1. 米麹を乾燥法, 塩切法および瓶詰法により保存し, 麹保存中の外観変化および水分含量の変動と併せて, そのアミラーゼおよびプロテアーゼ活性の変動を検討した。
2. 瓶詰法は外観変化が最も著しく, 強度の着色と自己融解がみられ, さらに雑菌も混入して食品価値の低下が大であった。酵素活性も約3カ月保存でアミラーゼおよびプロテアーゼ活性ともに, 出麹直後の約1/6および1/10にまで低下し, 麹の保存法としては不適当であることを認めた。
3. 乾燥麹および塩切麹では出麹後1~2週間で, そのアミラーゼおよびプロテアーゼ活性がそれぞれ50~70%程度にまで低下したが, その後6カ月以上の長期にわたる保存中の酵素活性の変動は殆んどみられず, 大体50%程度の比活性が保たれていた。また, 乾燥麹では保存中の外観変化は殆んど認められず, 塩切麹では長期保存中に緩徐な醗酵作用により味噌類似の様相を呈した。
4. これらのことから, 塩切法 (味噌, 漬物用) あるいは乾燥法 (甘酒,
金山寺味噌
) による麹の保存方法はその実用性が十分あると考察された。
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