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クエリ検索: "アレキシサイミア"
763件中 1-20の結果を表示しています
  • 灘岡 壽英, 生地 新, 森岡 由起子, 十束 支朗
    心身医学
    1995年 35 巻 5 号 367-373
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2017/07/15
    ジャーナル フリー
    慢性落痛を主訴に山形大学医学部精神神経科と山形県立中央病院精神科を受診し, DSM-III-Rで「身体表現性疼痛障害」の診断基準を満たす患者48名について, 心理検査として「痛みについての質問票」, CMI, MMPIを施行し, その心理特性と治療予後について考察を加えた。1)これら対象に関し, 精神科での診察時の特徴から, 心理的特徴としての
    アレキシサイミア
    傾向の有無について検討した。その基準として, (1)不安, 抑うつ, 攻撃性などの感情表現に乏しい, (2)身体症状に対するこだわりの強さ, (3)精神療法的介入の困難さ, の3点について検討し, すべてを満たすものを
    アレキシサイミア
    群, (1)(3)のいずれにも該当しないものを非
    アレキシサイミア
    群, その他を中間群とした。その結果, 14名が
    アレキシサイミア
    群, 21名が非
    アレキシサイミア
    群, 13名が中間群と分類された。2)対象者全員に「痛みについての質問票」の記入を依頼したところ, 48名中46名が質問項目のII-4,5,III-1,2,3のいずれかで高得点を示した。CMIは40名に施行し, I領域が4名, II領域が14名, III領域が10名, IV領域が12名という結果であった。MMPIは28名に施行し, 8名が正常プロフィール, 9名が"conversionV"プロフィール, 9名がその他の神経症スケールの高値を示し, 1名はその他の病的プロフィールを示した。3)「痛みについての質問票」で精神症状を示すIII1,2,3の得点総計を, 身体的苦痛を示すII-4,5の得点総計で割った値(
    アレキシサイミア
    傾向スコア)を比較したところ,
    アレキシサイミア群の平均値は非アレキシサイミア
    群の平均値に比べ, 有意に低かった。同様に, CMIでIII, IV領域に属するものの数を比較したところ,
    アレキシサイミア
    群の数が, 非
    アレキシサイミア
    群の数に比し, 有意に少なかった。MMPIの"AlexithymiaScaIe"を
    アレキシサイミア群と非アレキシサイミア
    群で比較したが, その平均値に有意差は認められなかった。4)治療の予後を
    アレキシサイミア
    群, 非
    アレキシサイミア
    群で比較したところ, 非
    アレキシサイミア
    群の方が薬物療法や精神医学的治療に対する反応がよかった。5)各種心理検査, 治療の結果から分かるとおり, 慢性落痛と診断される患者の心理機制は一様ではなく, それぞれの特性に応じた治療技法を考える必要がある。「痛みについての質問票」の結果から得られる「
    アレキシサイミア
    傾向スコア」は, 慢性疼痛患者の中での
    アレキシサイミア
    傾向を有する患者の判定に有用であり, 治療法の選択や予後の判定に補助的に用いることが可能と考えられた。
  • 中野 良信, 向井 竜也
    日本歯科心身医学会雑誌
    2001年 16 巻 2 号 123-129
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    This study examined alexithymia using the Minnesota Multiphasic Personality Inventory-Alexithymia Scale (MMPI-AS) in patients with various oral disorders.
    The subjects consisted of 581 patients (134 males: mean age 42.7±19.5, 447 females: mean age 46.5±18.9), including 321 with physical disorders [temporomandibular disorders (TMD), recurrent aphtha (RA) and etc.], 19 with vague complaint-complicated physical disorders, 177 with a single vague complaint (oral paresthesias, glossodynias etc.) and 64 with vague multiple complaints.
