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クエリ検索: "エルニーニョ・南方振動"
140件中 1-20の結果を表示しています
  • *横山 祐典, 鈴木 淳
    日本地球化学会年会要旨集
    2013年 60 巻 1A10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    熱帯から亜熱帯域の気候変動の卓越したモードにエルニーニョやラニーニャ, そして大気の変動である南方振動があるが, それらを含めた
    エルニーニョ
    南方振動
    の挙動を理解することは, 気候システムの全体の理解に繋がる重要なテーマである.これらの気候システムの理解のためには長期間の測器記録の高分解能記録が有用であるが, 1950年を遡るとそれらのデータは少ない. そこで古気候分野では, 間接指標(プロキシ)をもちいた過去の気候復元研究が行われている.本講演では, 筆者らのグループを含めた古気候古海洋研究者において行われてきた近年の古気候研究におけるENSO復元の例を用いながら, ENSO研究の現状について紹介する.
  • *高村 直也, 羽田 泰彬, 松本 一穂, 久米 朋宣, 植山 雅仁, 熊谷 朝臣
    日本森林学会大会発表データベース
    2023年 134 巻 P-341
    発行日: 2023/05/30
    公開日: 2023/05/30
    会議録・要旨集 フリー

    世界の気候を変動させる

    エルニーニョ
    南方振動
    (ENSO)は東南アジア熱帯雨林の動態にも影響を与えていると考えられる。本研究ではボルネオ熱帯林で得られたエルニーニョ(EN)・ラニーニャ(LN)を含む10年間の気象・フラックスデータを用いて、群落の気孔開度(Gc)や群落の光合成能力(Vcmax25)などの植物生理学的機能を逆推定した。また推定結果と観測データに対してスペクトル解析、多重比較検定、機械学習を用いた重要度の算出を行うことでENSOが本調査地の炭素・水循環に与える影響を考察した。解析の結果、本調査地は降水量と気温の季節変動が世界的にも小さい地域でありながらGcとVcmax25は季節変動・年々変動をしており、ともにLN > 通常時(NC) > ENの順で減少していた。純生態系生産(NEP)と蒸発散量(ET)も季節変動・年々変動をしていたが、NEPはLN > NC > ENと減少した一方でETは各期間で同等であるという相違点があった。フラックスの変動のメカニズムを検討した結果、LNとNCではVcmax25と日射量がそれぞれNEPとETの主要な制御因子であり、ENではGcも相対的により制御因子として強く働くことが示唆された。

  • *浅海 竜司, 山田 努, 井龍 康文
    日本地球化学会年会要旨集
    2005年 52 巻 3A09
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    西太平洋域の古海洋環境を気象観測以前に遡って復元することは,数年から数十年スケールの気候変動のメカニズムを把握する上で重要ある.熱帯・亜熱帯の浅海域に生息するサンゴは,過去数百年間の古気候情報を提供する有用なプロキシとして注目される.本研究では,グアム島において1787年から成長を続ける造礁サンゴの骨格試料を採取し,その炭素・酸素同位体比の時系列データを高時間解像度で抽出した.そのデータについて統計解析やスペクトル解析を行った結果,18世紀末から現在までのENSO(
    エルニーニョ
    南方振動
    )の記録が復元され,さらに,この海域における十数年から数十年スケールの変動や長期温暖化傾向の存在が示唆された.
  • *菅野 洋光, 西森 基貴, 野中 章久, 山下 義道, ウアケイア タクイア
    日本地理学会発表要旨集
    2018年 2018a 巻 512
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/01
    会議録・要旨集 フリー
    ENSO(
    エルニーニョ
    南方振動
    )による地球規模での気候変動に関しては多くの研究があるが、熱帯島嶼地域への小気候学的な影響については未解明な部分が多い。特に平均標高が2mのキリバス共和国においては、海水面高度の上昇や地下水の過剰な汲上による地盤沈下に伴う国土縮小・水没の可能性のほか、塩分濃度の上昇による地下水の水質悪化、降水量の変動による飲料水・農業用水の不足が深刻である。これらの社会的な脆弱性を解消するためには、降水量の変動特性を明らかにし、リスク管理システムにフィードバックしていくことが重要である。本研究では、気候学的な大気・海洋の解析により、降水量変動予測の可能性について探っていく。
  • *羽田 泰彬, 熊谷 朝臣, 久米 朋宣, 松本 一穂
    日本森林学会大会発表データベース
    2022年 133 巻 P-300
    発行日: 2022/05/30
    公開日: 2022/06/21
    会議録・要旨集 フリー

