目的:血清リウマトイド因子(lgM-RF)陽性の人間ドック受診者において,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を診断するために,抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide:CCP)抗体の臨床的意義を明らかにすることを目的とした.対象と方法:人間ドックで,RAテストによるlgM-RFが陽性であった6例を対象とした.身体所見をとり,手単純X線撮影を行った.抗CCP抗体をELISAで測定した.IgM-RF,RAPA,IgG-RF,抗ガラクトース欠損IgG抗体,MMP-3を調べた。結果:身体所見として,朝のIこわばりは,2例に認められた.1例は,他の臨床所見,手単純X線撮影所見から,日本リウマチ学会の早期RA基準を満足し,アメリカリウマチ協会分類基準からRAと診断された.他の1例は,シェーグレン症候群と考えられた.IgM-RFは,全例で陽性であった.RAPAと抗ガラクトース欠損lgG抗体は,前述した2例で検出された.IgG-RFは,全例で陰性であった.MMP-3は,RAで高値を示した.抗CCP抗体は,RAでのみ陽性であった.結論:IgM-RF陽性例中,RAPAと抗ガラクトース欠損IgG抗体は,RA以外の症例でもみられたが,IgG-RFは,RAでも陰性であった.MMP-3は,RAで高値を示したが,他の疾患でも高くなるとされる.抗CCP抗体のみが,RAで認められた.このため,人間ドックにおけるIgM-RF陽性例で,RAを診断する二次検査として,抗CCP抗体が有用であることが考えられた.
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