日本食品科学工学会誌
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42 巻, 5 号
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  • 酒井 昇, 野寄 雅晴, 松永 寛子, 半澤 保
    1995 年 42 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    反応温度40℃,溶液のpHを4として,スケトウダラすり身を酸性プロテアーゼを用いて酵素分解を行った.反応性生物による拮抗阻害がある場合の,Michaelis-Menten型の速度式から計算した生成物濃度の経時変化は,初期基質濃度及び酵素濃度を変えた実測値と良好に一致した.さらに,上式を簡略化した,反応速度式r=KCEOCS/C'Pで,実測値を表現できることがわかった.
  • 林 利哉, 芳賀 聖一, 高橋 朋子
    1995 年 42 巻 5 号 p. 307-315
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    天然アクトミオシン,ミオシンおよび大豆11S蛋白質の単独系並びに共存系における加熱挙動に関する実験を行った結果,次のことが明らかとなった.
    (1) 未処理区では,動的粘弾性測定の結果から,天然アクトミオシン,ミオシンのいずれの系においても大豆11S蛋白質共存による加熱ゲル形成促進効果が示唆され,その挙動はアクチンの有無により異なっていた.また,SDS-PAGEの結果からは,天然アクトミオシンの系ではアクチンが,ミオシンの系ではMHCとLC-2が11S共存により沈殿し易くなったことが示唆された.
    (2) 尿素処理区では,天然アクトミオシンは1M尿素添加によって,ミオシンの動的粘弾性挙動と極めて類似した挙動を示した.また,動的粘弾性およびSDS-PAGEの結果から,天然アクトミオシンおよびミオシン単独系の加熱ゲル形成は,2M以上の尿素処理により大きく阻害され,大豆11S蛋白質共存系では,1Mの尿素処理で完全に阻害されたことから,両筋原線維蛋白質単独系の加熱ゲル形成は疎水結合の関与が大きく,大豆11S蛋白質が共存することにより水素結合の関与が著しく大きくなることが示唆された.
  • バイオセンサ法による食品中の亜硫酸測定(第2報)
    松本 隆志, 深谷 正裕, 秋田 澄男, 川村 吉也, 伊藤 誉志男
    1995 年 42 巻 5 号 p. 316-321
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    バイオセンサ法による各種水産食品の分析条件について検討した.
    薄いガス透過性膜を使用し,試料注入量を増加させることにより,検出下限は1.0μg/gから0.1μg/g(希釈率を考慮すると実サンプルでは1.0μg/g)に高まった.
    試料中の結合型亜硫酸の遊離は,試料を硫酸酸性下で加熱する酸分解法により可能であった.酸分解法の処理条件を検討し,添加硫酸濃度1N,加熱温度及び時間は85℃, 15分が最適であった.
    最適条件での酸分解法による各種水産食品の添加回収試験を行った結果,冷凍エビなどを含む22試料いずれにおいても90%以上の回収率を得られた.また,改良ランキン滴定法の分析値とも相対誤差1.5%以内で一致した.
    以上の結果より,バイオセンサ法は各種水産食品中の残存亜硫酸の測定に有効であることが分かった.
  • 池田 稜子, 太田 直一, 渡辺 忠雄
    1995 年 42 巻 5 号 p. 322-327
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    脱脂大豆,およびこれを発酵熟成させた豆味噌,テンペについてイソフラボン含有量と抗酸化性について比較検討した結果,以下の点が明らかとなった.
    1) イソフラボンに関するHPLC分析パターンより,未発酵大豆では配糖体として,また発酵大豆では大部分がアグリコンとして存在することが分かった.
    2) 豆味噌仕込み後発酵熟成中のイソフラボン含有量の変化を経日的に追跡した結果,配糖体は仕込み後10日目まで減少し続けたが,アグリコンは逆に増加し12日後に一定に達した.この量はその後4ヶ月後においても変化せず保持された.