    エルニーニョ
    南方振動
    (ENSO)は、熱帯太平洋域での大気と海洋の相互作用により生じる周期的な気候のゆらぎであり、気候の年変動を地球規模で最も支配している。ENSOが発生すると、気温や降雨量といった気象要素が平年とは異なる挙動を示し、森林動態が変化するとされている。東南アジア熱帯雨林は全球規模の炭素循環や水循環に大きな影響力を持つ陸域生態系の一つであるため、ENSOにより東南アジア熱帯雨林の総一次生産や蒸発散量がどのように変化するのかを観測に基づいて明らかにすることは、今後の全球気候予測を行う上でも重要となる。しかし、東南アジア熱帯雨林で渦相関法による長期フラックス観測を行った事例は非常に限られている。そこで本研究では、ボルネオ島北部に位置するランビルヒルズ国立公園の10年間の気象・フラックスデータを用いて、ENSO発生時の気象要素の変化およびH2O/CO2フラックスの変化について解析し、ENSOに対する森林の応答機構を考察した。

  • 泉宮 尊司, 小関 達郎
    土木学会論文集B2(海岸工学)
    2010年 66 巻 1 号 1251-1255
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/09
    ジャーナル フリー
    Climate variabilities in characterictics of typhoon, annual precipitation and SST are investigated in connection with the indecies of atomospher- ocean interaction such as MEI, PDO, NAO and AO. Spectra of annual time serries of the climate indecies were analyed to find a relationship between the climate change and the indecies of ocean-atmosphere interaction. A five-year variation in an annual mean minimum pressure of typhoon is found to have the same period of MEI and about one year time lag. The other climate indecies are found to change with the indecies of large-scale atmosphere-ocean interaction, such as MEI and PDO. The activity of typhoon and climate valiations are estimated employing linear system analysis with the impulse response functions and are compared with the measured climate data.
  • *川幡 穂高
    日本地球化学会年会要旨集
    2019年 66 巻
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    地球システムは複雑で、生起する現象は多様なので、多面的な研究が必要です。未来への変化を予測するには、「単一時間面」のみでなく「過去・現在・未来」と時間軸に沿った理解が必須です。「地球化学」の研究は、主に分析化学の技術開発を中心とした「化学」と統合的な理解で代表される「地球惑星科学」の2つアプローチが重要です。「炭素循環」を中心とした環境研究を実施してきました:①沈降粒子、②サンゴ礁およびサンゴ骨格、③飼育実験、④生物鉱化作用、⑤河川と海のリンケージ、など現在の環境での知見を基にプロキシ(古環境推定用の指標)を開発・高度化し、⑥それを古気候・古環境の精密解析に応用し、地球表層環境のプロセスの普遍性を明らかにしてきました。

