1962年度から1992年度までの給食管理実習で給与した食事について, 食費と食品及び栄養素等の摂取状況などを調査検討したところ, 次の結果を得た。
1) 1食当たりの食費は, 1962年度29円, 1992年度280円で, 30年間に約10倍に上昇している。主食費4.2倍, 副食費12.1倍である。
2) 食費中に占める主食費の比率は, 1968年度以前では32-37%の高率であったが, 実習形態の変容による食費の増額などで, 1978年度以降は13~18%になり, 献立は作成しやすくなった。
3) 穀類と魚介類の摂取量は, 若者の食嗜好の変化などで, 経年的に若干減少傾向を示している。しかし, 魚介類の摂取量は1986年度以降, 日本型食生活の見直しなどで再び増加した。
4) 油脂類, 獣鳥鯨肉類の摂取量は, 食生活の欧風化などの影響で, 1984年度までは著しく増加したが, 以後はやや減少している。
5) いも類, 豆類, 卵類の摂取量は, 経年による線形的な増減傾向が認められない。乳類, 野菜類, 果実類, 藻類の摂取量は, 1992年度まで逐次増加している。
6) 砂糖類の摂取量は, 食品構成の目安量が低下しているにもかかわらず, 乳・乳製品をデザートとして給与するようになった1980年度以降から急激に増加した。
7) 1食当たりの摂取食品数は, 主食費の構成比率が高い1968年度以前でも10~14食品は摂取できており, 栄養所要量, 食品構成基準に基づいて立案していることの重要性が認められた。摂取食品数は副食費の上昇や実習者数の増加などにより, 1980年度以降は22~24食品になり, 給食内容は豊かになった。
8) 栄養素の摂取量では, たん白質, 脂肪, ビタミンB
1が全年度を通してほぼ充足している。ビタミンAとCの摂取量は若干不足している年度もあるが, 食品数の上昇に伴い非常に良好となった。
9) カルシウムとビタミンB
2は不足している年度が多い。
10) PFCエネルギー比率, 動物性たん白質比率などのバランスは, 1984年度以降献立の見直しなどによりほぼ適正な状態を維持している。しかし, 穀類エネルギー比率は若干低率であり, 適正比率になるよう努めたい。
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