本研究は,行動障害を評価するDementia Behavior Disturbance Scale と日常生活自立度を評価するFunctional Independence Measureや認知重症度を評価するMini-Mental State Examination,改訂長谷川式簡易知能評価スケールの関係性について検討した.対象者は, 2011年4月~2012年3月まで当院に入院し,意識障害の無い104名の患者様である.内訳は男性30名,女性74名.年齢は平均81.0±7.9歳,DBDスケールは平均5.3±6.3点,FIMは96.9±27.0点,MMSEは19.0±6.7点,HDS-Rは18.0±7.9点であった.統計と解析には,Spearmanの順位相関係数を用いた.その結果,行動障害と認知重症度,日常生活自立度には中等度の負の相関が見られた.本研究の結果から,行動障害と認知重症度,日常生活自立度の関係性は明らかになったが,対象者の特徴や予後予測の検討,また本研究の対象者に該当しない項目が見られたため,病棟生活にあったさらなる項目の追加を検討していき,既存の行動障害の評価よりもより精度の高い行動障害評価票を作成していく必要があると考えられた.
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