  • 渡邊 裕美子
    日本地球化学会年会要旨集
    2007年 54 巻 3C05
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/18
    会議録・要旨集 フリー
    鍾乳石の酸素・炭素同位体を用いた古気候変動解析は、現在盛んに研究されている。本研究では、インドネシア・西ジャワの鍾乳石を用いた酸素・炭素同位体やウラン放射非平衡年代について報告する。
  • *遠嶋 康徳, 寺尾 有希夫, 向井 人史, 野尻 幸宏, 町田 敏暢
    日本地球化学会年会要旨集
    2014年 61 巻 3P74
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    大気ポテンシャル酸素 (APO)の時空間変動は主に大気-海洋間のCO2およびO2のフラックスを反映するというユニークな特徴を持つ。国立環境研究所は2001年末より定期貨物船を用いて北部および西部太平洋におけるAPOの広域観測を継続し、APOの年平均値の緯度分布が赤道付近に極大値を持つことを明らかにしてきた。ところで、
    エルニーニョ
    南方振動
    (ENSO)イベントのような地球規模の現象は大気-海洋間のガス交換や大気輸送に影響すると考えられ、APOの分布を変化させる可能性がある。観測結果を調べると、中規模のEl Niño現象が発生した2009-2010年にかけてAPOの赤道域の高まりが南半球で平坦化したことが分かった。さらに、APO年平均値の25-0°S間の緯度勾配の年々変化を調べると、ENSOイベントの指標であるNiño 4インデックスと有意な逆相関が見られることが分かった。観測結果と大気輸送モデルの結果から、熱帯太平洋域におけるガスフラックスのENSOに関連した変動の推定を行う。
  • *池原 実, 加藤 広大, 加藤 悠爾, 関 宰, Weber Michael E.
    日本地球化学会年会要旨集
    2023年 70 巻
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    会議録・要旨集 フリー

    南極半島は地球上で最も温暖化が進んでいる地域の一つであり、過去半世紀の間に主に大気の温暖化によって氷床が後退している。しかし、観測データは過去数十年しかカバーしていないため、完新世のより長期的な百年〜千年スケールの気候と南極氷床の歴史は解明されていない。本研究では、過去5,000年間の南極半島氷床北西部の古環境を復元することで、氷床後退と低緯度気候変動との関連を示す直接的な証拠を示す。南極半島北西の西ブランスフィールド海盆から採取されたコア(KH-19-6-PC01)の解析によって、約5000年前から3200年前のいわゆる完新世中期温暖期には、漂流岩屑が多産する複数のイベントが検出され、脂肪酸バイオマーカー水素同位体比もこの地域における氷床融解水の流入量の増加を示した。これらの結果は、完新世中期に南極半島氷床が著しく融解したことを示唆している。この時代には、熱帯域ではラニーニャモードが発達していたことが報告されており、アムンゼン海低気圧の強化と南極環状モード(SAM)の正偏差が示されることから、テレコネクションによって低緯度から南極半島周辺への暖気移流が促進されたことによって、南極半島氷床の融解が増加していたと解釈される。

