笑い学研究
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29 巻
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  • 鳶野 克己
    2022 年 29 巻 p. 1-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
  • 青砥 弘幸
    2022 年 29 巻 p. 3-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では、学級におけるクラスクラウンの意味や役割について、まず、海外における先行研究を確認した。そこでは、クラスクラウンとは、継続的に学級に笑いをもたらす児童生徒であり、さらに「反抗的クラウン」と「遊戯的クラウン」という区別の必要な2つのタイプが存在していることが明らかにされていた。特にこのうちの「遊戯的クラウン」は文化人類学における「トリックスター」概念との関連性が非常に高いと考えられる。そこで、共同体におけるトリックスターの社会的役割に関する知見を援用して検討することで、クラスクラウンが、学級に内在する学校教育的な秩序や規範である「教室秩序」からの逸脱行為により、それを相対化し、共同体としての学級に変化をもたらす存在である可能性が指摘された。その変化として「教室秩序の破壊」「教室秩序の維持・強化」「教室秩序の創造」の3パターンを示した。
  • メッダーフルックと落語の類似点の考察
    ハリト ムズラックル
    2022 年 29 巻 p. 17-35
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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     トルコには、「メッダーフルック」(Meddahlık)という、一人の語り手が仕草や声色で複数の人物を造形し、聴き手の興を誘う話芸があった。語り手であるメッダーフ(Meddah)は、「人々の暮らしの中の滑稽な場面を鋭い観察眼とともに再現しリアルな場面を表現」していた(Jacob 1904:13)。メッダーフルックは会話を中心とした表現方法で物語を進め、聴き手を想像の世界へ導いていた。宗教や聖人伝説を語ることからスタートしたメッダーフルックであったが、次第に宗教色が薄れ、人々の実生活にかかわる噺が増えた。しかし、20世紀に入ってから、娯楽の多様化や西洋演劇の受容によってほんのわずかに演じられる程度にまで衰退し、メッダーフルックを職業とする語り手が現在ではほとんどいなくなった。  本研究では、落語の口演形式との比較の上で、メッダーフルックの構造分析を行い、落語とメッダーフルックには共通する要素が多くあることを明らかにした。また、歴史的な背景の分析も行った結果、メッダーフルックと落語の成立に「宗教性」が関与しているという点においても共通していることを検証した。
  • 1929年の「ユーモア小説」界
    藍木 大地
    2022 年 29 巻 p. 37-52
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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     本論文は、戦前に活躍したユーモア作家・辰野九紫が『新青年』に発表した「青バスの女」を取り上げて、それが受容された理由と、その作品の面白さ・斬新さについて考察した。辰野が『新青年』に初登場した1929年は、文壇としても読者としても「ユーモア小説」を希求していた時期だった。特に出版社は多くの読者を獲得するため、新たなユーモア作家の発掘が急務だった。講談社系の雑誌に多くの作品を発表していた佐々木邦の対抗馬として、『新青年』を発行する博文館が見出したのが辰野九紫であった。「青バスの女」に描かれた〈ユーモア〉は、風刺や登場人物のおかしさだけでなく、地の文に見られる様々な技巧により生み出されていた。「青バスの女」以降、辰野九紫は博文館の大衆向け雑誌『朝日』に作品を発表するなどして、戦前の「ユーモア小説」界で、佐々木邦・獅子文六とともにその普及に努めていくのだった。
  • ユーモアの定義をめぐるRuchの問題
    鵜子 修司, 成瀬 翔
    2022 年 29 巻 p. 53-69
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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     現状、研究者たちがユーモアを明晰に定義できていないことは、批判されるべきである。この事実は、研究者たちが「ユーモアとは何か」について、非専門家の期待に応える知識を示せないというだけでなく、ユーモアを研究するための基本的な道具を持たないことをも意味している。これは約四半世紀前にWillibald Ruchが既に提起していた問題である(Ruch, 1998)。彼はこの問題を二つに改めている。すなわち、「これまで我々はどのようにユーモアを用いてきたか」および「我々はどのような科学概念としてユーモアを理解したいか」である。本稿では、これらを「Ruchの問題」と総称し、特に後者の問題に答えるため必要な議論のロード・マップを提示した。これはユーモアを定義するために、「どのような型を採るべきか」および「どのような要素を含めるべきか」という、二つの問いに大別された。これらは問題に対処するトップ・ダウン/ボトム・アップな方針に、それぞれ対応する。
  • STLEAM構想
    北垣 郁雄
    2022 年 29 巻 p. 71-89
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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     本ノートでは、笑いを主旨とするイグノーベル賞受賞作品に関し、日本の業績の定性分析と定量分析を行う。その結果を参照しつつ、「笑いを含むイノベーション」を考察することを目的とする。  定性分析については、笑いの諸理論を援用して受賞作品の特徴を抽出する。まず、その諸理論の解釈を行うとともに、理論間の関係を調べる。次に、その中の価値論を取り上げて、価値の構造を図式化する。その構造表現を援用しつつ日本人による受賞作品を解釈する。また、笑いの感情の誘発要件に言及するとともに、その誘発モデルを提案する。  定量分析については、受賞数を国別に求め、日本が先進国の中でも高い業績を有する国であることを述べる。  また、日本のビジネスを中心にして、今後のイノベーションを考察する。多くのイグノーベル賞受賞作品が「イノベーション」を志向していることを述べるとともに、「笑いを含むイノベーション」を図る際の留意点をまとめる。そして、STEM(理工学)の拡張として、「笑い(Laughter)を含むイノベーションSTLEAM」を図ることを事例提案している。
  • 夢路いとし・喜味こいしの元マネージャー・津田愼一氏の回想〈その1〉
    やまだ りよこ
    2022 年 29 巻 p. 91-101
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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     日本笑い学会の研究企画の一環として取り組んでいる「聞き書き」。長く「笑い」に携わり表からは見えない側面や裏面を知る、そんな現場にいた方の体験談を記録に残す<拾遺録>第二弾です。  今回は、上方漫才のレジェンドー夢路いとし・喜味こいしのマネージャーとしてお二人を長く支え続け、それ以前からも裏方として関西の笑芸界を間近で見つめてきた津田愼一さんの歩みを一人語りの形でまとめました。コロナ禍のため長い休止をはさんで2回計7時間におよんだインタビューは昭和の上方笑芸史を物語る貴重な回想録ともなり、そのため特別に「その1」「その2」にわけて構成。「その2」は次号に掲載します。
  • 村島 義彦
    2022 年 29 巻 p. 103-104
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
  • 森下 伸也
    2022 年 29 巻 p. 105-106
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
  • 鹿島 我
    2022 年 29 巻 p. 107-108
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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  • 伊藤 理絵
    2022 年 29 巻 p. 109-110
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
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  • 野村 亮太, 石田 聖子, 福島 裕人, 森田 亜矢子, 松阪 崇久, 白井 真理子
    2022 年 29 巻 p. 111-114
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
     笑いに関する研究は世界中でおこなわれています。本欄では、英語で発表された笑い学の最近の研究成果を紹介しています。笑いに関する研究は、医学、心理学、社会学、哲学、文学、言語学、動物行動学など、多様な学問領域の専門雑誌に掲載されています。幅広い分野で展開されている世界の研究動向について共有することで、国内での笑い学の研究がさらに発展することにつながればと考えています。  本号では計6本の研究論文についての紹介記事を掲載することになりました。記事の執筆には、6名の研究者にご協力いただきました。どうもありがとうございました。
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