    3) 発酵熟成過程の豆味噌中のβ-グルコシダーゼ活性を測定し比較した結果,仕込み後12日目の豆味噌が最も強い活性を示した.この時期はアグリコンのダイゼイン,ゲニステインの量が最高に達する時期と一致した.さらに発酵熟成過程の豆味噌の抗酸化性を比較検討した結果,仕込み後12日目の豆味噌より30日目の豆味噌の方が強い抗酸化性を有することが示された.
    4) リノール酸(ツイン40を含む)の酸化反応系に抗酸化剤として脱脂大豆,発酵大豆(豆味噌,テンペ)を添加した結果,カロチン退色法,TBA法いずれの方法においても抗酸化性の傾向は,豆味噌>テンペ>脱脂大豆であった.
  • 進藤 直文, 田中 知恵, 近藤 道男
    1995 年 42 巻 5 号 p. 328-331
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    AsAをインドフェノールで酸化させDAAとし,これにヒドラジンを加えて50℃で70分反応させDAAオサゾンとした.このDAAオサゾンを酢酸エチルで抽出して,薄層クロマトグラフィーによりDAAオサゾンを分離し,これを薄層デンシトメーターで測定した.この結果,これまでのDNP法に比較し糖類(グルコース,フルクトース,スクロース等)やその他の妨害物質の影響を受けずにアスコルビン酸を定量的に短時間(約1.5時間)で正確に測定する条件を確立することができた.この方法を16種の野菜と4種類の果実の総ビタミンC分析に応用した.
  • 末永 光, 山口 剛, 古田 正範, 大田 修明
    1995 年 42 巻 5 号 p. 332-337
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    耐糖性酵母を利用した品質保持剤の開発を試み以下の結果を得た.
    (1) 自然の樹木や果実および発酵食品等30点より63株の酵母を分離した.これらの分離酵母および所有する実用酵母から,さらにショ糖濃度50%の条件下で生育する耐糖性酵母22株を得た.
    (2) 品質保持剤の酵母として清酒由来の酵母S-22株,味噌由来の酵母S-5株が適していた.
    (3) 酵母と培地の固定化方法には寒天,ローカストビンガム,キサンタンガムの混合ゲルが適していた.
    (4) 内包材としては酵母を保持し且つガスの揮散の良好な多孔性ポリオレフィンフィルムが適していた.
    (5) 試作した品質保持剤を生麺とサンドイッチの保存に応用し,有効性を実証できた.
  • 松本 伊左尾, 秋本 隆司, 今井 誠一
    1995 年 42 巻 5 号 p. 338-343
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    大豆蒸熟が納豆の品質に及ぼす影響を検討するため,中国産小粒大豆を使用し,蒸熟圧力を1.5kg/cmcm2と一定にして,圧力保持時間を1-60分に変えた蒸熟大豆で納豆の発酵を行った.
    1. 納豆の硬度は,圧力保持時間が長いものほど低かった.
    2. 納豆の色調は,圧力保持時間30分未満のものは青みが強く,これより圧力保持時間が長いものは色は濃く,赤みが強かった.
    3. 納豆菌数が最高値に達する時間及び納豆が最高品温に達する時間は,圧力保持時間20-40分のものが最も早かった.
    4. 納豆のプロテアーゼ,γ-グルタミルトランスペプチダーゼ,レパンスクラーゼの各活性は蒸熟大豆により異なった.
    5. 納豆の窒素溶解率,窒素分解率,アンモニア態窒素は圧力保持時間30-40分のものが,糸引き度は同10-40分のものが,それぞれ高い値を示した.
    6. 官能検査では,圧力保持時間30分未満のものは大豆の蒸熟が不足の納豆,同30, 40分のものは大豆の蒸熟が適度の納豆,同40分を超えるものは大豆の蒸熟が過度の納豆,とそれぞれ評価された.
    7. 以上の結果より,本実験の条件では圧力保持時間30, 40分の蒸熟大豆が納豆の製造に適していた.