  • *浅海 竜司, 山田 努, 井龍 康文, Camoin Gilbert
    日本地球化学会年会要旨集
    2005年 52 巻 3P01
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    統合国際深海掘削計画(IODP)の310航海(Tahiti Sea-Level Expedition)が2005年度に実施される.本航海では,南太平洋に位置するタヒチにおいて水面下に眠るサンゴ礁堆積物を掘削し,サンゴの群集解析や地球化学的分析などに基づいて,LGMから現在にいたる海水準変動や古水温・古塩分変化を復元することを主な目的としている.タヒチはテクトニックな変動やアイソスタシーの効果が少ない海域であるため,精度の高い海水準変動が描き出すことができると期待される.また,同海域は数年_から_数十年スケールの海洋環境変化の影響を受けるため,過去のENSOやPDOに関する貴重なデータが得られる可能性が高く,それらの変動様式の解明に大きな貢献が期待される.
  • *東 博紀, 松浦 知徳
    水文・水資源学会研究発表会要旨集
    2005年 18 巻 P-86
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,西日本を対象として台風性豪雨の発生頻度と
    エルニーニョ
    /
    南方振動
    (ENSO)の関係について検討した.1961_から_2002年の気象台・測候所における2日間雨量を統計資料とし,各地点で発生した雨量の大きい上位資料年数分(42個)の台風性豪雨を抽出した.台風性豪雨の年生起回数と南方振動指数(SOI)とNino 3および4海域における海面温度(SST)の変動特性をスペクトル解析を用いて検討した.その結果,台風性豪雨の年生起回数の時系列にはSOIおよびSSTの時系列と同じ変動周期があること,台風性豪雨の発生頻度はENSOと関係があることが分かった.
  • —2018年度山本賞受賞記念講演—
    林 未知也
    天気
    2020年 67 巻 1 号 5-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/29
    ジャーナル フリー
  • *山田 努, 邊見 紗知, 浅海 竜司, 井龍 康文
    日本地球化学会年会要旨集
    2005年 52 巻 3A08
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    サンゴ礁の浅海域に生息するシャコガイ類は,その軟組織中に共生する藻類の代謝活動が殻形成を促進するために,成長速度が非常に速く,巨大なアラレイシの殻を形成する.また,この殻には数μmから数十μm程度の細かい成長線(日輪)が認められる.本講演では,1996年に石垣島南西海岸の吉原のサンゴ礁で採取したシャコガイ(Hippopus hippopus)の成長線(日輪)の幅および20μm間隔で測定した炭素・酸素同位体比の変化と生息環境(水温・塩分・海水の同位体組成・日射量等)との関係を議論する.成長線の幅は,夏は約45μm,冬は約20μmという年周期変化を示し,日射量の年変化を反映しているものと考えられる.また,同位体組成は,水温と海水の酸素同位体比組成の変化に規制されていると考えられる.したがって,シャコガイ殻の成長線幅や同位体組成の変化から,サンゴ礁域の高分解能(日単位)の環境情報を読み取ることが可能である.
  • 新田 尚
    Journal of Advanced Science
    1998年 10 巻 4 号 213-215
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    In this exposition, climate change is discussed from the environmental point of view. Definition of climate change and variation, climate change in earth's history, possible mechanism of the change and recent studies of theoretical approaches are introduced. More precise observation and identification of related values and information, for example, solar constants, albedo and material circulations, are quite important factors for the future studies on the climate change as complicated natural phenomena.
  • -マレーシア・ランビルヒルズ国立公園における観測-
    *若原 妙子, 白木 克繁, 鈴木 雅一
    日本森林学会大会発表データベース
    2011年 122 巻 G10
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    会議録・要旨集 フリー
  • *平林 頌子, 横山 祐典, 鈴木 淳, 宮入 陽介, 阿瀬 貴博
    日本地球化学会年会要旨集
    2018年 65 巻
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/21
    会議録・要旨集 フリー

    Anthropoceneとしての定義(“golden spike”)として使用可能な大気圏核実験由来の放射性炭素(Bomb-14C)は,海洋にもそのシグナルを残しており,地球化学的な利用としても有効なglobal markerとなっている. Bomb-14Cは,海洋化学トレーサーとして利用可能であり,先行研究では,サンゴ骨格中に記録さたBomb-14C変動曲線の上昇勾配と最大値が着目され,十年スケールでの各海域の大気海洋CO2交換率について議論がされてきた.本発表では,サンゴ骨格中Bomb-14C分析研究のレビューと同時に、発表者の研究グループが行なってきた黒潮流域に生息する造礁サンゴのBomb-14C分析による高時間分解能海水動態復元研究を紹介する.今後,さらにサンゴ骨格中14C分析を長期間かつ広範囲へ拡大・応用していくことで,北太平洋亜熱帯循環全体の変動と気候変動とのより詳細な関係性理解へ貢献可能である.

  • *北林 翔, 高橋 洋
    日本地理学会発表要旨集
    2020年 2020s 巻 505
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/30
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    1. はじめに

     火山噴火は気候変動を引き起こす主要な自然現象の一つである.大規模な火山噴火が発生すると,噴煙は成層圏にまで達し,硫酸エアロゾルが成層圏に放出される.その硫酸エアロゾルが太陽放射を散乱・吸収することで,地表面付近で気温が下がることが知られている(Robock, 2000).硫酸エアロゾルは成層圏の低緯度から高緯度へと向かう循環によって輸送される上,沈着が起こりづらいので,数年にわたって全球的な地表気温低下をもたらす.

