慢性腎不全患者における摂取時Kおよび水分量を正確に把握する目的で, 実際に供与した食事の調理前後におけるK, 水分量を測定し, その推移を前処理タイプごとに次のように分類して検討した。
A
1: 材料のほとんどがゆで処理可能な料理
A
2: ゆでこぼし可能な材料で調味料使用料理
B: ゆでこぼしが一部可能またはそれ以外の前処理を行う料理
1) 4日間の献立におけるK, 水分の調理前後の推移は, 1日平均としてKが20.4%減, 水分は1.6%増であった。
2) 前処理タイプ別に分類: した場合のKの調理前後における増減率の平均値および標準偏差は, A
1=-53.3±26.7%, A
2=-31.8±23.7%, B=-11.5±16.9%であった。
3) 水分の推移を腎臓病食品交換表による食品群別・前処理条件別に類似傾向を示すもの同士で分類するとその水分の変化は次のようになった。
(1) ごはん・めん・パン類 (交換表1の食品) と豆類…+321.7±397.5%
(2) 果実・種実・いも・野菜類 (交換表2, 3の食品) でゆで・しぼり可能…-28.6±10.9%
(3) 果実・種実・いも・野菜類 (交換表2, 3の食品) でゆで・しぼり不可能…+11.2±31.5%
(4) 魚・肉・卵・乳類 (交換表4の食品) で油を用いる…-18.4±21.6%
(5) 魚・肉・卵・乳類 (交換表4の食品) で油を用いない…-26.9±7.8%
以上のようにK, 水分ともにゆで処理を中心とした前処理の果たす役割は大きい。
その際, texture, 食味などを損なわない調理条件を設定するとともに, この手法を積極的にとり入れた献立作成をすることが大切と思われる。
抄録全体を表示