若年層(18歳~29歳)における食材の入手並びに廃棄の実態と関連する意識等についてアンケート調査を実施し,女同居者(401),女単身者(282),男単身者(91),に分けて分析を行い,以下の結果を得た.
1)食事の調製や食材の入手と廃棄における実態や意識に,性差や単身か家族同居かによる影響が見られた.男単身者は女単身者に比べ,夕食を自分で作ることや生鮮野菜および魚を買うことが少なく,加工度の高い食材をよく利用していた.また女性に比べ,しなびた野菜をよく捨て,包装食品の廃棄時に容器と未分別で捨てることが多かった.
2)女単身者は女同居者に比べ,野菜や魚を小さい単位で購入し,自分で夕食を作ることが多く,しなびた野菜を捨てることが多かった.
3)賞味期限後の卵やかまぼこは約2/3の人が状態を見ずに捨て,味囎・醤油では状態で判断する人が61%と多かった.
4)食べ残しの処理,少量包装,賞味期限に対する意識や知識の得点において,少量包装に関してのみ単身者が同居者より有意に得点が低かった.
5)若年層女性のデータによる分析では,夕食を自分で作る頻度の高い者はしなびた野菜を捨てることが少なかった.また,しなびた野菜をより利用しようとする群の方が,賞味期限を過ぎた食品の捨て方が適切で,食べ残しの処理と少量包装に対する意識得点や,賞味期限に対する知識得点が高かった.しなびた野菜に対する態度は,食品の廃棄行動を推定する一つの指標となり得ると考えられた.
6)以上の結果を踏まえ,環境保全を目指す食教育の構想には,賞味期限に対する理解と,食事を自らの手で作り出す経験の蓄積が重要であることを指摘した.
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