スポンジケーキや
フリッター
などの膨化調理の要点は, 卵の泡だて法と泡だち程度の判定と粉のまぜ方にあるといわれる.そこで, 電動ミキサーを使用し, 材料配合の一番単純なエンゼーケーキの調製を通じ, 調製温度(30℃, 7℃), 砂糖の添加方法 (ある程度卵白を泡だててから砂糖を加える方法-A法と, 初めから卵白と砂糖を加えて泡だてる方法-B法) および撹拌時間の変化に伴う卵白泡・メレンゲ・バッターの物性とケーキの性状の関係を比較検討した.あわせて, 最適な泡だち状態であるか否かを判定できる簡単な指標について検討した.
1) 調製温度7℃にくらべ30℃のほうが, 卵白泡・メレンゲの状態変化が著しく, より短時間でよい状態に達し, 焼成後のケーキ表面の斑点も生じにくい.
2) 砂糖の添加方法は, B法は時間はかかるが, きめの細かい膨化に有効な泡を形成し, ケーキはきめが細かく均一である.
3) 撹拌時間が長くなるほど, 比重は小さくなるが, 撹拌時間が長すぎると加熱後の収縮が著しく, ケーキはきめがあらく, 不均一で, しかも色調もよくない.
4) メレンゲの比重域はA法では0.28~0.30, B法では0.42~0.45付近がケーキの膨化状態のよいものが得られる.
5) メレンゲやバッターのレオメーターによるチャートの図形は泡だち状態の判定の指標になりうる.
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