本稿では,(1)
国際会計基準審議会
(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)による財務諸表の表示に関するスタッフ・ドラフトの内容を説明した上で,(2)ディスカッション・ペーパーからの改善点を説明し,(3)アウトリーチ活動中に集められた意見を分析し,(4)最後に私見を述べている。スタッフ・ドラフトでは,営業活動等を定義づけたことから営業利益等の持続性のある利益が表示されることになり,これはIAS第1号を改善する優れた提案と考える。直接法のキャッシュ・フロー計算書を開示することはアナリストの視点からは理想的であるが,作成者のコスト負担を考慮して,間接法のキャッシュ・フロー計算書を本体で開示し,アナリストが必要と考える直接法キャッシュ・フローの情報(顧客からの収入等)を追加して開示することが妥当と考える。また,間接法では,設備投資等の支出を差し引く前の営業キャッシュ・フローを示す小計を,キャッシュ・フロー計算書の営業カテゴリーに表示することを提案する。
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