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クエリ検索: "繊毛病"
44件中 1-20の結果を表示しています
  • 中西 浩一, 吉川 徳茂
    日本小児腎臓病学会雑誌
    2012年 25 巻 2 号 127-131
    発行日: 2012/11/30
    公開日: 2012/12/22
    ジャーナル フリー
     繊毛は細胞表面から突出する小器官であり,気管などに存在する運動性の繊毛と,ほぼすべての細胞に存在する非運動性の一次繊毛が存在する。一次繊毛の役割は長らく不明であったが,近年,一次繊毛とその関連構造物の遺伝子変異により腎嚢胞,肝臓・胆管異常,内臓逆位,多指症,脳梁低形成,認知障害,網膜色素変性症,頭蓋・骨格異常,糖尿病など多岐にわたる異常を生じることが明らかになった。これら一群の繊毛機能不全疾病を称して
    繊毛病
    (ciliopathy)と呼ぶ。腎徴候を呈する
    繊毛病
    としては,常染色体優性および劣性多発性嚢胞腎,ネフロン癆,Joubert syndrome,Bardet-Biedl syndrome,Meckel-Gruber syndromeなどがある。
    繊毛病
    の多くは腎嚢胞を合併するため,腎嚢胞は
    繊毛病
    の診断上重要である。
  • 髙橋 慶, 宮寺 恵子
    日本薬理学雑誌
    論文ID: 23071
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/26
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    ヒトは高度に発達した網膜を有し,外部情報のおよそ8割を視覚から得ているため,視覚障害が人々の日常生活に及ぼす影響は非常に大きい.網膜の最外層に整列し光シグナルを受容する視細胞は,高度に分化・発達した感覚繊毛であり,一次繊毛に類似した構造的・機能的な特徴を有する.特定の遺伝子変異を原因として網膜・視細胞の機能が障害される疾患は遺伝性網膜変性疾患(IRDs)と総称され,これまでに280以上のIRDsの原因遺伝子が同定されている.IRDs原因遺伝子の中には,

    繊毛病
    の原因遺伝子と共通する遺伝子が多数存在するため,視細胞は
    繊毛病
    の研究対象として頻繁に用いられる.IRDsや
    繊毛病
    などの遺伝病の研究においては,飼育やハンドリング,病態モデル作製の簡便さなどの利点からマウスモデルが汎用されている.一方,マウス-ヒト間の網膜における構造的・機能的・遺伝的な相違がIRDs研究の妨げとなる場合がある.マウスモデルの欠点を補う手段の一つとして,より大型の脊椎動物のIRDsモデルは有益な研究対象になり得る.特に,イヌはヒト網膜と構造的・機能的に類似性の高い網膜を有することに加え,ユニークな遺伝的背景を有するため自然発生遺伝病家系が他の大型動物に比べて発見されやすいという特徴を有する.自然発生イヌIRDsモデルとして,現在までに30以上の遺伝子において病原性を有する変異が同定されており,病態解明や新規治療開発が進められている.本項では,
    繊毛病
    研究におけるイヌIRDsモデルの有用性について,筆者らの近年の研究成果を交えて解説する.

  • 岡田 智哉
    比較内分泌学
    2018年 44 巻 163 号 30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/28
    ジャーナル フリー
  • 三木 大輔
    比較内分泌学
    2018年 44 巻 164 号 91
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/03
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 将樹, 佐藤 岳哉
    日本薬理学雑誌
    2019年 153 巻 3 号 117-123
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/12
    ジャーナル フリー

    一次繊毛は細胞膜が突出して形成される不動性の繊毛で,一細胞につき一本のみ形成される.当初は細胞外に突出しているだけの静的な細胞小器官だと思われていたが,種々の研究成果により,細胞周期に依存して形成と短縮・消失を繰り返すダイナミックな性質をもつことが明らかとなってきた.一次繊毛は非常に短く表面積も小さいにもかかわらず,一次繊毛膜上には特異的に分布するGタンパク質共役型受容体,増殖因子受容体やイオンチャネルがあるため,選択的な生理活性物質や機械刺激を受容するシグナル受容器として働く.そのため,一次繊毛の形成異常や機能破綻は,小頭症,嚢胞腎,内臓逆位や多指症に代表される種々の臓器形成不全等を所見とする,先天性の遺伝子疾患「