    The results were as follows:(1) patients with vague oral complaints scored significantly higher than patients with physical disorders.(2) Patients with glossodynia scored significantly higher than patients with oral paresthsia, TMD, or RA.(3) Female patients scored significantly higher than male patients.(4) Elderly patients scored significantly higher than younger or middle-aged patients, while the difference between the latter two groups was not significant.
    It is considered that dentists should also understand alexithymia as patients with some oral disorders are alexithymic.
  • 鹿野 理子
    行動医学研究
    2016年 22 巻 2 号 65-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/06/23
    ジャーナル フリー
    アレキシサイミア
    (失感情症)は、シフネオスが古典的心身症患者の臨床観察から、心身症患者にみられる性格特性として提唱した概念である。
    アレキシサイミア
    傾向者は、情動の認識や表現ができず、情動を介したコミュニケーションが不得手で、情動体験を言語などの象徴化機能を通じて表現できない。そのため、しばしば心理療法が成立せずに治療が難渋する。
    アレキシサイミア
    の問題は情動制御の困難さにあるとされ、心身症のみならず、様々な精神疾患、死亡率や心臓死率にも関連することが報告されたが、情動制御が身体症状に関連するメカニズムは十分に解明されてはいない。過敏性腸症候群は、器質的所見がないものの、便通異常に伴う腹痛を慢性的に示す症候群で、ストレスがその発症や症状の増悪に影響する。最もよく見られる典型的な心身症のひとつである。過敏性腸症候群においても
    アレキシサイミア
    傾向との関連が報告されている。
    アレキシサイミア
    では特に陰性感情を調整することができずに、陰性情動に伴う身体的過覚醒の状態、自律神経系、および神経内分泌反応が亢進し、それらが身体症状の発症、および増悪因子となると推測されている。これまでの
    アレキシサイミア
    研究では、疫学研究は
    アレキシサイミア
    と心身症を含む様々な疾患群との関連を示し、神経生理学的研究、および脳科学研究は
    アレキシサイミア
    の特徴をこの仮説を支持する形で提示している。しかしながら、特に多くの神経生理学的研究では臨床症状を呈さない健常者での
    アレキシサイミア
    傾向が高いものを対象としており、情動が身体症状に影響するメカニズムを解明するにあたり、疾患群での検討が必要である。本総説では、これまでの
    アレキシサイミア
    と過敏性腸症候群の関連を検討した先行研究を総括し、自験例を示し、過敏性腸症候群の脳腸相関の病態への
    アレキシサイミア
    傾向の影響を考察する。
  • *細川 亜佐子, 北神 慎司
    日本認知心理学会発表論文集
    2022年 2022 巻 P2-B21
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    アレキシサイミア
    は自己の感情認識に乏しい性格傾向であり,他者への共感性も低いことが示唆されている。
    アレキシサイミア
    傾向が高い場合,共感性を介した互助に結びつきにくく,精神的健康の問題を抱えやすい。他方,感情制御方略は,精神的健康と関連し,心理臨床への応用が期待されている。感情制御方略は
    アレキシサイミア
    と共感性の関係に影響すると考えられるが,その関連性は明らかにされていない。そこで,本研究は
    アレキシサイミア
    傾向による共感性の抑制効果が感情制御方略によって異なるのかを検討するため,質問紙調査を実施した。その結果,
    アレキシサイミア
    傾向が高いほど共感性は低下するが,物事の捉え方を変えることでネガティブ感情を緩和する「再評価」方略の使用傾向が高いと,認知的共感性が高くなることが示唆された。したがって,感情制御方略を調整することで,
    アレキシサイミア
    傾向による共感性の抑制を低減する可能性が考えられる。
  • 古畑 僚, 岡崎 慎治
    障害科学研究
    2021年 45 巻 1 号 189-198
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

