森林セラピーは人間の健康管理に寄与する以外に、事業を行う地域への経済効果が期待されている。しかし森林セラピーの生理学的研究は多数見られるが、経済効果を推計した研究はほとんど見られない。本研究の目的は、信州信濃町癒しの森事業を対象に森林セラピー事業の経済波及効果を推計することである。観光統計、事業運営主体や事業を利用する企業への聞き取り調査、独自に作成した信濃町産業連関表を用い、2011年~2015年度の5年間合計の信州信濃町癒しの森事業の経済波及効果を推計した。その結果、経済波及効果のうち総合誘発効果は約3億972万円、付加価値誘発効果は約1億5,937万円、税収効果は約282万円と算出された。生産誘発係数は約1.21であった。部門別では宿泊業部門に大きな経済波及効果が生じており、今後は企業の研修利用を引き続き呼び込むことで、より大きな経済波及効果を生むことができると考える。
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