    繊毛病
    」の発症につながる.
    繊毛病
    に対する有効な治療法は開発されていない.近年,一次繊毛の形成や機能の分子制御機構が解明されるにつれて,多種多様の分子が巧妙な機構によって一次繊毛の形成,シグナル伝達や短縮・消失のサイクルを制御することが明らかになり,一次繊毛の特殊性と重要性が理解されてきた.しかし,それら分子制御機構の全容解明には遠く及ばないのが現状である.
    繊毛病
    の病因解明のため,分子制御機構がさらに解明されることが必要であり,また将来,有効な治療法が薬理学研究を中心として開発されることが期待される.

  • 斎藤 将樹, 大津 航
    日本薬理学雑誌
    2019年 154 巻 4 号 197-202
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/10
    ジャーナル フリー

    一次繊毛は細胞膜が突出して形成されるシグナル受容器である.細胞周期G0/G1期に中心体由来の基底小体を基にして,1細胞あたり1本形成される.特異的な増殖性刺激を受容すると短縮・消失してG1/S期に再駆動するため,細胞増殖を促進する.細胞増殖作用は,主に胎児期における種々の臓器形成に重要である.血球系を除くほとんど全ての細胞種に形成されるため,一次繊毛の形成異常および一次繊毛シグナルの破綻は,脳,眼,鼻,耳,心臓,肺,肝臓,腎臓,骨など種々の臓器の形成不全につながる.これらの先天性遺伝性疾患を総称して

    繊毛病
    と呼ぶ.しかし,
    繊毛病
    の病因には不明なことが多く残されており,さらなる分子機構の解明が必要である.特に,一次繊毛の短縮・消失機構は,Aurora Aキナーゼやヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)6による制御機構が2007年に初めて報告されたが,まだ知見は乏しい.Tctex-1(t-complex testis expressed-1)は細胞質ダイニン軽鎖の一種で,細胞内物質輸送を制御する.Tctex-1はまた,リン酸化されると細胞質ダイニン複合体から遊離してダイニン非依存的な役割を果たす.本稿では,一次繊毛の短縮・消失機構の現状についてリン酸化Tctex-1による分子制御機構を中心として解説する.

  • 野崎 章仁, 岡本 伸彦, 鈴木 敏史, 鶴崎 美徳, 三宅 紀子, 松本 直通, 熊田 知浩, 柴田 実, 藤井 達哉
    脳と発達
    2017年 49 巻 6 号 427-428
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/12
    ジャーナル フリー

     Joubert syndrome (JS) は, 頭部画像所見にてmolar tooth sign (MTS) を特徴とする

    繊毛病
    の1疾患である. Centrosome and spindle pole associated protein 1 (CSPP1) 変異がJSの原因として近年報告された. CSPP1変異によるJSの本邦第1例目を経験したため報告する. 症例は4歳男児. 生下時より両側眼瞼下垂を認めたが, その他の外表奇形は認めなかった. 頭部CTでは両外直筋以外の外眼筋形成不全を認めた. 眼科評価では斜視, 外眼筋形成不全による眼球運動障害, 対光反射消失および左視神経乳頭萎縮を認めた. 網膜ジストロフィーはなかった. その後, 低緊張と重度精神運動発達遅滞を認めた. 頭部MRIではMTSを認め, JSと診断した. 腎および肝合併症もないことから古典的JSと判断した. 3歳時に全エクソームシーケンスを行い, CSPP1に複合ヘテロ変異 (NM_024790: c.457_458del/c.2448_2451del) を同定した. また4歳時に呼吸異常を認めた. CSPP1変異によるJSでは腎および肝疾患の罹患は少ないと報告されており, 疾患責任遺伝子の同定は児の予後や合併症管理において有用であると考えられた.

