社会の高齢化に伴い,高齢者対応機器の開発も増えているが,とりわけIT機器において高齢者の認知機能特性への配慮は未だ不十分である.高齢者にとって使いやすい機器を提供するためには,高齢者の視覚・聴覚や身体運動的な機能に加え,認知機能についても設計指針を明らかとし,機器開発に反映させることが必要である.そこで本稿では,高齢者が苦手とするIT機器の代表であるATMのユーザビリティテストを行い,実際の機器使用の過程の中で観察された認知行動特性(認知機能に関連する行動および操作傾向)を明らかにした.それらの認知行動特性から,高齢者の機器開発に役立つ配慮点(設計指針案)の検討を行った.
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