ハムスター,
スナネズミ
の香腺を, それぞれの皮脂腺とともにレクチン組織化学的に比較検討した。肉眼的には両者とも雄の方が香腺がよく発達していたが, 組織学的な構造には雄雌間で著しい差異は認められなかった。組織学的にハムスターの香腺は,
スナネズミ
のものより周囲の皮膚に存在する皮脂腺に近い形態を示した。導管部はハムスターでは短く, 毛嚢漏斗部との区別が困難な場合もあった。導管部、毛嚢漏斗部とも
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の方がハムスターより太く, 表皮に大きく開口していた。レクチン組織化学的観察にはConA, RCAI, PNA, SBA, UEA-1, DBA, WGAの7種を用いた。香腺の終末部の分化した細胞は, ハムスターでは強弱の差はあっても7種のレクチンすべてに陽性を呈したが,
スナネズミ
ではSBAで陰性の反応を示した。導管部の細胞は, ハムスター,
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ともSBAに陰性であった。また, 香腺周囲の皮脂腺はハムスター,
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とも7種すべてのレクチンに陽性反応を示した。香腺と周辺部皮膚の皮脂腺の反応性を比較すると,
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ではSBAの反応に相違があったが, ハムスターでは両腺の反応に著しい相違は認められなかった。また, ハムスターでは香腺は組織学的にも皮脂腺に近い形態を示したので, ハムスターの香腺は多少とも皮脂腺に近い性状を残していると考えられた。
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