【目的】そばタンパク質は必須アミノ酸含量とバランスが優れた良質のタンパク質とされてきたが、消化性が低いことが欠点であると指摘されてきた。一方、そばに含まれる消化抵抗性タンパク質(
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)は、脂質代謝改善作用などの有用な機能性をもつことが明らかにされている。
本研究では、そば加工品に含まれる消化抵抗性タンパク質(
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)を定量し、加工方法がタンパク質の消化性に及ぼす影響について調べることを目的とする。
【方法】そばの実、そば粉またはそば製品を試料として用いた。各試料のタンパク質含量を、ケルダール法にて測定した後、2gをトリス緩衝液に懸濁し、耐熱性アミラーゼ、タンパク質分解酵素で数時間処理した。遠心分離後、沈殿を蒸留水で2回洗浄し、熱風乾燥した。ケルダール法にて沈殿物のタンパク質含量を測定し、未消化タンパク質の割合を算出した。
【結果と考察】そばの実やそば粉を試験管内でタンパク質分解酵素と反応させた結果、全タンパク質のうち、約10~20%が未消化、不溶性のタンパク質(
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)として、残存していた。全体的には、タンパク質含量が高い製品ほど
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の含量も高かった。
また、そば加工品の中では、蒸し加熱したそば実よりも焙煎したそばの実の方が、消化性が低くなっていた。以上のことより、そば
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は、加工処理方法によって影響を受ける可能性が示唆された。
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