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クエリ検索: "田口良子"
17件中 1-17の結果を表示しています
  • 市川 美智子, 榊原 佐知子, 近藤 千春
    情報管理
    2016年 58 巻 10 号 778-781
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー HTML
  • —Antonovskyの健康生成論の視点から—
    福島 直子, 尾島 喜代美, 中野 博子
    心身健康科学
    2013年 9 巻 2 号 103-111
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2013/09/13
    ジャーナル フリー
    乳がん患者は心身に様々な困難を持ちそれが精神症状へと進む人がいる一方で,心身の健康を維持し能動的に生きる人もいる.健康生成論では,人々の健康を回復する要因は首尾一貫感覚:Sense of Coherence (SOC) にあるとされている.そこでSOCの高い乳がん患者の経験を探索的に明らかにし,健康生成論的な視点で分析し構造化することを目的とし研究を行った.乳がん患者会所属者の内SOCの高かった6名を対象とし,半構造化面接を行い修正版グラウンデット・セオリー・アプローチで分析した.その結果,得られたモデルは【現実的に対応する】【不調に直面する】【前向きな生】【生きる力の蓄積】【現実への満足感・充足感】の5つのカテゴリーにより構成された.そして,モデルはこれらのカテゴリーを内包した問題把握のプロセス,問題処理のプロセス,意味づけのプロセスが循環して展開することが明らかになった.
  • 高岡 道雄, 南 龍一, 上野 文彌, 石下 恭子, 佐々木 昭子, 大井 照, 角田 正史, 竹島 正
    日本公衆衛生雑誌
    2003年 50 巻 7 号 650-656
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 平成11年の精神保健福祉法改正により,一部の精神保健福祉業務が平成14年 4 月から市町村に委譲されることとなった。この委譲にあたり県型保健所管内の市町村の準備状況および県型保健所がどのような支援策を考え実行しているか調査し,円滑な業務委譲に役立てることを目的とした。
    方法 47都道府県ごとに人口500万までは 2 か所,500万を超える場合,3 か所の県型保健所を無作為に抽出し103保健所に対し,平成13年10月にアンケート調査を実施した。回答結果を全国保健所長会のブロックに合わせて 6 ブロックに分け,回答結果のブロック別頻度の比較を行った。
    成績 47都道府県83保健所(80.6%)から回答を得た。回答した保健所管内の市町村数は684であった。市町村の約 4 割が何らかの精神保健福祉業務を既に実施していた。しかし委譲業務の担当部署については調査時点で約 6 割の市町村しか決定していなかった。保健所に関しては95%以上の保健所が研修会の開催を行っており,また市町村との同行家庭訪問も78%の保健所が行っていた。
     保健所への影響については,精神障害者福祉施策が充実するなど精神保健福祉業務の推進を評価する意見が約 8 割ある一方で,市町村間の実施体制の格差等の精神保健対策の後退を心配する意見も約 6 割あった。
    結論 保健所の対応では,「研修会の開催」,「家庭訪問を市町村と実施」などにより円滑な委譲が行われるよう協力体制を整えていた。
     一方,市町村の対応としては,調査した平成13年10月段階では,約 6 割の市町村しか委譲業務の担当部署を決定していなかった。
  • 江口 泰正
    総合健診
    2020年 47 巻 6 号 653-659
    発行日: 2020/11/10
    公開日: 2020/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

     人々が自発的、自主的に健康行動をとっていけるようにしていくためには、その基本能力としての「ヘルスリテラシー」が重要となる。この「ヘルスリテラシー」という能力を健康情報の「入手」「理解」「評価」「活用」といった局面要素に分類したとき、対象者がどの局面の能力が不十分であるかを把握できれば、効率的な保健指導に結びつけることが可能となる。一方、保健指導者においては、対象者が「理解」しやすくて容易に「評価」でき、活用していけるように支援していく工夫が求められるため、健康情報を提供する側のリテラシーも重要となる。

     他方、健康情報の面でこれらのリテラシーが高いからと言って、誰でもが健康行動をとっていくことにつながるわけではない。「理解」「評価」と「活用」との間に大きな壁が存在するといっても過言ではない。このような「わかっているけれども、やれない人」をどのように支援すれば健康行動につながるのかを探究していくことは、これからの重要課題と言える。たとえ論理的には正しくても、行動目標が複雑だったり、興味が沸かない内容だったりするものであれば相手の心には響かない。相手の感情や行動特性に働きかけることも求められる。

