満洲系植物分布区の中央部に近い間島地方に産する
モミ属
(チヨウセンモミ トウシラベ)トウヒ属(エゾマツ・チヨウセンハリモミ)及びチヨウセンマツの5樹種に就て,物理的及び強度的性質に関する実験を行ひ次の結果を得た。
1.平均年輪幅はチヨウセンハリモミ(2.1mm)が最大で,チヨウセンマツ(1.2mm)が最小値を示す。其他は類似して約1.6mmである。
2.収縮率はトウヒ属が大で,其他は大体類似して居る。又髄線方向収縮率から求めれ繊維飽和点は5樹種共に含水率約24%である。(第3表参照)
3.比重は絶乾状態に於てエゾマツが特に大で,チヨウセンマツ及びチヨウセンハリモミが之に次ぎ,
モミ属
は最小である。(第4表参照)
4.縦圧縮ではチヨウセンハリモミが最大値を示し,其他には大差が無い。(第8表参照)
5.横圧縮ではチヨウセンマツが最大値を示し,トウヒ属が之は次ぎ,
モミ属
は最小値を示す。(第10表参照)
6.剪断ではチヨウセンハリモミが最大値を示し,チヨウセンマツ・エゾマツが之に次ぎ,
モミ属
が最小値を示す。(第12表参照)
7.硬度は3種な通じてトウヒ属が人で,チヨウセンマツが中庸,
モミ属
が最小である。(第13表参照)
8.曲げでは弾性係数に於てエゾマツが最大値を示し続いてチヨウセンモミ・チヨウセンマツ・チヨウセンハリモミ・トウシラベの順となつた。其他に就てはチヨウセンマツが最大値を示し,トウヒ属が之に次ぎ,
モミ属
が最小値を示す。(第14表参照)
9.横引張はチヨウセンマツが最大値を示し,トウヒ属が之に次ぎ,
モミ属
は最小値な示す。(第16表参照)
10.材質を実験結果から検討しチヨウセンマツが最優秀で,チヨウセンハリモミ・チヨウセンモミが之に次ぎエゾマツは中庸で,トウシラベが最も劣る結果を得た。(第17.18.19表参照)
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