透析患者の脂質代謝異常を改善することは, 長期予後のうえで重要である.そこでわれわれは, 高コレステロール血症併発慢性透析患者13名にプラバスタチン低用量 (5mg/day) を用いて18か月間継続し, 低用量での脂質代謝改善効果について検討を行った.プラバスタチン投与開始直前および投与後1, 2, 3, 6, 12, 18か月後の血清脂質 (total cholesterol; TC, high density lipoprotein cholesterol; HDL-C, teiglyceride; TG) , リボ蛋白 (very low density lipoprotein; VLDL, low density lipoprotein; LDL) , アポ蛋白 (A-I, B, E) 等および血中濃度の測定を行った.TCは, 服薬1か月後より23%の有意な低下を示し, 18か月後まで18~26%の持続した低下が認められた.また, TCと同様にApoBの持続した低下を認めたが, LDLは服用開始初期 (1, 2か月) での低下後再上昇し, 18か月後では18%の有意な増加を認めた.一方, VLDLは, 3か月以降で持続した低下が認められた.このことはリボ蛋白の組成変化を引き起こしているものと推察された.よって, 高コレステロール血症併発慢性透析患者におけるプラバスタチン低用量長期使用は臨床上有効ではあるが, このリボ蛋白の組成変化についてのさらなる検討が必要と思われる.
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