第1報では, 臨床使用において異常を認めた2症例のカテーテルについて物理的強度や電顕像を検討した. 今回は, 未使用のカテーテルを用いて強度試験を行い, さらに実験的に薬剤に暴露し, その物性変化を比較検討した. 1. バクスター社, クイントン社, アキュレート社,
クリエートメディック
社の4社のシリコーンカテーテルを使用し, 経年試験と物理的強度試験 (内径, 外径, 伸び, 硬度, 引張り強度) を行った. 2. 浸漬試験: カテーテルを温度60℃の薬品に浸したものにおいて同様の測定を行った. 使用した薬剤は, 70%エタノール, 10%ポピドンヨードゲル (イソジンゲル), 10%ポピドンヨード液 (イソジン液) である.
結果: カテーテルは, 各社によりさまざまな強度, 耐久性があった. 経年試験では, 内径, 外径, 伸びには各社間に大きな変化はなかった. 横方向の引張ではラジオペークライン部のシリコン肉厚が薄いため各社とも強度の低下がみられた. 浸漬試験では, 横方向の引張強度において, エタノールにてバクスターが大きく低下した. イソジン液では各社とも著明な低下を示した. 経年試験と同じく, ラジオペークライン部のシリコン肉厚が強度に影響を及ぼしたものと思われる. 縦方向の引張強度においてはイソジン液で, クイントンが著しい低下を示した. ラジオペークライン部に関係なく強度の低下がみられたことが重要な点と思われた. 各社のカテーテルにおいて, 性能, 耐久性の差違があった. 経年試験, 浸漬試験によっても一定の傾向はみられなかった. カテーテルのラジオペークライン部の構造上のことから強度低下がみられ, 薬剤暴露により変化は増大した. 今回の結果から, 消毒剤の違いにより硬度および強度に大きな差がみられたので今後の消毒法, あるいはカテーテルの構造に検討すべき点があると考えた.
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