  • 大林 典彦
    ファルマシア
    2012年 48 巻 12 号 1190
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2016/12/16
    ジャーナル フリー
  • 友重 桜子
    比較内分泌学
    2017年 43 巻 162 号 154
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/23
    ジャーナル フリー
  • 宮坂 実木子
    超音波医学
    2017年 44 巻 6 号 489-495
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/17
    [早期公開] 公開日: 2017/09/22
    ジャーナル 認証あり
    腎嚢胞性疾患の診断のきっかけは,胎児超音波検査によるスクリーニング,奇形症候群や家族歴のある患児の腹部精査,尿路感染症,血尿,腹部腫瘤など様々である.腎嚢胞性疾患は,非遺伝性と遺伝性疾患の2つに大別される.非遺伝性の嚢胞性疾患として最も頻度が高いのは,多嚢胞性異形成腎(multicystic dysplastic kidney: MCDK)である.代表的な遺伝性嚢胞性疾患は,常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal-recessive polycystic kidney disease: ARPKD)と常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal-dominant polycystic kidney disease: ADPKD)である.遺伝性嚢胞性疾患は,
    繊毛病
    のひとつと考えられている.画像診断検査は,超音波検査が第1選択であり,初期発見および診断,フォローアップに用いられる.特徴的な超音波所見がそれぞれの診断の中核となり,臨床症状,家族歴などを考慮して総合的に診断される.MCDKは,ぶどう房状の嚢胞の集簇であり,正常な腎実質は認めない.ARPKDとADPKDでは,腎のサイズや実質輝度,嚢胞の大きさや部位などのほか,さらに肝や膵臓などの腹部実質臓器の異常所見についても検索することが大切である.本稿では,代表的な腎嚢胞性疾患の超音波所見を中心に解説する.
  • *加藤 洋平
    日本薬理学会年会要旨集
    2019年 92 巻 92_1-S09-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    Cilia are microtubule-based appendages that project from the surfaces of various eukaryotic cells and play critical roles in sensing extracellular stimuli and transducing developmental signals. Defects in the assembly and functions of cilia result in a variety of congenital disorders, which are collectively called the ciliopathies.

    The bidirectional trafficking of ciliary proteins along the microtubule-based axoneme is mediated by the intraflagellar transport (IFT) machinery, which contains the two large multisubunit complexes IFT-A and IFT-B. Anterograde protein trafficking from the base to the tip of cilia is mediated by the IFT-B complex driven by kinesin-2 motor proteins, whereas retrograde trafficking is mediated by the IFT-A complex driven by the dynein-2 complex.

    I will introduce the architecture and function of IFT machinery revealed by utilizing the visible immunoprecipitation (VIP) assay, which we recently developed as a simple and flexible strategy for visually detecting protein-protein interactions, and CRISPR/Cas9 genome editing.

  • 野田 直紀
    日大医学雑誌
    2022年 81 巻 2 号 117-118
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/06/09
    ジャーナル フリー
  • *大津 航
    日本薬理学会年会要旨集
    2022年 96 巻 96_2-B-S13-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/26
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    A photoreceptor is a specialized neuron that is responsible for the conversion of light into an electrical signal, which possess light-sensing ciliary organelles called outer segments. Peripherin 2 (PRPH2; also known as retinal degeneration slow protein, RDS), a photoreceptor-specific tetraspanin protein, is essential for the morphogenesis of the outer membranes and the visual function. A variety of the PRPH2 gene mutaions have been linked to a spectrum of hereditary retinal degenerative diseases. Recently, we have shown that the late endosome is the waystation that sorts newly synthesized PRPH2 to the cilium. We found that multiple C-terminal motifs of PRPH2 regulate its late endosome and ciliary targeting through ubiquitination and binding to Endosomal Sorting Complexes Required for Transport (ESCRT) component Hrs. Using the novel in vivo transfection system, we demonstrated that the entry of nascent PRPH2 into the outer segment could be blocked by its C-terminal mutations or by the expression of shRNA against Hrs. These findings shed light on a new biological role of the late endosomes in the biosynthetic pathway of ciliary proteins, and suggest that the late endosome can be a new therapeutic target for the diseases caused by ciliary defects.

