本稿の目的は,人的資本に関する指標を用いて作成されたポートフォリオのパフォーマンスを検証することで,インタンジブルズ情報である人的資本情報が株式市場においてどのように評価されているかについて考察をおこなうことである。具体的には,人的資本に関する限界生産性指標(MP)を算出することで,それを基準としたポートフォリオを作成し,各ポートフォリオのパフォーマンスをTreynorの測度により比較をおこなうものである。ポートフォリオの作成においては,先行研究と同様の順位ポートフォリオによらず,本稿ではノンパラメトリック手法である決定木を用いることで統計的に有用な閾値を用いたポートフォリオを作成し,その結果の比較もおこなう。分析の結果,日本企業においては,MPの同値が6から10辺りのポートフォリオで,比較的高いパフォーマンスの得られることが明らかとなった。
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