要約河川などの水質汚濁の一因である台所排水について,家庭における調理担当者の意識及び関心と,汚濁排出量削減のための行動に関するアンケート調査を行い,次の結果を得た. (1)「生活雑排水による河川の水質汚濁」に対して関心のある者は全体の41%であった. 油・洗剤・食品など13種の汚濁源について,水を汚す程度は必ずしも正しく認識されておらず,関心の有無との関連性もみられなかった. (2)
三角コーナー
及びストレーナーの保有率は各々61%,89%であったが,水切り袋の装着率は40~50%であった. 小さい調理くずは水で流して捕集する者が多く,調理くずからの流出物などによる水質汚濁に対する配慮が少なかった. (3)廃食用油の処理はほぼ適切であったが,捨てずに使い切る者は13%と少なかった. 米のとぎ汁や麺のゆで汁などの液状廃棄物は,80%以上の者がそのまま流していた. (4)台所洗剤を,「原液のまま,目分量で,スポンジに直接つけて使用する」者は57%であり,洗剤の過剰使用が懸念された. また,食器洗浄の際にふき取りを行う者は30~40%程度であり,ふき取りの有効性が十分認識されていなかった. (5)水質汚濁に関心のある者は,汚濁排出量の少ない食器洗浄方法を心がけたり,汚濁排出量削減のための行動をしている割合が高かった. (6)汚濁排出量削減のためには,水質汚濁に対する関心や意識を高め,汚濁排出量削減のための正確な知識と適切な方法を指導し,実践を促すことが重要である.
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