卵円孔開存は,paradoxical embolismの原因となったり,カテーテル焼灼術および電気生理学的検査施行の際には有利な条件となったりする.今回,経食道心エコー法(TEE)を用いて卵円孔開存の有無を予測しうるかを検討した.
(対象と方法)発作性上室性頻拍の患者15例.(1)TEEにて,1)バルサルバ手技のみ,2)バルサルバ手技下の
コントラスト
エコー法および3)
コントラスト
エコー法のみの3方法を施行し検討した.卵円孔開存陽性とは,(A)バルサルバ手技下に
コントラスト
エコー法を施行し,右房に
コントラスト
の出現と同時にバルサルバ手技を解除し,解徐後3心拍以内に左房に
コントラスト
が出現した時,あるいは(B)
コントラスト
エコー法のみで,右房に
コントラスト
が出現した後3心拍以内に左房に
コントラスト
が出現した時,とした.(2)右大腿静脈からカテーテル(カテ)を用いて,カテが卵円孔を通過するか否かを調べた.(結果)(1)卵円孔開存陽性の基準(A)を満たす症例は5例で,基準(B)を満たす症例はなかった.(2)基準(A)の症例のうちバルサルバ手技解除後1心拍以内に左房に
コントラスト
が出現した3例では,全例カテにて卵円孔を通過可能で,その他の症例ではカテによる通過は不可能であった.(考按)カテにて卵円孔開存の存在が確認された症例は全例1心拍以内に
コントラスト
が左房に出現し,これまでの卵円孔開存陽性の基準である3,4心拍以内に出現するという基準とは異なっていた.また,バルサルバ手技のみ施行した際にもバルサルバ手技解除後3心拍以内に左房に
コントラスト
様エコーが出現する例が2例あり,従来通りのバルサルバ手技下の
コントラストエコー法およびコントラスト
エコー法のみを施行した時,誤って卵円孔開存陽性と判断する可能性がある.したがって,バルサルバ手技のみも施行する必要があると考えられた.(結語)TEEにてカテ通過可能な卵円孔開存の存在を予測することは可能であり,それにはバルサルバ手技下の
コントラスト
エコー法でバルサルバ手技解除後1心拍以内に左房に
コントラスト
が出現するという基準が妥当であると考えられた.
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