日本食品科学工学会誌
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大豆の蒸熟条件が納豆の品質に及ぼす影響
松本 伊左尾秋本 隆司今井 誠一
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1995 年 42 巻 5 号 p. 338-343

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抄録

大豆蒸熟が納豆の品質に及ぼす影響を検討するため,中国産小粒大豆を使用し,蒸熟圧力を1.5kg/cmcm2と一定にして,圧力保持時間を1-60分に変えた蒸熟大豆で納豆の発酵を行った.
1. 納豆の硬度は,圧力保持時間が長いものほど低かった.
2. 納豆の色調は,圧力保持時間30分未満のものは青みが強く,これより圧力保持時間が長いものは色は濃く,赤みが強かった.
3. 納豆菌数が最高値に達する時間及び納豆が最高品温に達する時間は,圧力保持時間20-40分のものが最も早かった.
4. 納豆のプロテアーゼ,γ-グルタミルトランスペプチダーゼ,レパンスクラーゼの各活性は蒸熟大豆により異なった.
5. 納豆の窒素溶解率,窒素分解率,アンモニア態窒素は圧力保持時間30-40分のものが,糸引き度は同10-40分のものが,それぞれ高い値を示した.
6. 官能検査では,圧力保持時間30分未満のものは大豆の蒸熟が不足の納豆,同30, 40分のものは大豆の蒸熟が適度の納豆,同40分を超えるものは大豆の蒸熟が過度の納豆,とそれぞれ評価された.
7. 以上の結果より,本実験の条件では圧力保持時間30, 40分の蒸熟大豆が納豆の製造に適していた.

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