     全球の気温変化をもたらす現象はその他にも存在するが,上述の火山噴火の影響とほぼ同じ時間スケールの現象として,

    エルニーニョ
    南方振動
    (ENSO)が存在する.ENSOはその位相によって全球地表気温への影響が異なり,エルニーニョ(EN)発生時は全球地表気温が上昇,ラニーニャ(LN)発生時は低下することが知られている (Trenberth et al., 2002).

    火山噴火の地表気温への影響からENSOの影響を分離して評価することは難しい.その理由として過去50年間ほどの間に発生した大規模噴火前後でENが発生しており,観測データ上では両者の影響が重なって現れていることが挙げられる(Ohba et al, 2013; Zanchettin et al., 2013).

     以上のことから本研究では全球気候モデルの歴史実験出力を用いて,火山噴火に伴う全球地表気温変化の推移の見積もりについて,ENSOの位相の違いに注目して調べることを目的とした.

    2. 使用データ・手法

     第5次結合モデル相互比較計画(CMIP5)の歴史実験の地表気温・海面水温 (SST) ・地表面下向き短波放射フラックス量 (DSWF) を用いた.解析対象期間は1951年から2000年とし,月平均データを用いた.また1886年から1915年に関しても副次的な解析期間とした.解析領域は南緯60°から北緯60°とした.

     まず気候モデル・観測データのSSTの気候値からの偏差を導出,その偏差に対してEOF解析を行い,ENSOの卓越した最も分散の大きなモードを抽出した.その後導出したSSTのENSOモードの時間関数と地表気温の気候値からの偏差との間で回帰分析を適用し,地表気温のENSOモードを求めた.そうして得られた地表気温のENSOモードを元の地表気温からの偏差から引くことで,ENSOモードを除去した.続いて各アンサンブルメンバーを噴火事例ごとに火山噴火発生時のENSOの位相(EN・LN・遷移期(NT))で分類し,各噴火事例でコンポジット解析を行い,噴火前後の気温推移についてENSOの位相を基準に評価した.

    3. 結果

     各噴火事例の前後で全球平均地表気温がどのように推移しているのかを確認した.ENSOモードを除去した上でも,EN・LNメンバー平均した全球平均地表気温がアンサンブル平均値に大きく近づくわけではなく,依然両者の違いを保ったままであることがわかる.このことは,ENSOによる直接的な全球平均地表気温への寄与を取り除いたとしても,ENSOの位相間で噴火後の全球平均地表気温変化量が異なることを示している.

     また,ENSOの位相の違いに着目して全球平均地表気温推移をみると,多くの噴火事例でENSOの位相間で地表気温低下の極小の継続時間が異なる.また,その後の気温上昇割合も位相間で異なる.ただしこの傾向は噴火事例間での違いも見られ,これはENSO以外の内部変動の影響の存在が関与していると考えられる.

    噴火後の地表気温変化がENSOの位相間でどの程度異なるのか,定量的な評価を試みた.各噴火後3年間のENSOモードを引いた全球平均地表気温の標準偏差を各メンバーで導出後,EN・LN・全メンバーそれぞれで平均したものを各噴火事例・各ENSOの位相での気温減少量の指標とした.その結果,噴火事例間で平均すると,噴火自体の気温応答に対して,ENSOの寄与はその1/10〜1/5であることが示唆された.

