分娩に際して, いろいろの問題があるが, 特に, 在胎日数, 分娩時刻, 分娩所要時間, 後産重量等について,
ヨークシャー
とランドレースとの比較を行ない, 検討して次の如き結果を得た。
1 在胎日数については, ランドレースは115.21±2.09日,
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の方は114.89±1.58日であり, ややランドレースの方が長いが大差はない。
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は115日が最も多く, 28.6%, ランドレースは116日が最も多く31.0%であった。
2 分娩開始時刻については, 両種ともに12時より18時の間に始まったものが多く,
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で44.2%, ランドレースで37.8%であった。
3 分娩所要時間については, 分娩頭数は
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は10.18頭, ランドレースは10.34頭であったが1腹分娩に要する狭義の分娩時間 (後産の娩出時間を除く) は
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で168.9±74.9分, ランドレースで149.1±57.2分であり, ランドレースの方がやや短かかった。分娩時間は個体によって長いものとそうでないものがある。
4 分娩間隔については,
ヨークシャー
は15.6分, ランドレースは14.8分となっている。いずれも5分未満が多く, ランドレースで31.3%,
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で35.4%で, 次いで10分未満のものが多くなっている。30分以上経て生れたものは
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で12.8%, ランドレースで7.4%で
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の方が長いものが多かった。
5 産子数と1頭当娩出時間については,
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においては産子数が多くなるにつれて, 1頭当りの娩出時間が短縮される傾向がみられる。
6 産子数と1頭当り後産重量については, 1頭当り後産重量はランドレースで259.8g,
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で242.8gでありランドレースの方が重かった。また, 分娩頭数が多くなるにつれ, 1頭当り後産重量が少なくなる傾向があり, ランドレースにおいて相関関係がみられた。
7 生時体重と1頭当り後産重量については生時体重は
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1.20kg, ランドレース1.35kgでランドレースの方が重かった。いずれも生時体重と後産重量との間には相関関係がみられた。
8 後産の娩出状況については,
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は分娩の前半から後産の娩出が多くみられ, 最終子豚娩出終了後, 42.8%のものしか後産の娩出開始がみられない。ランドレースの方は65%のものが最終子豚娩出終了後より後産の娩出をはじめており, 後産の娩出に
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より長時間要している。第1子から後産娩出終了までの時間をみた分娩時間は狭義の分娩時間とは逆にランドレースの方が
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より19.3分長くなっている。
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