古くから我が国で食されてきたヤマノイモの食用法を知る目的で, 古文書22点と, アンケート調査により, ヤマノイモ料理について検討した.
1) 文献に採録されたヤマノイモ料理は350であり, 「煮物」が最も多く109であった. 次いで「汁物」の54, 「菓子」の48, 「焼物」の36であり, 「生」は32であった.
2) ヤマノイモの用い方は, (1) 生芋をすりおろすか, 線切りにして, つるつる, ねばねばしたテクスチャーを賞味する料理として「山かけ」, 「汁物」, 「酢の物」, 「和え物」などがあった.(2) 加熱により芋の澱粉を糊化させ, 旨味とほくほくしたテクスチャーを賞味する料理に「煮物」, 「焼物」, 「菓子」などがあった.(3) 生芋のすりおろしまたは, 加熱後にすり潰したものを, 他の食材のつなぎとして用いたものに「麺」, 「かまぼこ」などがあった.(4) 生芋をすりおろして他の食材とすりまぜ, 膨化性を利用した料理に「はんぺん」, 「しんじょう」, 「飛龍頭」, 「かるかん」, 「饅頭」などがあった.
3) アンケート調査による現代のヤマノイモの食され方は, 「生」が80.4%であり, 食頻度は月に一度くらいが56.9%であった.
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