     我々が実施したRCTによる介入研究の結果からは、運動の効果を前面に出した支援を行った群よりも、運動の過程を楽しむことを前面に出した支援を行った群のほうが介入期間中の離脱者が少なかった。保健指導者においては、ともすれば健康行動の結果や成果ばかりに目が行き、そのことだけを相手に伝えてしまいがちである。しかしながら、行動変容を促すためには、そればかりではなく「楽しみながら」取り組める機会を増やすことをもっと支援した方が良いのかもしれない。健康情報に対する「リテラシーを高める支援」に「人の心に寄り添う行動科学的な支援」をどのように絡めていくと良いのかについて、さらに研究を進めていく必要がある。

  • 看護師による電話相談の効果
    細井 千晴, 坂田 英明, 安達 のどか
    小児耳鼻咽喉科
    2008年 29 巻 1 号 56-61
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科疾患は中耳炎や鼻出血など,小児に多い救急疾患の特徴があり,その対応には専門的な知識が必要である.今回我々は,専門的な知識を要する耳鼻咽喉科に関連した電話による問い合わせについて,その内容や対応などの現状を調査した.2006年1月から3月において,耳鼻咽喉科疾患に関連した診療時間外の電話による問い合わせは,81件で全体の8.5%であった.内容は,「異物」「外傷」「鼻出血」に関するものが上位を占めていた.救急外来看護師による院内電話対応マニュアルに沿った対応の結果,約67.1%が救急受診を回避することができた.症候や疾患の特徴をよく理解した上で,電話相談により緊急度を判断し,さらに適切な指導を行うことは,(1)保護者の不安の軽減・対処能力への支援,(2)夜間の時間外診療の負担軽減に効果が期待できる,など小児救急医療の抱える問題の解決の一部として,大変意義深いと考えられる.
  • 角田 正史, 上野 文彌, 竹島 正, 南 龍一, 高岡 道雄, 石下 恭子, 大井 照, 佐々木 昭子
    日本公衆衛生雑誌
    2004年 51 巻 1 号 20-29
    発行日: 2004年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル フリー
    目的 平成14年 4 月から精神保健福祉法改正により,保健所から精神保健福祉業務の一部が市町村へ委譲された。平成13年10月時点での市町村の業務委譲の現状を調査し,保健所の市町村への支援のあり方の資料とした。
    方法 全国3229市町村の内,指定都市,政令市,中核市,東京都特別区を除いた3155市町村から人口10万人未満の500市町村を人口区分より抽出し,精神保健福祉業務の委譲に関するアンケート調査票を送付,回収した。
    成績 359市町村から回答を得た(回収率71.8%)。市町村が予算を伴った精神保健福祉業務を実施している頻度は58.5%となった。担当者は保健師と事務職員が多く精神保健の専門職は少なかった。業務委譲の進行状況は64.0%の市町村が担当部門を決めていたが,担当者数まで決めていたのは16.4%であった。社会復帰施設への支援は66.9%の市町村が行っていた。法で平成14年度からの実施の居宅支援サービスに24.2%の市町村がすでに関わりを持っていた。ケアマネジメント従事者研修には59.6%で受講者があり,精神障害者保健福祉手帳交付および通院公費負担事務に専門職を確保しているのが16.2%,プライバシー保護のためのスペース確保が24.2%の市町村であった。業務委譲への住民の反響は22.3%の市町村が反響ありとした。業務委譲の問題として98.6%の市町村が専門職の不足,相談体制等をあげた。保健所への要望については専門的情報の提供,関係機関との連携調整が多かった。
    結論 精神保健福祉業務の市町村での実施率は半数を越えているが,担当者に専門家は少数であった。また法に先んじて行われた居宅サービス支援のように市町村が必要に迫られ業務を実施した場合も示唆された。問題に専門職の不足,要望に専門的情報の提供があげられているように,保健所の精神保健に関する専門性を生かした支援が効果的と考える。
  • 田口 良子, 八巻 知香子, 高山 智子
    日本がん看護学会誌
    2023年 37 巻 論文ID: 37_112_taguchi
    発行日: 2023/08/02
    公開日: 2023/08/02
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 みほ, 戸ヶ里 泰典, 小手森 麗華, 米倉 佑貴, 横山 由香里, 木村 美也子, 榊原 圭子, 熊田 奈緒子, 山崎 喜比古
    保健医療社会学論集
    2014年 25 巻 1 号 41-51
    発行日: 2014/07/31
