酸化チタン顔料を電着塗料に使用する場合, 酸化チタソの処理条件によって, 塗料の沈降性・電着性が変わることは現在までいろいろ報告されている。しかし, 同一処理条件の酸化チタン顔料でも電着適性が異なる場合がある。この原因の一つとして, 含有水可溶分の影響を調査した。
酸化チタン顔料は一般に0.5%以下の水可溶分を含有している。この組成は銘柄によって多少異なるが, 共通的な主成分はアルカリ金属の硫酸塩または塩酸塩である。この実験は市販の水溶性電着ワニスを用いて, 酸化チタンを分散し, 白色塗料とし含有水可溶性塩類の影響を調査した。その結果, 微量のアルカリ金属イオンは電着性に直接影響せず, SO
42-が次の障害をもたらすものと思われる。
(1) 電着量・電着効率の低下
(2) 塗膜光沢・白色度の低下・耐候性の劣化
この現象は強酸性陰イオンが電着時陽極において水の電解を促進し, そのためクーロン効率の低下, 塗膜光沢の低下を引き起こしており, かつ, 陽極軟鋼板の酸化溶解を促し, 塗膜中に溶出・固定したFe
2+・Fe
3+により塗膜の白色度・耐候性の劣化の現象をきたしたものと推察される。
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