胸腔鏡手術の普及に伴い,術前CTガイド下マーキングを施行する機会が増えている.今回,われわれはCTガイド下マーキング中に発症した空気塞栓症の1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.左肺S
9の腫瘤に対し,術直前CTガイド下マーキングを施行した.マーキング直後,咳漱と共に意識を消失した. CTで左室と胸部大動脈内に空気像を認め空気塞栓症と診断した.直ちに頭低位としICUへ入室したが,まもなく意識は回復した.左片麻痺を生じていたが,約1時間後完全に回復した.また,心電図上STの上昇があったが, 5分後には消失した.後遺症もなく5日後に胸腔鏡補助下肺部分切除術を施行し,術後17日目に退院した.
CTガイド下マーキング時の空気塞栓症は極めて稀な合併症であるが,このことを十分念頭に置いて施行すべきである.
抄録全体を表示