    公開日: 2016/04/27
    ジャーナル フリー
    子どもの心身健康をストレッサーによる影響から守る要因として家族の習慣が重視されている。本研究の目的は、家族の習慣の形成度を評価する日本語版Family Routines Inventory(FRI)開発の試みである。中学生以下の子どもの母親520名から得た予備調査のデータを基に項目を修正し、都内私立高校生徒の母親919名から得た質問紙調査データを基に解析を行った。α係数は.808を示し、I–T相関は7項目を除き一定の値を示した。因子分析の結果、「仕事を持つ親がいる家庭での習慣」、「親から子への関わりの習慣」、「規則正しい家族の生活習慣」、「家族で交流する習慣」、「親族との交流の習慣」の5因子が抽出された。家族関係尺度との間には有意な関連が認められた。以上より尺度の信頼性と基準関連妥当性は概ね確認され、因子構造が明らかにされたものの、尺度の洗練に向け更なる検証が必要と考えられた。
  • ―特にMMG検診の意義―
    饗場 庄一, 遠藤 啓一, 狩野 貴之, 吉田 美穂, 須永 昌美, 竹吉 泉, 堀口 淳, 菊池 麻美, 高他 大輔, 長岡 りん, 六反田 奈和, 佐藤 亜矢, 時庭 英彰, 石田 常博, 飯野 佑一, 横江 隆夫, 鯉淵 幸生, 池田 文広, 前村 道生
    日本乳癌検診学会誌
    2014年 23 巻 1 号 98-106
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2016/08/25
    ジャーナル フリー
    群馬県内の乳癌集団検診は,昭和55年から群馬大学第二外科と県内各地にある第二外科関連病院の外科と当時の群馬県対がん協会(現在の群馬県健康づくり財団)の協力で県内の検診委託市町村の住民を対象に始まった。昭和55年から平成23年までに精査できた32年間の検診受診者総数は百万名を超え,発見乳癌患者数は1,220名となり,全員が手術を受けている。視触診法に乳房撮影(MMG)が導入されて検診受診者数も年間5万人前後となっていたが,平成17年の老健法の改正で2年に一度の検診となり,受診者数は半減した。しかし乳癌の発見率は視触診検診の頃の0.13%から0.35%に激増した。そこで今回はMMG検診の意義を検討する目的で,発見された乳癌症例のMMGの所見やカテゴリー判定の頻度,さらに発見された乳癌症例を組織学的に検討して臨床病期別頻度で比較検討した。その結果,年次ごとに乳癌の早期例の頻度が増加して,IV期例はきわめて少なく,特に0~Tis期での発見例が視触診のみの時代の6%から年次ごとに増加して,最近では発見乳癌例の実に23.3%がこの時期に手術を受けていることが確認できた。一方,全国的には検診者数の増加に対応して検診医を集めることが難しく,また群馬県では検診費用の観点からMMG単独検診の問題が出てきた。そこで同一会場で行われた視触診のみの群,MMG併用群,MMG単独群で乳癌発見率を比較検討した。
  • 山地 佳代, 長畑 多代, 松田 千登勢, 山内 加絵, 江口 恭子
    老年看護学
    2013年 17 巻 2 号 58-64
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2017/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究の照的は,特別養護老人ホーム(以下,特養)での看取りを支える看護職への教育プログラムを開発し,実施した結果から評価し,効果を検討することである.教育プログラムは,看取りを実践している特養の看護職を対象に3回の研修会と研修課題の実施にて構成した.研修課題は,参加者が「看取りケアふり返りシート」を参考にしながら自施設の職員とともに看取りケアにおける課題を抽出するとともに,解決に向けた取り組みを推進するものであった.18人の参加者による研修後のアンケートから,教育プログラムは施設の現状に合った役立つ内容であると評価され,運営方法も参加者に適していたと考えられた.参加者が各職場のリーダーとなって施設での課題に取り組み,そのプロセスをグループワークにて共有しながら進めていく本教育プログラムは,他施設の状況を知るとともに自施設での看取りケアのあり方を振り返り,課題に向けた取り組みの方向性を見いだす機会になったと考えられた.
  • 鈴木 久美, 大畑 美里, 林 直子, 府川 晃子, 大坂 和可子, 池口 佳子, 小松 浩子
    日本がん看護学会誌
    2018年 32 巻 論文ID: 32_suzuki_20171120
    発行日: 2018/01/01
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル フリー

