竹林の面積変動と林縁拡大速度, 林縁における地下茎の伸長速度と成長年を比較検討した。対象竹林は岐阜県揖斐川町にあり, ダム建設のため1987年以降付近に住民はいない。竹林の面積は1982∼2006年の間, 拡大傾向にあり, 1992∼2003年の拡大が顕著であったが, これは周囲の樹木が1997年から2003年の間に伐採されて無立木地となったためである。林縁部10箇所における平均林縁拡大速度は1.35 m/年であったが1982∼1992年が1.07 m/年であったのに対して1992∼2003年は1.37 m/年, 2003∼2006年は2.16 m/年と林縁拡大速度が速くなった。したがって周辺の無立木地の出現が竹林拡大に大きく寄与したと考えられる。また地下茎は林縁部よりも2.8∼8m外側に先端があり, 年間伸長速度は1.92 m/年であった。2003年から2006年における林縁部の拡大速度と地下茎の伸長速度を比較した結果, 負の相関関係にあることが認められた (
p<0.05) 。以上から, 竹林の急速な拡大傾向は続くものと思われ, 成長様式は地上部あるいは地下部の片方を重点的に成長させる様式である可能性が示唆された。
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