     ASDはその主症状の他に、

    アレキシサイミア
    傾向の高さ、感情調節の困難さ、および不安傾向の高さなどの感情面に関する問題が指摘されている。本研究では、
    アレキシサイミア
    傾向の評価に用いられている各種の質問紙について整理したあと、ASDにおける
    アレキシサイミア
    傾向と不安、感情調整との関連について扱った研究に関する検討を行なった。種々の研究から、ASDの持つ
    アレキシサイミア
    傾向は認知面における困難さであることや、
    アレキシサイミア
    のサブタイプを踏まえた分析の有用性、これらの要素がそれぞれ関連していることが示唆された。一方で、それらが互いに及ぼす影響や因果性については未だ明らかではなく、今後の検討が必要であろうと考えられた。また、臨床上はASDの
    アレキシサイミア
    傾向の特性に関する研究知見と介入との結びつきが今後より重要になると思われる。

  • *劉 晶妮, 福島 宏器
    日本心理学会大会発表論文集
    2020年 84 巻 PH-007
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    アレキシサイミア
    (感情失認)の傾向は,映像刺激や言語刺激などに対する感情的な経験の乏しさと相関することが報告されている。しかしLyversら(2018)は,「音楽」という感情刺激に対しては,逆に
    アレキシサイミア
    傾向が高いほど感情的な経験が強いことを報告した。本研究は,
    アレキシサイミア
    の下位尺度や共変量(特性不安)を含めてこの知見を詳細に再検討することを目的とした。中国人(n=348)と日本人(n=341)を対象として,参加者の基本属性,トロント・
    アレキシサイミア
    尺度,ジュネーヴ音楽感情尺度と状態特性不安尺度を測定した。分析結果から,日中どちらのポピュレーションにおいても,
    アレキシサイミア
    が高い人は音楽に対する感情経験の強度が高くなる傾向が示され,Lyversら(2018)の結果は概ね確認された。さらに,
    アレキシサイミア
    の中でも特に,感情の同定困難という下位因子が音楽に対する感情経験の強さと関連することが新たに示唆された。この結果の解釈として,音楽経験にはもともと言語的な理解に依存しない特性が大きく,感情を言語概念的に同定することが困難な
    アレキシサイミア
    にとって,かえって感情を解放させる契機となる可能性が考えられる。

  • 竹内 裕美, 寺井 堅祐, 梅沢 章男
    バイオフィードバック研究
    1999年 26 巻 14-20
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2017/05/23
    ジャーナル フリー
    本研究は, 実験的ストレッサーに対する心臓血管反応性と
    アレキシサイミア
    人格特性の関連性を明らかにすることを目的とした.健康な男女大学生25名に対して, 暗算(能動的対処課題)と寒冷昇圧(受動的対処課題)の2種類の課題を提示した.また, 全被験者に対しトロント・
    アレキシサイミア
    尺度(TAS-20)とMMPIを施行した.被験者はTAS-20の中央値によって,
    アレキシサイミア
    高・低群に分けられた.心拍数(HR)と平均血圧(MBP)を分析したところ, 以下の所見を得た.(1)HR, MBPは, 実験的ストレッサーに対して有意な増加を示した.(2)
    アレキシサイミア
    高群は, 低群と比較して, 有意に低いHR反応性を示した.(3)MBP反応性については,
    アレキシサイミア
    高・低群に統計的な差異は認められなかった.(4)
    アレキシサイミア
    高群は, 低群と比較すると, MMPI妥当性尺度の修正点(K)が有意に低く, 抑うつ(D), 精神衰弱(Pt), 社会的内向性(Si)尺度において高い丁得点を示した.これらの結果より,
    アレキシサイミア
    傾向の高い個人は, 強い主観的な不適応感を持っているにもかかわらず, ストレス刺激に対する心臓側の反応性は決して高くないと考えられた.
  • 姉小路 園生, 越智 啓太
    パーソナリティ研究
    2005年 14 巻 1 号 127-129
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/11
    ジャーナル フリー
  • 酒井 久実代
    感情心理学研究
    1999年 6 巻 2 号 57-69
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2009/04/07
    ジャーナル フリー
    Self-awareness of emotions was defined as the ability for recognizing one's various emotions by putting them in words. The test had four questions in which the subjects explained the events and described their feelings when they were happy, angry, received mental pain, and enjoying. The test score was the number of the expressed feelings. The test was performed to 160 female university students with Emotional Intelligence Scale (EI-33) and Toronto Alexithymia Scale (TAS-20), all of which were conceptually related. The reliability of these three tests were acceptable. Self-awareness of emotions, emotional intelligence, and alexithymia were analized by factor-analysis model of covariance structure analysis. The results revealed that self-awareness of emotions had a positive significant correlation with emotional intelligence and emotional intelligence had a negative significant correlation with alexithymia. These results proved the conceptual relationships among them and supported the construct validity of them. But it was discussed that these tests left much room for improvement.
  • *吉田 一生, 市川 優一郎
    日本心理学会大会発表論文集
    2021年 85 巻 PD-060
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder;以下,ASD)における,特異な内受容感覚に関する研究が進んでいる。中でも

    アレキシサイミア
    (Alexithymia)がASDの内受容感覚に関連するとする報告が多くされている。しかし,
    アレキシサイミア
    と概念的なつながりの深いアレキシソミアを含めて,ASDの内受容感覚との関連を検討した研究はほとんどない。そこで本研究では,ASDが
    アレキシサイミア
    とアレキシソミアを媒介して内受容感覚に影響するという仮説について検討した。大学生310名を対象に,質問紙による調査研究を実施した。構造方程式モデリングの結果,ASDが
    アレキシサイミア
    とアレキシソミアを媒介して「気が散らない」,「注意制御」,「身体を聴く」,の内受容感覚に関する3つの側面に負の影響を与えることが明らかになった。したがって,ASDにおける内受容感覚を検討する際は,
    アレキシサイミア
    とアレキシソミアの両者を含めた上での検証が必要である可能性が示唆された。