    要 旨

    目的:本研究の目的は,乳がんおよび乳房自己検診,マンモグラフィ検診に対する健

    康信念を高めて行動変容を促進するために,乳がん早期発見のための乳房セルフケアを促す教育プログラムを実施し,その効果を明らかにすることとした.

    方法:対照群を置かない前後比較の介入研究デザインを用いた.20 歳以上で乳がん既往のない女性42 名を対象に,教育プログラムを乳がん体験者と協働のもと実施した.介入効果の検討は,定期的乳房自己検診およびマンモグラフィ検診の実施状況,日本版Champion Health Belief Model Scale(CHBMS)を用いて,介入前後で評価した.

    結果:対象は,平均年齢50.6 歳(SD=11.5)で,有職者が59.5%,乳腺疾患のある者が16.7%だった.定期的乳房自己検診実施率は,介入前21.4%に比べ介入後1 年で54.8%(χ2 値=9.389, p=0.002,効果量w=0.602)と有意に高かった.マンモグラフィ検診受診率でも,介入前23.8%に比べ介入後1 年で47.6%(χ2 値=8.100, p=0.004,効果量w=0.569)と有意に高かった.日本版CHBMS の「乳房自己検診の自己効力感」は,介入前後で有意差が認められ(F 値=34.080, p<0.001,効果量f=0.586),介入前よりも介入後1 カ月,6 カ月,1 年で得点が有意に高かった.また,90%以上の者が,プログラムを満足かつ有用と評価し,内容や方法も適切であると回答した.

    結論:本プログラムは,対象者の「乳房自己検診の自己効力感」を高め,乳房自己検診,マンモグラフィ検診への動機づけを強化し,定期的乳房自己検診実施率およびマンモグラフィ検診受診率を高める効果があることが示された.

  • 山崎 幸子, 藺牟田 洋美, 増井 幸恵, 安村 誠司
    老年社会科学
    2017年 39 巻 3 号 352-364
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2019/11/15
    ジャーナル フリー

     閉じこもりをもたらす同居家族の関わりチェックリストを開発することを目的とした.閉じこもり高齢者とその同居家族への予備調査から15項目を収集した.本調査は2014年4月,福島県C村在住で70歳以上の要介護認定を受けていない高齢者1,229人とその同居家族を対象とした.調査内容は,高齢者本人には,性,年齢,外出頻度,うつ傾向,生活体力指標,老研式活動能力指標,ソーシャル・サポート等,同居家族には,予備調査で作成した家族の関わりチェックリスト素案,性,年齢,精神的健康状態(WHO-5)をたずねた.2015年9月,高齢者本人に対し閉じこもりの発生の有無を追跡調査した.最終的な分析対象者は497人であった.新規閉じこもりの有無と家族の関わりチェックリスト素案15項目の関連について,基準関連的手法による項目分析により6項目を選定し,閉じこもりをもたらしやすい家族の関わりチェックリストを作成した(α=0.63).ソーシャル・サポート,WHO-5等との関連から併存的妥当性を確認した.また,本チェックリストのカットオフポイントを超える場合には,その他の要因と比しても約1年半後の閉じこもり発生が高いことを確認した.

