生活道路の安全対策として、ある区域一帯に最高速度 30km/h の速度規制を実施する「ゾーン 30」が積極的に設置されている。このゾーン 30 は、域内の通過交通を抑制する効果や、車両の走行速度を低下させる効果があり、この結果事故リスクを低減することが多くの研究で示されている。一方で、事故リスクへの影響の詳細については、効果の時間的変化など知られていないことも多い。本稿では、この効果を分析するため、千葉県内のゾーン 30 の位置データを用いて事故と紐づけを行い、事故の発生日とゾーンの設置日を比較できるようにすることによって、ゾーン設置前後における事故数の詳細な変化を示した。 その結果、ゾーン 30 は特に死亡・重傷事故の抑制に効果があること、またその効果は規制開始直後に高く、時間経過につれ徐々に低減していくことが確認された。
セミトレーラ連結車を利用した国際海上コンテナの国内陸上輸送においては,総重量が車両制限令の一般的制限値を超える重量コンテナや高さ9’6”の背高コンテナに関してまだ通行上の課題も多い.また,国際海上貨物の効率的な輸送を実現するための,港湾と道路の連携を考慮したプロジェクトの評価にあたっては,大型車両の通行上のボトルネック等も勘案したフレームで検討を行う必要がある.そこで本研究は,通行制限に関する制度や現状について整理し,輸送ネットワーク上における通行不能箇所を抽出して海上コンテナ用セミトレーラ連結車の通行可能ネットワークを車種別に作成したうえで,これらボトルネックの解消効果の試算を行うものである.
交差点の幾何構造は様々な交通事故リスクに影響を与える要因と考えられているが、幾何構造を示す各特徴量がどのような効果をもたらすかを明確にするにはさらなる検討が必要である。そこで本稿では、このような特徴量のうち横断歩道間距離と横断歩道セットバック距離に注目し、オープンデータである交通規制情報をもとに作成した横断歩道の位置データを用いてこれらを計算することで、交通事故リスクの分析に用いることのできるデータセットを作成した。また、これを用いて千葉県内の信号交差点で発生した左折事故を分析したところ、一定の大きさの交差点では、計算した横断歩道セットバック距離が左折事故における巻き込み事故の相対比率に影響を与える可能性が示唆される結果を得た。
交差点の幾何構造は様々な交通事故リスクに影響を与える要因と考えられているが、幾何構造を示す各特徴量がどのような効果をもたらすかを明確にするにはさらなる検討が必要である。そこで本稿では、このような特徴量のうち横断歩道間距離と横断歩道セットバック距離に注目し、オープンデータである交通規制情報をもとに作成した横断歩道の位置データを用いてこれらを計算することで、交通事故リスクの分析に用いることのできるデータセットを作成した。得られたデータセットを用いて千葉県内の交差点で発生した左折事故を分析したところ、一定以上の大きさの交差点において、計算した横断歩道セットバック距離が左折事故における巻き込み事故の比率に影響を与えることが示された。
Transportation systems in the eastern part of Japan were suspended after the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake. The earthquake, which occurred at 14:46 JST, resulted in the interruption of almost all railway services in Tokyo until the next day. There was a significant increase in road traffic the day after the earthquake and congestions were observed all over the city. This study investigates the relationship between the average travel speed of vehicles estimated from the probe-car data and the average length of traffic congestion obtained from Vehicle Information and Communication System (VICS). Employing the relationships, the travel speeds of vehicles during Typhoon Roke on Sep. 21, 2011 were estimated.
交通状況の把握において、現状は人手観測や感知器を用いた調査が主流だが、設置コストの観点から車両プローブデータの活用が期待されている。一方で、現在普及している車両プローブデータは交通全体の一部分であり、それだけでは実際の交通量を把握することが難しい。そこで本研究では、車両プローブデータから任意の地点の車両台数を推計する手法を新たに提案する。この手法は交通量だけではなく、駐車台数の推計へ応用することも可能である。手法の検証にあたってトヨタ自動車株式会社が保有するプローブデータを使用し、推計した一般道の交通量について精度の検証を行った。この結果、一部の道路では、平均平方二乗誤差率が 0.3 という結果が得られた。また、検証結果から本手法の課題点についても考察した。
「令和 6 年能登半島地震」の発生によって,能登半島の多くの道路で道路損壊・道路亀裂,土砂崩れなどが発生し,通行止めの状態となった.道路は,被災者の避難,緊急車両や救援・救助のための車両の円滑な移動を確保するため,その状態の把握及び提供には正確性及び速達性が求められる.本稿では,これまでの大規模災害時における道路状態の把握において課題であった正確性及び速達性について,実際に発生した 2 種類の道路障害をプローブデータで検知できるのか検証し,改善する手法を検討した.本検討では,異常な道路区間を検知することが可能であることを確認したが,道路障害の原因を特定するには至らず,まずはプローブデータを活用した道路危険個所(通行止め区間)の早期検知及びそれを提供するための体制づくりを提案した.
本調査研究は,自動運転車が安全安心に走行可能な交通環境の整備に向けて,自動運転車が必要とする警察が管理する交通規制情報のデータ精度向上を目指して2020年度からの3か年で実施した.交通規制情報の精度向上を図るために既存の交通規制情報の標準フォーマットにおける課題及び改善策を検討して新たに拡張版標準フォーマット及び同解説書を作成した.実証実験では2020年度に作成したモデルシステムの要件定義書(案)を踏まえ,2021年度に交通規制情報と標識情報の整合性を確認して紐付けを行うモデルシステムの開発及び実証実験を行うとともに画像認識技術の評価を実施した.2022年度には前年度に開発した技術及び拡張版標準フォーマットを用いてプロトタイプシステムを構築し,交通規制情報のデータ精度向上に係る実証実験及び効果検証を行い,システムを導入するための要件定義書(案)を取りまとめた.
千葉県柏市内の信号交差点を対象として、千葉県警で管理されている信号階梯図と模式図を元に、交 GIS を活用して交通事故データと統合して分析するために、GIS で利用可能な形式の信号制御情報を作成した。一定のアルゴリズムに従って、交通事故・交通規制・DRM 統合分析システムと信号制御情報を統合したところ、90%以上の交通事故の第 1 当事者が従うべき信号灯器に接続することができた。右折事故に着目して交通事故分析を実施したところ、第 1 当事者の右折運転者が男性や若年者である場合には、他の属性と比較して、流入道路を制御する信号灯器に右折矢印が設置されている割合がやや高いことが示された。男性や若年者は、右折矢印があるにも関わらず、右折矢印を利用せずに右折して、右折事故を起こす割合がやや高いことが窺えた。
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