  • 田中 勝則, 田山 淳, 有村 達之
    心身医学
    2013年 53 巻 4 号 334-342
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では大学生における身体醜形懸念と
    アレキシサイミア
    の関連について検討することを目的とした.身体醜形障害および
    アレキシサイミア
    のいずれにもネガティブ感情が関連していることから,身体醜形懸念,
    アレキシサイミア
    ,ネガティブ感情についての関連を検討した.大学生328名(男性187名,女性141名)から得られたデータを分析した結果,ネガティブ感情を統制したうえでも,身体醜形懸念の下位因子はいずれも
    アレキシサイミア
    の下位因子である感情同定困難因子と有意な正の相関を示した.また,身体醜形懸念の下位因子の一つである容姿への否定的評価因子は,同様にネガティブ感情を統制した際に,
    アレキシサイミア
    の下位因子である感情伝達困難因子とも有意な正の相関を認めた.
    アレキシサイミア
    の外的志向因子は身体醜形懸念とは有意な相関を認めなかった.重回帰分析の結果,感情同定困難因子は身体醜形懸念のいずれの下位因子とも有意な正の関連を示した.一方,感情伝達困難因子および外的志向因子は身体醜形懸念のいずれの下位因子とも有意な関連を示さなかった.以上の結果より,
    アレキシサイミア
    の特徴の一つである感情同定困難が身体醜形懸念と正の関連を有している可能性が示唆された.
  • *劉 晶妮, 福島 宏器
    日本心理学会大会発表論文集
    2021年 85 巻 PH-014
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/30
    会議録・要旨集 フリー

    アレキシサイミア
    は,映像や言語刺激などに対する感情的な経験の乏しさと相関することが報告されている。しかし近年,質問紙調査によって,音楽という刺激に対する日常的な感情経験については,逆に
    アレキシサイミア
    傾向が高いほど感情的な経験が強いことが示唆されている。本研究は,こうした知見をさらに直接的に検討するため,参加者に実際に音楽を聴取させ,音楽聴取前後の顕在・潜在的な感情の変化と
    アレキシサイミア
    傾向との関連を明らかにすることを目的とした。参加者間計画としてHappy音楽を聴取する群とFear音楽を聴取する群に分けて調査を行った。結果として,音楽聴取に対する顕在・潜在的な感情反応の仕方は,音楽の感情価(HappyとFear)による差異が見られたものの,
    アレキシサイミア
    傾向と音楽による感情誘導効果の大きさとの間にほぼ正の相関があることが示された(つまり,先行研究の知見が再確認された)。特に,Happy音楽を聴取する群では
    アレキシサイミア
    傾向が高い人ほど顕在的なネガティブ感情が低下していた。一連の結果は,音楽聴取が
    アレキシサイミア
    に伴うメンタルヘルスの問題に良い効果をもたらす可能性を示唆している。

  • 山脇 望美, 河野 荘子
    犯罪心理学研究
    2020年 57 巻 2 号 19-31
    発行日: 2020/01/30
    公開日: 2020/04/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,自閉スペクトラム症傾向を構成する特性のうち,

    アレキシサイミア
    傾向と関連するものが攻撃性を高めることにより粗暴行為を引き起こすという仮説を検討することであった。参加者は非行少年257名であり,自閉スペクトラム症傾向はAutism-Spectrum Quotient,攻撃性はBuss-Perry Aggression Questionnaire,
    アレキシサイミア傾向は青年期用アレキシサイミア
    尺度,粗暴行為は過去1ヶ月と過去1年間の粗暴行為の回数により測定された。分析の結果,
    アレキシサイミア
    傾向と関連する自閉スペクトラム症傾向の特性の一つであるコミュニケーションの乏しさは,攻撃性を高めることにより粗暴行為と関連した。また,
    アレキシサイミア
    傾向と関連する自閉スペクトラム症傾向の特性の一つである想像力の乏しさは,直接的に粗暴行為と関連した。したがって,本研究では,自閉スペクトラム症傾向を構成する一部の特性が攻撃性を高めることにより粗暴行為と関連することや,直接的に粗暴行為と関連することを示した。

