抄録
【目的】 醸造酢には血圧降下作用や総コレステロール低下作用があると言われており,体に良い食品として注目されている.そこで,山口県産のナシを使用した醸造酢を開発し,その抗酸化特性を検討したので報告する.
【方法】 豊田梨共同出荷組合(下関市豊田町)より提供された豊水(2006~2007年産)の果汁にエタノールを添加し,ジャーファーメンターを使用した酢酸発酵を行った.発酵には3種類(IFO3283,JCM6891,SKU1108)の菌株を使用し,成分及び香味の違いを比較した.試作品の抗酸化活性測定には,ORAC法と電子スピン共鳴(ESR)法を用いた.それぞれの結果について,ORAC法はµmol Trolox当量/100ml,ESR法はIC50(%)で示した.
【結果】 試作品について官能評価を行ったところ,いずれも「ナシをイメージすることのできるフルーティーさを有している」と評価された.最も高い評価を得たSKU1108を用いた梨酢は「まろやか」との評価が多かった.ORAC法における抗酸化性は,平均138であり,市販品の黒酢や柿酢と比較して,高いペルオキシラジカ消去活性を有しているとは言えなかった.しかし,ESR法においては平均0.23%のIC50値を示し,一般的に高い抗酸化性を持つとイメージされる黒酢や柿酢の市販品よりも,高いヒドロキシルラジカル捕捉活性を有していることがわかった.ただし菌株による差異はなく,また,ナシ果汁も同様の抗酸化性を示した.この事から,ナシ果実には,酢酸発酵の影響を受けないヒドロキシルラジカル捕捉活性を持つ物質が含まれていていることが示唆された.