本稿では, ヒトの指の触運動の方向が10μm程度の微小段差を弁別する能力に与える影響が調査された. 本研究では, 心理物理実験によりヒトの触感覚認識能力を測定するため, 微小段差の段差量, 呈示速度, 呈示角度, 呈示温度を制御可能な微小段差呈示装置が開発された. 実験では, 微小段差刺激対が被験者の指先先端部あるいは指腹部に呈示され, このときの段差の呈示方向は, 指の長手方向に対して垂直方向あるいは平行方向として, 刺激対の呈示方向が同じ場合と異なる場合について調査された. 本実験では, 7.2μmから12.8μmの微小段差を弁別する能力が測定されて, その結果から, 指先への刺激の呈示方向が触感覚認識能力に影響を与えることがわかってきた.
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