  • 萬谷 智之, 佐伯 俊成, 岡村 仁, 岡本 泰昌, 山脇 成人
    総合病院精神医学
    2014年 26 巻 3 号 278-286
    発行日: 2014/07/15
    公開日: 2017/08/29
    ジャーナル フリー

    背景:

    アレキシサイミア
    は精神療法の予後を悪化させることが報告されてきた。しかし,
    アレキシサイミア
    が薬物療法の予後に与える影響については知られていない。

    方法:大うつ病の入院患者26名について前方視的に調査した。患者は通常の臨床設定で薬物療法を受けた。入院時に種々の社会医学的項目とTAS-20,SDSを,退院6カ月後に就労の有無と再入院の有無を調査した。

    結果:ロジスティック回帰分析の結果,退院6カ月後の就労の有無に影響を与える有意な因子は,入院時の

    アレキシサイミア
    の程度と婚姻の有無だった。再入院の有無に影響を与える有意な因子は存在しなかった。

    結論:本研究では,

    アレキシサイミア
    は薬物療法を受けた大うつ病患者の予後と関連していた。大うつ病患者の予後を改善するために,
    アレキシサイミア
    を考慮した治療戦略を検討することが有用かもしれない。

  • 橋爪 誠, 安水 悦子, 黒丸 尊治, 中井 吉英
    Oncologyの進歩
    1997年 7 巻 1 号 48-52
    発行日: 1997年
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    It has been well established, with the development of pychooncology, that psychosocial factors play an important role in clinical course and prognosis of malignant diseases. We regard psychooncological approaches to cancer patients as one of large subjects in psychosomatic medicine.
    In the present study, we investigated psychological characteristics in 47 patients with breast cancer who were hospitalized in the 2nd department of surgery in Kansai Medical University and had an operation. As psychometrical instruments, State-trait anxiety inventory (ATAI) and Minnesota multiphasic personality inventory (MMPI) were employed. In order to inquire psychosomatic background, a semi-structured interview was conducted in each subject.
    As a whole, breast cancer patients were found to be more anxious on the STAI, compared to healthy controls. On the contrary, most patients did not express manifest anxiety on the occasion of individual interview. About 40% of them denied the presence of worries about the disease and 70% were prone to be emotionally suppressive. These results were compatible with high sores on the MMPI-alexithymia scale in breast cancer patients because the concept of alexithymia proposed by Sifneos implies difficulties identifying and describing feelings.
    Considering the fact that alexithymic character is frequently recognized in various psychosomatic patients, it is suggested that subjects with cancer and those with psychosomatic disease may have common psychological features.
  • 木場 律志, 神原 憲治, 山本 和美, 伴 郁美, 岡 裕子, 加藤 文恵, 福永 幹彦
    心身医学
    2013年 53 巻 7 号 670-681
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    目的:機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)患者の予期緊張を,唾液アミラーゼで評価し,心理指標との関係を検討した.方法:FSS患者27名と,コントロール22名のストレス負荷前の唾液アミラーゼ測定と,気分,不安,抑うつ,
    アレキシサイミア
    傾向を測る心理検査を行った.結果:唾液アミラーゼ値はコントロールよりFSS患者で高く,コントロールで一過性の抑うつと
    アレキシサイミア
    傾向が,FSS患者で緊張,不安,持続的な抑うつが唾液アミラーゼ値に強く関与した.唾液アミラーゼ値と
    アレキシサイミア
    傾向は,コントロールでは相関を示したが,FSS患者では逆相関を示した.結論:FSS患者は,交感神経系の予期反応が高く,緊張や不安,持続的な抑うつがこれに関与していた.自律神経機能と
    アレキシサイミア
    傾向の関係は,FSS患者はコントロールと異なる特徴を示した.
  • 陶山 和美, 石﨑 淳一
    心身医学
    2021年 61 巻 3 号 266-274
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    アレキシサイミア
    は精神的健康に関連する重要な特性であることが知られている. また, 複数の認知的感情制御方略は精神的健康と関連することが報告されてきた. しかし,
    アレキシサイミア
    , 認知的感情制御方略, 精神的健康の3者がどのように関連するのかは明らかではない. そこで本研究は, 複数の認知的感情制御方略が
    アレキシサイミア
    傾向を媒介して精神的健康に影響するという仮説について検討した. 大学生150名を対象に, 心理尺度を用いて質問紙調査を行った. 共分散構造分析の結果, 「反芻」 「自責」 「破局的思考」 の3つの不適応的な認知的感情制御方略が 「感情の同定困難」 と 「感情の伝達困難」 という
    アレキシサイミア
    傾向に媒介されて精神的健康を悪化させることを見い出した. したがって, 認知的感情制御方略への心理的介入を行うことで
    アレキシサイミア
    傾向を抑制し, それにより精神的健康の悪化を防ぐことができる可能性が示唆された.

