日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a4
会議情報

口頭発表
超音波分光分析、示差走査熱量分析等によるシステイン添加乳清タンパク質の凝集過程の解析
*太田 尚子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年、タンパク質のゲル化過程解析における超音波分光分析の有用性が見出されてきた。本研究ではシステイン添加によるβ-ラクトグロブリン(β-LG)の温和な加熱処理による凝集過程を超音波分光分析、示差走査熱量分析および動的粘弾性測定を用いて多面的に明らかにすることを目的とした。
【方法】ウルトラサイエンティフィックス社製超音波分光分析装置を用いて温度変化に伴う超音波速度及び超音波減衰の程度をモニターした。システイン添加がβ-LGの相転移現象に対してどのような影響を及ぼすかを調べるとともに、これらのパラメーターのもつ意味を示差走査熱量分析(セイコーインスツルメント社製)および動的粘弾性測定(TAインスツルメント社製)を用いて総合的に考察した。
【結果および考察】系中におけるゲル状凝集体の出現は超音波速度の減少と超音波減衰の増加をもたらす事が観察された。更にシステインの添加によりそのプロファイルに屈折点が観察された。この事から、ゲル状凝集体の形成時に系の圧縮率の増加と系中の散乱が引き起こされることが判った。また、他の分析法による結果を併せて、0.2M 食塩存在下で12% β-LG はおよそ78℃にて相転移を起こしたが、60mMシステイン共存下ではその転移開始温度がおよそ20℃低下することが判った。しかしながらシステインの存否でゲル状凝集体の平衡弾性率に顕著な差が認められなかったことから、システインが初期の分子間相互作用の誘導に特に重要である事が示唆された。
著者関連情報
© 2009日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top