症例は,ハチアレルギーの既往を有する55歳の男性で,以前より誘因なく腹痛を認めていた.盲腸のIIa型腫瘍(m癌)に対して,内視鏡的粘膜切除術(EMR)が施行されたが,断端陽性のため手術目的に当科に入院となった.術前の下部消化管内視鏡検査で,EMR後の瘢痕とは別に上行結腸に粘膜下腫瘍を思わせる病変を認めた.腹腔鏡補助下右半結腸切除術を施行時,上行結腸漿膜に浮腫状の変化と,所属リンパ節の腫大を認めた.術後病理学的所見では,EMR後の病変は瘢痕のみであったが,粘膜下腫瘍様の病変部は全層性,かつび慢性の好酸球浸潤を示し,所属リンパ節にも好酸球浸潤が認められ,好酸球性大腸炎と診断された.末梢血好酸球分画は,術前16%,術後1カ月目には28%と高値を示していたが,半年後には2%と正常範囲内となり,術後1年3カ月の現在,腹部症状なく経過している.大腸粘膜下腫瘍に好酸球増多をともなう場合は,好酸球性大腸炎を考慮することが必要であると考えられた.
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