  • 江口 泰正
    日本栄養士会雑誌
    2018年 61 巻 10 号 557-565
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    近年、「ヘルスリテラシー」が医療や保健、教育等の分野で注目されてきている。世界的に見ても、ヘルスリテラシーに関する研究が飛躍的に増加している。背景として、2000年に米国における健康政策の指標であるヘルシーピープル2010で解説された影響もある。わが国においても厚生労働省が2015年に発表した「保健医療2035」の中でヘルスリテラシーという言葉が使われている。しかしながら、ヘルスリテラシーについて理解している人はまだ決して十分とは言えない。一方近年、日本人のヘルスリテラシーは欧州と比較して低いとする報告もあり、今後の議論が求められる。ヘルスリテラシーが不十分だと、さまざまな健康課題が増加し、また高めていくことで人々の豊かな生活へ結び付けていくことが可能となる。本稿では、この新しいキーワードとしてのヘルスリテラシーについて、その定義や要素分類、評価法について、そしてヘルスプロモーションや健康教育との関連性等について総説することを目的とした。

  • 田口 良子, 山崎 喜比古, 戸ヶ里 泰典
    日本公衆衛生雑誌
    2009年 56 巻 7 号 468-477
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 家族機能の特徴を把握することへの関心が高まり,利用可能な家族評価尺度が求められている。そこで,家族関係を測定する指標として Family Relationships Index (FRI)日本語版を参考にして,その項目の一部に変更を加えスケール化した家族関係尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。
    方法 日本の全国サンプルより層化二段階抽出をした男女3,000人のうち,不在や調査協力の拒否を除く対象者に対して訪問面接調査を行い,1,910人から回答を得た。家族関係尺度の因子構造を検討するため確証的因子分析,および探索的因子分析を実施した。サブスケールの信頼性はクロンバックの α 係数(以下 α 係数)を求めることにより,妥当性は,サブスケールと人口学的特性の関連,および健康関連 QOL との関連により検討した。
    結果 家族関係尺度について,当初 FRI の理論的背景から想定された 2 次 3 因子構造を仮定したが,確証的因子分析の結果,適合度は低かった。そこで,探索的因子分析の結果を基にモデルを修正し,確証的因子分析を実施したところ,「凝集表出性」「葛藤性」の 2 因子構造を仮定し,さらに 2 項目を削除したモデルで妥当な適合度が認められた。サブスケールの α 係数は「凝集表出性」で.795,「葛藤性」で.659と妥当な値であった。人口学的特性とサブスケールの関連は,性別を除く年齢,世帯収入,世帯形態との関連がみられ,本尺度の内容妥当性が示された。健康関連 QOL とサブスケールの関連は,「凝集表出性」は活力,社会生活機能,日常生活機能(精神)と有意な正の相関を示し,「葛藤性」は上記に加え,心の健康と有意な負の相関を示した。しかし,これらはいずれも0.1程度の低い関連であった。
    結論 家族関係尺度について,事前に想定された 3 因子構造は支持されず,今回の調査では一部項目を削除した 2 因子モデルで妥当な適合度が得られた。サブスケール「凝集表出性」,「葛藤性」については,信頼性はおおむね示されたが,妥当性は内容妥当性の検証にとどまった。したがって,家族関係尺度を一つの概念を表す尺度として用いることの妥当性やサブカテゴリーの妥当性について十分検証されなかった。現代の日本の家族関係の概念とその構造について,今後も検討が積み重ねられる必要があると考えられた。
  • 筒井 孝子, 東野 定律
    日本公衆衛生雑誌
    2006年 53 巻 10 号 762-776
    発行日: 2006年
    公開日: 2014/07/08
    ジャーナル フリー
    目的 本研究では,保健師が連携業務を促進するための能力形成に関する方法論を検討するために,第 1 に,全国すべての市区町村保健師(以下,保健師と略す)を対象とし,彼らの連携実態を把握すること。第 2 に,連携をしている保健師と連携をしていない保健師の個人的要因や業務の特徴を明らかにすることを目的とした。
    方法 調査の実施に先立ち,全国3,190市区町村に対して所属する保健師の所属部署を把握するための事前調査を実施し,保健師人数および勤務場所等の実態を把握した。次に,事前調査で把握された全国の市区町村保健師21,631人に対する郵送法による質問紙調査を実施した。調査期間は2003年12月から2004年 8 月までであった。
     なお調査項目の内容は,「保健師の性別,年齢,職位,最終学歴,総勤務年数,現在の所属機関での勤務年数,所属部署,業務の種類,実施の状況,連携および連携している機関,専門職等の状況,連携評価尺度における項目」とした。
