2, 5-ノルボルナジエンー2, 3-ジカルボン酸ジグリシジルエステル (NDGE) とアジピン酸塩化物との重付加反応により主鎖にノルボルナジエン (NBD) 残基と側鎖に反応性のクロロメチル基を有するポリマー (P-1) を合成し, 得られたP-1と種々のNBD誘導体との高分子反応により主鎖および側鎖の両方にNBD残基を有するポリマーの合成について検討を行った. ポリエステル (P-1) と3-フェニルー2, 5-NBD-2-カルボン酸 (PNC) のカリウム塩, 3-フェニル-2, 5-NBD-2- (4'-ヒドロキシフェニル) ケトン (PNHK) のカリウム塩, 3- (
N-メチルー
N-フェニルカルバモイル) -2, 5-NBD-2-カルボン酸 (MPNC) のカリウム塩, および3- (
N,
N-ジプロピルカルバモイル) -2, 5-NBD-2-カルボン酸 (DPNC) のカリウム塩との反応を相問移動触媒としてテトラブチルアンモニウムプロミド (TBAB) を用いて, NMP中で70℃, 48時間行った. その結果, 側鎖に種々のNBD残基が100%導入され, 目的とするポリマー (P-2~P-5) がいずれも高収率で得られた. 次に, 得られたポリマーの光反応について検討を行った. その結果, 側鎖にPNC残基を有するP-2の主鎖のNBD残基は光反応初期において, P-1の主鎖のNBD残基と比べ, 高い光反応性を示した. このことからP-2の光反応においてP-2の側鎖のPNC残基から主鎖のNBD残基へのエネルギー移動が起こることが示唆された. さらに, 十分に光照射したポリマーの蓄熱量を測定した結果, 側鎖にPNC残基を有するP-2はこれまでに合成されたNBDポリマーと比較して, もっとも高い蓄熱量 (331J/g) を有することが明らかとなった.
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