  • 波多野 亮
    ファルマシア
    2015年 51 巻 5 号 462
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    Prostaglandin(PG)は様々な生理作用を有する脂質由来の生理活性物質であり,オータコイドとして近傍の細胞へのシグナル伝達を媒介する重要な役割を担う.PGはcyclooxygenase(COX)を介して細胞内で合成され,分泌された後に標的細胞に発現する受容体に作用する事で,様々な生理機能を発揮する事が明らかにされてきた.またPGの制御機構として,PGの代謝に関する研究も近年進められているが,オータコイドであるPGの分泌機構については未だ不明な部分が多い.PGの分泌には,様々な薬物や生体異物を輸送するABC(ATP -binding cassette)輸送体やSLC(solute carrier)輸送体の関与が想定されるが,中でもABC輸送体に属するABCC4(MRP4)はPGの分泌過程にも関わることが報告されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Reid G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 100, 9244-9249 (2003).
    2) Lin Z. P. et al., Mol. Pharmacol., 73, 243-251 (2008).
    3) Hara Y. et al., J. Clin. Invest., 121, 2888-2897 (2011).
    4) Jin D. et al., Nat. Cell. Biol., 16, 841-851 (2014).
  • 加藤 洋平
    日本薬理学雑誌
    2019年 154 巻 4 号 186-191
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/10
    ジャーナル フリー

    細胞膜から突出する一次繊毛はヒトのほとんどの細胞に存在し,さまざまな外部シグナルを受容するアンテナとして機能する.繊毛の形成不全や機能異常が嚢胞腎や網膜変性などの多様な症状を呈する

    繊毛病
    を引き起こすことが明らかになるにつれて,繊毛の重要性に注目が集まってきた.繊毛がアンテナとして働くためには,特定の受容体やイオンチャネルが選択的に繊毛に局在する必要がある.Gタンパク質共役型受容体(GPCR)などの積荷タンパク質は,繊毛内タンパク質輸送(intraflagellar transport:IFT)装置によって運ばれる.IFT装置は3つのタンパク質複合体(IFT-A複合体,IFT-B複合体,BBSome複合体)と2つのモータータンパク質(キネシン2とダイニン2複合体)を含み,全部で40以上のサブユニットから成る巨大なタンパク質複合体である.IFT装置を動かす2つのモータータンパク質は繊毛内タンパク質輸送の根幹であるにも関わらず,キネシン2がIFT装置とどのようにして連結しているのか,ダイニン2複合体はどのようにして構築されるのか,ダイニン2の各サブユニットの機能の違いは何かなど,基本的な分子メカニズムがわかっていなかった.筆者らは『観るだけでわかるタンパク質間相互作用解析法(VIPアッセイ)』とCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集を活用することによってこれらの問題に取り組んだ.本稿では筆者らの最近の研究成果を中心にして,繊毛内タンパク質輸送を担う2種類のモータータンパク質の構築様式と機能について解説する.

  • 田中 久美子, 広浜 大五郎, 代田 翠, 上竹 勇三郎, 田口 学, 高野 幸路, 福本 誠二, 藤田 敏郎
    日本内科学会雑誌
    2013年 102 巻 3 号 704-707
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/10
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性.幼少時から先天性網膜色素変性症及び学習障害を指摘され,17歳時にトルコ鞍内の腫瘍及び下垂体機能低下症が判明した.内分泌機能の再評価目的に受診し,Bardet-Biedl症候群(以下BBS)と診断された.BBSは極めて稀な疾患であるが,近年
    繊毛病
    として新たな病態が解明されつつある.下垂体機能異常や下垂体腫瘍の合併など,診断基準には含まれていない症候も報告されており,より多彩な合併症,表現型をもつ可能性がある.
  • 斎藤 将樹, 厚味 厳一
    日本薬理学雑誌
    論文ID: 23113
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/26
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    一次繊毛は,中心体由来の基底小体を起点として形成される不動性の繊毛で,細胞周期G0期のほとんど全ての細胞種において細胞外に突出する.一次繊毛の根底部には物質輸送のバリアがあるため,内部には選択的な分子が存在し,特に一次繊毛を覆う細胞膜(一次繊毛膜)には限られた種類のGタンパク質共役型受容体,増殖因子受容体や,イオンチャネルが分布する.そのため一次繊毛は,選択的な生理活性物質や機械刺激のシグナル受容器として細胞の増殖や分化を制御し,骨,脳や腎臓など,全身の様々な臓器の形成や成熟に関与する.一方,一次繊毛の形成不全や機能破綻が生じると,様々な臓器の形成不全を主徴とする