    結果 全国の保健師の約 8 割にあたる13,024人保健師のデータが収集された。まず保健師の連携実態としては,保健師は,保健所等の行政および保健医療機関との連携はなされているが,精神や障害者福祉施設との連携は密ではなく,また他機関の保健師や行政職,医師との連携はしていたが薬剤師や精神保健福祉士との連携は少なかった。
     また,専門機関ならびに専門職毎に分析した結果において,連携あり群は,無し群よりも連携得点は有意に高く,この得点は実態としての連携状況を反映していると考えられた。保健師は,業務経験が長い程,常勤である程,連携得点は高かった。また,学歴との有意な差は,20歳代以外はなかった。業務内容との関係においては,新規事業の展開やこのための予算獲得をしている群のほうが得点は有意に高かった。日常的な業務の実施状況からみると新たな知識を必要とする業務や高度な能力が要求される業務を行っている保健師の方がこの得点が高いことが明らかにされた。
    結論 保健師における連携は,実態として保健関連部署や専門職との連携はよく行っていたが障害者福祉および精神福祉関連の部署との連携は密ではなかった。また連携得点によって連携の実態だけでなく,事業展開といった業務の評価も可能であることから,これらの得点別の研修等が実施されることが考えられる。
  • 田口 良子, 山崎 喜比古, 中山 和弘
    日本公衆衛生雑誌
    2010年 57 巻 2 号 83-94
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/06/12
    ジャーナル フリー
    目的 日本では乳がんマンモグラフィ検診の受診率が低い水準で推移している。人々のマンモグラフィ検診への需要からこの問題を検討するため,表明選好法の 1 つである選択型実験を用いて以下の 3 点を本研究の目的とした。1)マンモグラフィ検診対象年齢の一般住民が検診のどのような属性を潜在的に評価しているか傾向を探ること,2)サンプルをマンモグラフィ検診経験者•非経験者に分け,サブサンプル間で属性の評価傾向の違いを検討することにより表明選好法の妥当性を検証すること,3)今後需要があると考えられる検診オプションを想定し,シナリオを設定して選択行動を予測すること。
    方法 都内在住の一般住民のうち,40~59歳の乳がん非経験者800人を対象に郵送自記式質問紙調査による選択型実験を実施し301人より回答を得た。マンモグラフィ検診に関する 5 属性からなる仮想的な検診を 2 つ 1 組として提示し,どちらの検診であれば受けようと思うかを尋ねた。全サンプルとサブサンプルについて検診属性を独立変数,いずれかの検診を受ける•受けないの選択を従属変数として条件付きロジットモデルによりパラメータを推定した。この結果を基に,検診の所要時間と費用に関して,短時間•高費用と長時間•低費用の 2 種類の検診オプションを設定して選択行動を予測した。
    結果 全サンプルではマンモグラフィ検診に関する 5 つの属性:検診を受けるためにかかる合計時間,乳房の痛みの程度,検診で乳がんが見逃される可能性,乳がんによる死亡を減少させる効果,検診を受けるためにかかる合計費用,のいずれも 5%水準で有意で符号の向きが予想と一致する係数が推定された。サブサンプルの推定結果の比較から行動と選好のプラスの相関が確認された。選択行動の予測では,短時間の検診の費用が約7,500円までの場合には,その選択割合は長時間•低費用の検診より高いかほぼ同じであった。
    結論 対象者は健康アウトカム以外に検診プロセスに関する属性をも無視できない評価をしていることが明らかとなった。検診への選好を調べる手段として表明選好法の妥当性が示唆された。短時間•高費用の検診は長時間•低費用の検診に対し約7,500円までの価格であれば競争力を持つことが示唆された。
     以上より,受診対象者の需要を高める検診環境を整備することによって,マンモグラフィ検診受診率が向上する可能性が示唆された。
  • ―「健康日本21(第二次)」の基本的方向に関連した学術論文の検討から―
    武藤 孝司
    産業医学レビュー
    2022年 34 巻 3 号 155-178
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/13
    解説誌・一般情報誌 オープンアクセス
    健康増進法に基づいた政策「健康日本21(第二次)」では、健康増進の主要な目標である健康寿命の延伸を図るために、生活習慣病の予防と社会生活上必要な機能の維持及び向上などが必要とされている。具体的な取り組みでは地域における活動だけでなく職域での産業保健活動も期待されている。全国民の約半数にあたる約6,000万人の労働者を対象として行われている産業保健活動に関する学術論文を検討した結果、産業保健活動が日本国民の健康寿命延伸に寄与している可能性が示された。
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