  • 村田 容常, 守屋 由紀, 山田 優子, 李 榮淳, 関口 伸子, 本間 清一
    1995 年 42 巻 5 号 p. 344-352
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    醤油中の鉄結合成分についてSephadex G-25によるゲル濾過クロマトグラフィーにより検討した.醤油は吸光度により高分子側よりP1-P5の成分に分画され,大部分の鉄はP1及びP2に存在した.しかし,アミノ酸,糖,有機酸などの低分子物質のみからなる醤油様溶液中では鉄は低分子量域に溶出された.醤油に更に鉄を添加しても鉄はほとんど高分子量域に溶出した.P1及びP2中の鉄はエチレンジアミン4酢酸及びアスコルビン酸の添加により遊離され,低分子領域に溶出された.また,P1及びP2中の鉄はSDS, 2-メルカプトエタノール及び蛋白質分解酵素処理により影響をあまり受けなかったが,過ヨウ素酸処理により低分子域へ移動した.実験室的に醤油を調製して各段階でP1及びP2に相当する部分の鉄を分析したところ,P1の鉄は製麹段階で,P2の鉄は大豆の蒸煮及び熟成時に主に形成された.
  • 乙黒 親男, 小竹 佐知子, 辻 匡子, 金子 憲太郎
    1995 年 42 巻 5 号 p. 353-361
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    灰化卵殻添加ウメ漬けのCa,ペクチン,硬度と卵殻の灰化温度の関係及びペクチン組成と組織構造の関係を検討した.700-800℃で灰化した卵殻は温度の上昇に伴いCaが増加した.X線解析の結果,乾燥卵殻(DES),500℃灰化卵殻(AES-500), AES-600はCaがCaCO3,同様にAES-700と-750はCaCO3とCaO, AES-800と-900はCaOに由来すると考えられた.DESまたはAESを添加したウメ漬けは硬度が保持された.しかし,DES, AES-500または-600を添加したウメ漬けは収量が減少した.DES添加ウメ漬けは塩酸可溶性ペクチン(HSP)の割合が対照区と同程度だったが,水溶性ペクチン(WSP)は顕著に少なく,塩類可溶性ペクチン(HXSP)とアルカリ可溶性ペクチン(SSP)が顕著に多かった.AES-500または-600を添加したウメ漬けはHSP, HXSP, SSPの割合がDES添加ウメ漬けと,同様にWSPの割合は新鮮ウメのそれと同程度であった.700℃以上で灰化したAESを添加したウメ漬けは,それの灰化温度上昇に伴い,WSPとHSPが減少しHXSPとSSPが増加した.原料ウメの果肉には堅固な長方形の細胞が,塩蔵ウメのそれには偏平に変形した細胞が,同様にDES, AES-500または-600を添加したウメ漬けは圧搾された偏平の細胞が,AES-750または-800を添加したウメ漬けは原料ウメとほぼ同様な形状の細胞が観察された.
  • 高畑 康浩, 野田 高弘, 永田 忠博
    1995 年 42 巻 5 号 p. 362-368
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    サツマイモ塊根の粗蛋白含量および遊離・加水分解アミノ酸組成の品種間差異を2か年にわたり調査した.材料として近年育成されたβ-アミラーゼ欠損系統も含めた.粗蛋白含量については単一の年度内では品種間差が認められたが,年次間の傾向は大きく異なり不安定であった.加水分解アミノ酸の組成においてはアスパラギン酸含量の品種間差が大きく,その年次間の傾向は大きく異なった.その他のアミノ酸については品種間でほぼ同様であり,年次間比較でも組成としての大差はなかった.すなわち,β-アミラーゼ欠損系統も含めて,塊根の粗蛋白含量・アミノ酸組成には,年次間で安定した大きな品種間差は無かった.遊離アミノ酸についてはほとんどの品種でアスパラギンが最も多く含まれ大きな品種・年次間差が認められたが,この傾向は加水分解アミノ酸の組成におけるアスパラギン酸含量の品種・年次間差とよく一致した.
