本研究の目的は,基準量と比較量の関係どうしを比べる前に,基準量と比較量の関係を倍で表す方法
の理解とよさの感得を目指して,包帯の伸び方の均質性を考える場面を取り入れた授業を構成し,その
授業の教育的価値を考察することである.発話記録と児童のノート記述に基づいて授業の分析を行った
結果,次のような児童の実態が見られた.①実物の包帯を伸ばすことが,包帯の伸び方の特性を捉えや
すくし,均質性を根拠にした説明につながった.②児童は倍で表す方法のよさとして,伸びる前の長さ
に関係なく,包帯の伸び方を表現できることを見いだしていた.③均質性を根拠によさを説明する児童
の数は多くはなかったが,異なる場面で均質性について話し合う中で,児童の説明は明瞭になっていっ
た.これらの結果から,包帯の伸び方の均質性を考える場面を
割合
の導入指導に取り入れることが,倍
で表す方法のよさを考えたり,よさに気付いたりする機会を作り出し,基準量と比較量の関係どうしを
比べることの理解につながると考える.
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