東日本大震災では,利用者が増加しているソーシャル
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を通じて被害状況が発信された。災害時における情報発信はマス
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の重要な役割であり,ソーシャル
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への情報提供の必要性も高まっている。しかしながら,東日本大震災時に新聞社がソーシャル
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をどのように利用して読者に情報を届けたのかは十分に明らかになっていない。本研究では,東日本大震災における新聞社のTwitter利用を比較して調査し,取り組み状況の差異と要因について考察を行った。全国紙5社と被災地にある地方紙4社を対象にTwitterのフォロワー数,担当部門や運用方法などの聞き取り調査を行った。その結果,Twitterのフォロワー数に違いが見られた。その要因は新聞社の規模ではなく,日頃からの運用実績と業務に含まれているか否かによるものであった。紙面とソーシャル
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を連携して情報発信するという新たな取り組みが見られる一方で,記者との連携が不足したことで十分な情報発信ができていないという課題が明らかになった。今後もソーシャル
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の利用者は増加していくことが予想される。新聞社が災害時にソーシャル
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に情報を発信するためには,日頃からの運用と業務の位置付けを明確にし,あらゆる
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を通じて情報を発信するという意識を組織全体が共有する必要がある。
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