  • *古市 剛久, ウィン ゾー, ワッソン ロバート
    日本地理学会発表要旨集
    2010年 2010s 巻 311
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/10
    会議録・要旨集 フリー
     チベット高原を源流とするアジア地域の世界的な大河、すなわち、ブラマプトラ河、エーヤワディー(イラワジ)河、タンルウィン(サルウィン)河、メコン河、及び長江は、アジア地域スケールでの水文循環、土砂運搬に伴う炭素等の物質循環において主要な役割を果たしている。これら大河川の中で水文・物質運搬の状況について最も未知なのが、ミャンマーのエーヤワディー河である。デルタ頂部から約60 km上流に位置するピー観測点において1966年-1996年(31年間)にミャンマー気象水文局が観測した流量及び土砂運搬量のデータを収集し集計すると共に、流量変動について分析した(Furuichi et al., 2009)。
     この間のピー観測点における年平均流量は 379 ± 47 x 109 m3で、雨季(7月-10月)流量が年流量の71% を占める。年平均土砂運搬量は 325 ± 57 x 106 t/year、流域からの年平均比土砂流出量は 955 ± 166 t/km2/yearである。
     今回収集したデータに加えて複数の出典から既存データを収集し、上流から下流にかけて(カムティ、ザガイン、ニャウンウー、ピー、タヨクモー)の流量と流出量の変化を見たところ、流量は流域面積が大きくなるに従って増大するが、流出高(runoff)は雨量の少ない中央乾燥地(ニャウンウー)で最も小さくなることが分かった。
     一方、エーヤワディー河の流量については約100年前の19世紀後半にピー観測点近傍で観測されたデータが残されており(Gordon, 1885)、今回収集されたデータとの比較が可能である。Gordon(1885)のデータは、最近 Robinson et al.(2007)により検証され補正されており、今回の比較ではその補正値を用いた。統計的に比較したところ、年流量と最大月平均流量(8月)はこの約100年の間に減少したことが示された。最少月平均流量(2月)については、この間に変化があったとは言えないという結果を得たが、現代の流域環境データとしての扱いではデータ最後年の1996年以降の灌漑農業開発等の影響は加味されていない結果であることに留意が必要である。なお、土砂運搬量については100年前のデータが十分ではないため、比較は不可能であった。水収支の概念からは、この100年間の流量減少の主要因は雨量減少であると考察できる。
     1966年-1996年における今回得られた流量データ(月平均値からの偏差)と
    エルニーニョ
    南方振動
    指標として広く用いられている気候データ(南方振動指数:SOI、エルニーニョ監視海域における月平均海面水温監視指数:NINO.3)との相関を分析したところ、乾季月(1-4月)では有意な相関が見られないものの、全ての月では両指数とも有意な相関が見られ、また雨季月(7-10月)と遷移月(5-6月と11-12月)ではどちらか一方の指数で有意な相関が見られた。エーヤワディー河の流量が熱帯地域の大気候システムに一定の影響を受けていることを示している。

    文献
    Furuichi T, Zaw Win, Wasson RJ. 2009. Discharge and suspended sediment transport in the Ayeyarwady River, Myanmar: Centennial and decadal changes. Hydrological Processes 23: 1631-1641.
    Gordon R. 1885. The Irawadi river. Royal Geographical Society (London) Proceedings (New Series) 7: 292–331.
    Robinson RAJ, Bird MI, Nay Win Oo, Hoey TB, Maung Maung Aye, Higgitt DL, Lu XX, Aung Swe, Tin Tun, Swe Lhaing Win. 2007. The Irrawaddy river sediment flux to the Indian Ocean: the original nineteenth-century data revisited. The Journal of Geology 115: 629–640.
  • 川幡 穂高, 鈴木 淳
    地球化学
    2004年 38 巻 4 号 223-224
    発行日: 2004/12/27
    公開日: 2017/01/19
    ジャーナル フリー
    The latest developments of studies on coral skeleton were compiled in this volume in order to understand the climatic and ocean environmental changes in low-latitude oceans. Recently, high-precession measurement of skeletal oxygen isotope ratios combined with Sr/Ca thermometry has become known as one of the promising methods for reconstruction of paleo-seawater temperature and water budget including rainfall, evaporation and deep-water upwelling. These parameters are closely related to El Niño-Southen Oscillation (ENSO) and Asian monsoon. New proxies for climatic and/or ocean environmental records will promote our understanding of the earth's surface environments.
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