  • 山崎 彬, 山本 和弘, 山田 明文
    1995 年 42 巻 5 号 p. 369-375
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    餅の劣化は製造後の熱的環境に大きく依存することが知られている.これは熱により,餅の中の水の存在状態が変化し,復元性が喪失されるものと考えられる.
    本研究は餅の熱による劣化度を,温度と導電率との関係により数値化しようとしたものである.製造直後の餅から60℃, 1時間の熱処理の繰り返しにより,劣化度の異なる4種類の餅のサンプルを作成し,0℃以下で凍結させながら導電率を測定した.その結果,水分が41.5-44.0%の場合,凍結により導電率の急減する温度点が離水による劣化の程度と密接に関係し,餅の劣化を示す指標となることを確認した.また,離水状態の確認のために行なったDSC, DTA,および酸に対する溶解度もこの傾向を裏付けるものであった.
    さらに,無添加で製造された種々の餅について食味テストで判断した結果,3回の熱履歴を受けたサンプルが品質限界と考えられ,このサンプルの導電率の急減開始温度点は,-6.0±0.5℃であった.
  • 米谷 俊, 寺田 喜信, 西村 隆久, 滝井 寛, 岡田 茂孝
    1995 年 42 巻 5 号 p. 376-382
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    β-サイクロデキストリン(β-CD)とα-ラムノシダーゼを用いてサイクロデキストリン合成酵素(CGTase)によるヘスペリジン配糖体(Hsp-Gn)生成方法の改良を行った.
    0.5%ヘスペリジン(受容体),5%β-CD(供与体),2units/mlのCGTaseを含む反応液(pH 10)を40℃で16時間反応させたところ,5%可溶性澱粉を供与体としpH 5で反応させたときに比べて,約50倍のHsp-Gnを得ることができた.
    このHsp-Gnを精製する段階でα-ラムノシダーゼを作用させると未反応のヘスペリジンのみが加水分解され,セファデックスLH-20カラムクロマトグラフィーにより効果的にHsp-Gnと未反応のヘスペリジンを分離できることが解った.
    得られたHsp-Gnを種々の天然色素溶液に添加したところ,紫外線による色素の退色を抑制した.
  • 玉井 洋一, 大石 英樹, 中川 功, 渡部 保夫, 新本 洋士, 桑原 雄二, 山登 健二, 永井 清一郎
    1995 年 42 巻 5 号 p. 383-387
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究は各種乳酸菌群に酵母菌を共生させ長時間熟成させた発酵乳液の抗変異原活性について検討した.発酵乳液は各種の乳酸菌混合液を12%還元脱脂乳に接種し,37℃, 31℃, 25℃の各温度で42時間培養したものをスターター1,スターター2,スターター3とし,各スターターを種々の濃度で添加し,酵母菌共生下で72-120時間30℃で発酵させ調製した.同時に乳酸菌単菌と酵母菌とによる発酵乳液も調製した.抗変異原活性はエームス試験法を用いて測定した.変異原としては3-amino-1-methyl-5H-pyrido (3, 4-b) indol (Trp P-2), N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG), benzo [a] pyrene (B [a] P), 2-(2-furyl)-3-(5-nitro-2-furyl)-acrylamide (AF-29), aflatoxin B1 (AB1)を用いた.
    乳酸菌単菌による発酵乳液が特定の変異原に対してのみ比較的高い抗変異原活性を示したのに対して,混合乳酸菌による発酵乳液の抗変異原性のスペクトルは単菌の場合に比べ広く,且つ高い活性を示した.また,この発酵乳液は直接変異原物質に対して非常に高い抗変異原活性を有した.
  • 鈴木 敦士
    1995 年 42 巻 5 号 p. 388-394
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 松本 幸雄
    1995 年 42 巻 5 号 p. 395-397
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 五十 嵐脩
    1995 年 42 巻 5 号 p. 398
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 一色 賢司
    1995 年 42 巻 5 号 p. 399
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 一色 賢司
    1995 年 42 巻 5 号 p. 400
    発行日: 1995/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 42 巻 5 号 p. N44
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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