不快味を中心とした豆腐の品質に及ぼす脱皮,脱胚軸および生しぼりの影響について検討し,次の結果が得られた.
(1) 豆腐の蛋白質と脂肪含量および蛋白質組成におよぼす脱皮,脱胚軸および生しぼりの影響はほとんど見られなかった.
(2) 電子顕微鏡(SEMとTEM)で豆腐の微細構造を調べた結果,豆腐A(全粒豆腐)では脂肪球の集合が見られたのに対し,豆腐BとC(脱皮・脱胚軸豆腐)では,より均一に分散している脂肪球が観察された.
(3) テクスチャー分析の結果,硬さについては,もめん,きぬ豆腐どちらも,豆腐C>豆腐B>豆腐Aの順であった.
(4) 特に呈味性に関与するサポニン画分について,TLCとHPLCで検討した結果,最も不快味の強い,Ab成分を主成分とするサポニンAグループに脱皮・脱胚軸の影響が見られ,脱皮・脱胚軸豆腐にはこれらの成分が少なかった.
(5) 工場規模で豆腐を製造し,官能検査で調べた結果,色,味,滑らかさ等における全粒豆腐と脱皮・脱胚軸豆腐間に有意の差がみられ,脱皮・脱胚軸豆腐の方が,評点が高かった.
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