    繊毛病
    を引き起こすことが明らかになってきており,一次繊毛はその生理的重要性のため,それらを対象とする研究がここ20年ほどで活気を帯びている.骨形成における一次繊毛の役割とその分子制御機構に関する研究も少しずつ進んでおり,骨芽前駆細胞に形成される一次繊毛は,ヘッジホッグなどの選択的な生理活性物質を受容して骨芽細胞への分化を亢進し,頭蓋骨や長管骨の形成に関与することが周知となってきている.最近さらに,それまで一次繊毛形成とは関連が示されていなかった膜裏打ちタンパク質4.1Gが,骨芽前駆細胞において一次繊毛の形成,ヘッジホッグシグナルの伝達,および骨芽細胞への分化を促進することによって,骨形成に関与することが報告された.本稿では,骨形成において一次繊毛が果たす役割とその分子制御機構について,4.1Gの役割を含めて紹介する.

  • 吉川 雅英
    顕微鏡
    2023年 58 巻 2 号 51-54
    発行日: 2023/08/30
    公開日: 2023/09/12
    ジャーナル 認証あり

    2021年より始まった学術変革領域「クロススケール新生物学」では,これまでアプローチすることが難しかった細胞内の20~500 nm程度の大きさに焦点をあてて研究を進めようとしている.このスケールの現象や構造を観察する幾つかの方法の内の一つがクライオ電子顕微鏡(以降,Cryo-EM)である.Cryo-EMについては昨年の顕微鏡誌(57巻3号)で「クライオ電子顕微鏡の現在」という特集が組まれているので,そちらを参照していただければ幸いである.本稿では,「クロススケール新生物学」というコンテクストで,主にCryo-EM/単粒子解析による細胞内複合体の解析と,クライオ電子線トモグラフィー(以降,Cryo-EM/Tomo)について解説する事にする.

  • タンパク質リン酸化による繊毛先端部における輸送方向切り替えの制御
    茶屋 太郎, 大森 義裕, 古川 貴久
    化学と生物
    2016年 54 巻 7 号 451-453
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2017/06/20
    ジャーナル フリー
  • 大津 航
    日本薬理学雑誌
    論文ID: 23077
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/26
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    ヒトをはじめとする哺乳動物は,網膜に達した可視光線を視細胞が受容し,そのシグナルが脳に伝達されることで,明暗や色,形などの情報を視覚として認知している.光子を吸収し,そのエネルギーを化学シグナルへ変換する初期反応を担っているのが外節と呼ばれる視細胞独自の膜小器官である.外節の内部にはディスク膜と呼ばれる扁平な膜構造が多数存在しており,ロドプシンを豊富に含んでいる.この特徴的な構造は一次繊毛に由来し,網膜の成熟とともに発達して形成される.そのディスク膜の辺縁にはペリフェリン2(Peripherin-2,PRPH2もしくはRDS)と呼ばれる視細胞特異的テトラスパニンが分布し,ホモもしくはヘテロ多量体を形成し膜を屈曲させることで,膜構造を変形・維持していると考えられている.PRPH2の遺伝子変異は多様な遺伝性網膜変性疾患を引き起こすことが知られているが,細胞質内に位置するカルボキシル末端(C末端)領域の変異は特に黄斑関連疾患との関わりが報告されている.ペリフェリン2のC末端領域は外節の局在に必須であることが知られていたが,筆者らの研究によりその輸送機構に後期エンドソーム経路が関わっていることが明らかになった.同じくディスク膜に局在する膜タンパク質であるロドプシンはそのC末端に繊毛輸送配列VxPxを含み,ロドプシン輸送複合体との相互作用を介してゴルジ装置から外節に輸送される.近年,薬剤による遺伝子発現誘導系を用いた研究により,げっ歯類においてペリフェリン2とロドプシンは各々独立した経路によって外節へと輸送され,それらは外部の光環境によって制御されることが明らかになった.本稿では,視細胞における特徴的な繊毛構造の要であるペリフェリン2の役割について概説するとともに,視細胞の繊毛輸送の最近の知見について紹介する.

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