【目的】
近年、
小学校教員
養成を始める私立大学が増加しており、
小学校教員養成のあり方や小学校教員
を目指す学生の質などが問われている。
平成18年4月1日現在では、
小学校教員
免許(一種)が取得できる大学は117大学(120学部)であったが、3年後の平成21年4月現在では70大学も増え、187大学(219学部)で
小学校教員
免許が取得できるようになった。少子化が進む中、受験生獲得の為とはいえ、たった3年間でこれだけの大学が教員養成を開始するとなれば、
小学校教員
養成を行う大学教員の確保などにも問題が生じてくるのではないかと考える。
また、私立大学の附属小学校も増加しており、
小学校教員の採用数増加などを見込んだ私立大学における小学校教員
養成が増加している。新規に参入した大学などでは、
小学校教員
養成に必須である家庭科教育法などを非常勤講師でまかなうことも多く、今後卒業していく資格取得者がどのような意識をもって小学校教諭になり家庭科を教えていくのかという疑問が残る。
そこで、現在
小学校教員
養成の家庭科教育を学ぶ大学生の「家庭科」に対する意識を聞き、今後の
小学校教員
養成における家庭科教育の課題を考察したい。
【方法】
2010年1月の
小学校教員
養成系の講義内で、学生にアンケートを配布し、家庭科に対するこれまでの経験と現在の意識を聞いた。
私立四年制大学A大学189名、国立四年制大学B大学37名、計226名から回答を得た。
【結果と考察】
小学校教員
を目指している学生がいる一方で、特別支援教員や保育士を目指す学生が含まれていた。自分が受けてきた家庭科の授業は調理実習や被服実習のような実習系の印象が強い一方で、座学には関心が低い傾向が伺えた。
また、家庭科教育法を1コマ受講するだけになるA大学の学生の記述には、「家庭科を教える自信がない」や「家庭科の奥が深くてどのようなことを教えれば良いか分からない」という意見も見られた。生きていく上で大切な科目だという認識は持ちながらも、家庭科という教科の深さや大学で学ぶことのできる内容の浅さに物足りなさを感じている学生もいた。
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