馬のワラビ中毒発病原因の一つとして, ワラビに含まれる耐熱性ビタミンB
1分解因子 (SF因子) の意義を知るため, 乾燥ワラビの水浸出液を100℃ 30分間加熱して, アノイリナーゼを不活化した後に馬に給与した.
健康馬2頭を用い, 日量8.19mkg (No.1) および1.139/kg (No.2) あての乾燥ワラビよりの水浸出・加熱液を給与したところ, No.1は29日間で腰屡症状, 起立不能をともなう馬ワラビ中毒特有の症状を発生したが, No.2は83日間の給与中に一過性の強拘歩様を示したにとどまった. しかし, 両例ともにワラビの水浸出・加熱液の給与により血中ビタミンB
1と尿排泄ビタミンB
1の日量の著明な減少と, 血液の乳酸, 血清のピルビン酸の増加が認められた.
以上の成績から, 馬のワラビ中毒の発病は単にワラビに含まれるアノイリナーゼによるビタミンB
1分解作用のみではな, SF因子による分解作用も重要な原因であることが判明した.
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