本研究は,JOCの就職支援制度であるアスナビによってトップアスリートを採用した企業のうち,競技
引退
後もトップアスリートが企業と雇用契約を継続している企業を対象とする.競技中心から社業中心の会社生活に移行したトップアスリートについて,企業の人事労務管理の観点から,競技中心の現役時代と社業中心の現役
引退
後について,夫々の価値を明らかにすることを目的とする.併せて,これらの価値を実現するために,企業がどのような施策を取ってきたかについて明らかにすることも目的とする.
その研究目的を達成するために3つの調査を行った.第一に,アスナビ企業とアスナビアスリートの数的,質的な調査,第二に,アスナビ企業が採用時に定めた雇用に係わる人事労務管理の運用上重要な論点を9社に確認するための調査,第三に,元アスナビアスリートの現役時代と現役
引退
後の企業の人事労務管理の観点からの価値,及び元アスナビアスリートの価値を実現するために,どのような施策を実施したかを明らかにするため,9社にインタビュー調査を行った.
これらの調査の結果,アスナビアスリートが現役
引退
後も就業している企業の共通点,及び各社事情に拠る固有な点が明らかになり,企業としてアスナビアスリートの現役時代の早い段階から,現役
引退
後のキャリアを見据えたサポート体制を構築することが望ましい旨が示唆された.
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