  • 岡田 敦史, 行場 次朗
    日本ヒューマンケア科学会誌
    2019年 12 巻 2 号 12-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

     心身症と深く結びつく

    アレキシサイミア
    傾向に影響を及ぼす個人特性(身体感覚増幅傾向とフォーカシング的態度)について検討した。
    アレキシサイミア
    とは、感情の同定困難(DIF)、感情の伝達困難(DDF)と外的志向(EOT)の3因子からなる特性をもち、心身症と結びつきやすく、その上、洞察的心理療法への適応困難性もあると指摘されている。身体感覚増幅傾向とは、自覚する身体感覚を有害で支障のあるものとみなす傾向であり、
    アレキシサイミア
    との関連が強いことが明らかにされている。一方、フォーカシング的態度とは、自身の内側の体験に対して優しく、丁寧に触れる独特の態度であり、精神的健康とは正の相関が明らかにされている。本研究では、大学生130名を対象として、トロント・
    アレキシサイミア
    スケール(TAS-20)、身体感覚増幅尺度(SSAS)、体験過程尊重尺度(FMS-18)を実施した。重回帰分析を行った結果、SSASはTAS-20に強い正の影響を及ぼした。一方で、FMS-18は強い負の影響を及ぼした。このことは、自身が感知する感覚・身体イメージに対して、否定的な自覚態度と、優しく友好的な肯定的自覚態度によって、
    アレキシサイミア
    傾向の強弱が影響を受けることがわかった。これらの知見により、心理療法(例:フォーカシング指向心理療法)などの支援により、自己の感覚・身体イメージに肯定的に気づくことを習得することで、
    アレキシサイミア
    傾向が改善される可能性が推察された。

  • 髙橋 純一, *平野 智久, *村井 諒平, *行場 次朗
    日本認知心理学会発表論文集
    2015年 2015 巻 P-2-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/21
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,視覚処理段階に着目して怒り顔/幸福顔優位効果の生起を検討した(研究1)。その知見を基にして,
    アレキシサイミア
    の表情認知特性を検討した(研究2)。研究1では,フリッカー法による検出課題と記憶課題を実施した。結果から,検出課題(視覚処理の初期段階)では怒り顔優位効果が見られ,記憶課題(視覚処理の後期段階)では幸福顔優位効果が見られた。研究2では,視覚探索課題と変化検出課題を実施した。結果から,
    アレキシサイミア
    の個人差は変化検出課題(視覚処理の後期段階)でのみ見られた。特に,
    アレキシサイミア
    傾向者は,幸福顔の記憶成績が低かった。視覚処理の初期段階(視覚探索課題)では,両群で怒り顔優位効果が生じるため個人差が見られなかったと推測できる。
    アレキシサイミア
    傾向者は,記憶に関して,危険度の高い刺激(怒り)は処理できるが,危険度の低い刺激(幸福)に対しては特異的な機能不全を示す可能性がある。
  • 守口 善也
    心身医学
    2011年 51 巻 2 号 141-150
    発行日: 2011/02/01
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    アレキシサイミア
    (失感情症)とは,自己の感情の同定や表象の困難という情動処理の不全に関する性格傾向で,心身症などの疾患で重要とされる.その脳機能の研究は重要であるが,体型的なまとめはなかった.ここでは,従来の
    アレキシサイミア
    にかかわる脳機能画像研究をレビューした.その結果,(1)外的な情動(視覚)刺激,および想像性に対する辺縁系・傍辺縁系(扁桃体,島皮質,前帯状回,後帯状回)の反応性は低下しており,(2)内的な体性感覚・運動などの「身体」にまつわる刺激に対しては,島皮質や感覚運動領域をはじめとして,むしろ亢進している.(3)社会性の課題に対しては,内側前頭前野・島皮質などにおいて活動が低下していた.
    アレキシサイミア
    がもつ「外的な情動刺激への鈍麻」と,一方で「より内的でダイレクトな『身体』感覚への過敏」という脳機能の特性は,
    アレキシサイミア
    の人の一部が身体症状に依存することにつながっている思われる.
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