ゴマ
の好ましい焙煎条件を知るために, 香り・食味, 抗酸化性の観点から検討を行った.
ゴマ
は, 焙煎する温度や時間を変化させることにより, ナッツ香,
ゴマ
香, 焦げ臭へと, 香りを変化させていったので, それぞれの香りを有する焙煎
ゴマ
のヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフィーを用いて分析, 検討を行った.食味は, 220℃で焙煎したナッツ香,
ゴマ
香, 焦げ臭を有する焙煎
ゴマ
を, にぎり飯およびクラッカーに添加したものと, 焙煎
ゴマとそれらのゴマ
油のみについての官能検査を行い, 検討した.また, 抗酸化性については, 重量法で, 試料の
ゴマ
油を60℃の恒温器中に放置し, 経時的に取り出してその度, 重量増加率を求め検討した.そして, 恒温器に40日放置後の
ゴマ
油の過酸化物価を測定し分析した.その結果, 香りについては, ナッツ香を有する焙煎
ゴマ
は, ピラジン類, フラン類の割合が多く, 軽い香りであり,
ゴマ
香を有する焙煎
ゴマ
はフラン類の割合が少なくなったが, 香ばしさは強くなった.焦げ臭を有する焙煎
ゴマ
は, 重い香りのする高沸点部の割合が多くなり, 全体のピーク数も減少し, 単調な香りとなった.食味の点では, ナッツ香,
ゴマ
香を有する焙煎
ゴマ
が良いと判断され, 焦げ臭のする
ゴマ
は好まれなかった.抗酸化性の点においては, ナッツ香,
ゴマ
香を有する焙煎
ゴマ
油が, 焦げ臭を有する焙煎
ゴマ
油と同様に安定性があった.これまでの研究では, 褐変がおこり, 焦げ臭が出てこないと抗酸化性が強くあらわれないということであったが, 今回の結果より, 家庭的な焙煎方法を用いて185℃で焙煎し, 短時間の浅妙りであるナッツ香が発生した時点でも, 抗酸化性の生じることが判った.そこで,
ゴマを妙るにはゴマ
が膨張し香ばしいナッツの香り,
ゴマ
の香りが発生した時点で妙り終え, 焦げ臭が発生するまで焙煎しないことが望ましいと判断された.
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