過去10年間の鈍的肝外傷から直死例6例を除いた43例をA群:緊急手術群(23例), B群:保存的治療群(20例)に分けて手術適応について検討した.来院時血圧はA群90±29mmHg, B群117±21mmHgで,急速輸液後の血圧はA群98±22mmHg, B群117±15mmHgであった.
腹膜刺激症状
はA群では61%, B群では15%に陽性であった.腹部超音波検査では腹腔内貯溜液はA群100%, B群47%,肝内血腫はA群25%, B群32%例,肝破裂部の描出はA群19%, B群5%に認められた.合併損傷では肋骨骨折,肺挫傷,血気胸の合併率に差はなく, A群では脾,膵等の実質臓器損傷が多く見られた.鈍的腹部外傷例では,肝損傷が軽度でも腹腔内他臓器損傷の可能性があり,輸液に反応しないショック,
腹膜刺激症状
陽性,超音波検査で多重または増量する腹腔内貯溜液を認めた例では開腹止血術が適応と思われる.
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