食環境の変化に伴い加工食品の利用が多くなる中,小学校家庭科において「たべもの選択」の目を養う授業を構築する必要性を認めた。学習内容を具体的に構想するための資料に用いる目的で,「たべもの選択」に関して小学校5年生を対象に実態調査を行い,教科書の記述内容を分析した。実態調査の結果,小学生がたべものを選ぶときに重視していることは,おやつ(市販の菓子等)の場合,味,値段,量であり,調理実習で扱う生鮮食品は見た目や量,加工食品の場合は味,賞味期限,値段が多かった。「たべもの選択」の視点に関わる用語の認識は,輸入食品が高く,品質表示や食品添加物は低かった。また,テレビ・新聞でニュースを見る頻度が多い児童に,用語の認識が高い傾向が見られた。これらの実態と教科書分析の結果をもとに,「たべもの選択」の目を養う学習の全体構造を示し,授業構築の際は社会科学習と関連づけ,家庭と連携を図る等により有効となることを提示した。
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