Kaplan(1995)による注意回復理論では、植物を中心とした自然環境には無意識に注意が向き、精神的な疲労が軽減する回復環境としての機能があるとしている。本研究は眺めて楽しむ側面と、生物とのふれあいを楽しむ側面を持つ
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に着目し、その回復環境としての特性、及びストレス緩和効果について検討した。30人の被験者を
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のある条件と統制条件に振り分け、各条件で15分間の作業(英文タイピング)を行ってもらい、その後10分間休憩してもらった。作業の前後と休憩後に気分評価と唾液アミラーゼの測定を、また休憩後に
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、実験室の回復特性と空間の総合的な印象を評価してもらった。さらに実験中の被験者の心拍変動と視線の動きを測定した。分析の結果、
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は「魅了」「視野」「好み」といった回復特性を持っており、
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の置かれた空間も「魅了」の側面で高く評価されることが明らかになった。また、
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は統制条件と比較して休憩時に長く注視され、また注視時間が長いほどLF/HFが低かったことから、
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の持つ注意回復特性が被験者の注意を引きつけ、その結果ストレス緩和につながったと考えられる。
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