に改善が見られた.従って,チェックシートを使用した指導方法は,セラピストに対し先行刺激と後続刺激のコントロールを学習させることができ,結果,セラピストに好ましい行動変化を及ぼす効果的な指導方法であったといえた.
  • ~時間計測による行動内在型強化の出現~
    永井 美帆, 千葉 直之, 桂下 直也, 釣 洋介, 坂口 友康, 遠藤 晃祥
    2012 年 3 巻 p. 14-18
    発行日: 2012年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では繰り返す指導によっても起き上がり動作の自立が困難であった患者に対して,応用行動学の技法を用いた介入を行い,その効果について検討した.対象は,脱水症を呈した66歳の男性患者である.ベースライン期は,通常している起き上がり動作訓練を2週間実施した.介入期では,先行刺激を明確化し,逆方向連鎖の技法を用いて訓練を実施し,強化刺激の整備を行った.強化刺激は賞賛と時間測定を行い,グラフでのフィードバック,他のスタッフによる社会的評価を1週間実施した.その結果,身体機能に変化が無いのにも関わらず,起き上がり動作の成功率は増加し,さらに起き上がりに要する時間が短縮された.介入終了後も起き上がり動作の成功率は維持され,病棟でのADL拡大にも繋がり,患者の言動や行動にも変化が認められた.以上のことから,本症例に対する応用行動学の技法を用いた介入方法は,起き上がり動作の成功率を上げ,維持する上で有効に機能したものと考えられた.
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